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2007年06月12日
年金騒動の裏で進められる集団的自衛権容認の動き
年金騒動をめぐる報道の危険性は、それが年金問題の核心を曖昧にしているからだけではない。年金報道に国民の目が奪われている間に、より重要な動きが見えなくなることにある。
その一つに集団的自衛権をめぐる動きがある。11日に開かれた有識者会議においては、安倍首相が提示した個別事例の四類型のうち、「米艦船攻撃時の自衛艦の対処」について議論がなされたという。そして自衛艦の反撃は集団的自衛権行使であると位置づけた上で、憲法解釈でそれが実施可能であると認める意見が大勢を占めたという。
そもそも「解釈改憲で集団的自衛権を認めるべし」とする考えを持った有識者ばかりを集めた懇談会である以上、そのような意見に終始するのははじめから明らかであった。しかしそれにしても議論が粗雑であるに違いない。それを見事にあらわしているのが6月12日の東京新聞に掲載された柳井俊二座長(元駐米大使)の次の発言である。
柳井俊二
・・・日本の安全保障にとって日米同盟は不可欠だ。同盟国として、米国が困ったら助けることは最低限必要だ・・・個別的自衛権しか行使できないという(のでは)障害がある・・・今までの憲法解釈は法律(の形)になっていないし、国会の承認で決まっているものでもない。行政府がそう解釈して国会答弁したのが今の解釈だ。だから同じ手続きで(それを)変える事が出来る・・・改憲には何年かかるか分からない。その間、国際環境は待っていない。できることはやらないといけない・・・
これは法律論ではない。政策論でもない。日米軍事同盟に合わせるというだけの話だ。これが外務省の条約局長を経験し外務省きっての法律の専門家と言われている人の発言である。国際海洋法裁判所判事の現職にある人の意見である。
その同じ東京新聞に、前内閣法制局長官である阪田雅裕氏の次のような発言が対置されて掲載されていた。
阪田雅裕
・・・日本への武力攻撃がないのに、日本が武力行使をするのは憲法9条あるいは憲法全体をどう読んでも出てこない・・・(「集団的自衛権という権利はあるが行使できない」という政府解釈が分かりにくいという批判に対し)法律のイロハを知らない人の議論だ。国際法は国家にあらゆる権利を認めている・・・戦力を持つこともできる。(それを)国民の意思で制限しているのが憲法9条だ・・・日本は法治国家だ。論理的な解釈を超えて、(それを)変えるのは無理だ。戦後60年の間、国会で積み重ねた議論を無視できない・・・集団的自衛権を行使できないのが不都合で、日米同盟関係に差し障りがあるとすれば、憲法を改正すればいい。改正という手順を踏むのが王道だ・・・(安倍首相は「米国に向かうミサイルを撃墜しないと日米同盟の信頼をなくす」と主張しているが、という問いに答えて)技術的に(現在はまだ)不可能な問題で、(そのような政策が)実益があるとは思えない。技術的に可能になっても、現行の9条の下では難しい・・・集団的自衛権の行使や多国籍軍への参加は(憲法改正でないと)難しい。違憲の法律は無効だ」
かたや外務省、かたや大蔵省の、東大法学部出身の法律専門家の言葉である。どちらが説得力があるのか、どちらが法律的な議論であるか、一目瞭然である。
そういえば同じ日(6月12日)の日経新聞に元国防総省東アジア部次長チャック・ダウンズ氏の次のような言葉が紹介されていた。
・・・北朝鮮が長距離ミサイルを実際に発射すればどこへむかっているかを瞬時に判断するのは困難だ。米国本土か、日本国内の米軍基地か、日本か(わからない)・・・(そもそも)北朝鮮の現在の軍事能力は標的を狙う正確さを欠く。グアムを狙ったとしても日本を狙う場合と(危険性では)大差はない・・・
むちゃくちゃな議論だ。しかし米国との軍事同盟を進める事自体がそもそも論議のいらない話なのだ。米国のいう事を聞ばよいという話なのだ。そもそもがむちゃくちゃな話なのだ。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/06/12/#000427
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