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みのもんたの『朝ズバッ!』に、丹羽雄哉自民党総務会長が出演した。あまり時間はなかったが、例によってテーマは年金問題であった。その番組の最後で、丹羽氏は「野党の皆さんは、仕事をしてこなかったあの社会保険庁の公務員の味方なんですね。あの人たちが作る労働組合の味方なんですね」といっていた。<中略> 多分、日曜定番の政治番組に出演する自民党や公明党の議員は、丹羽氏と同じようなことをいうのではないかと思う。
私は昨日このように書いた。徹夜で仕事をしていたので、日曜定番の政治番組をみるつもりはなかった。しかし、バタンキューと眠れなかったので『報道2001』(フジテレビ)だけは観た。その番組に出演した茂木敏光自民党筆頭幹事長は、私がいったとおり「野党の皆さんは、社会保険庁の職員の味方なんですね。あれでいいんですね」などといっていた。他の番組は観ていないがどうやら自民党や公明党は、「年金記録喪失は社会保険庁の職員のダメな仕事ぶりに原因がある。だから社会保険庁を解体し非公務員型の年金機構を作るのです。野党は社会保険庁の職員が作る自治労の支援を得ているのでこれができないのです」といういい方で、年金問題を乗り切る方針を固めたようである。
これはかつての“赤攻撃”や“非国民呼ばわり”と根本において同じであると思う。確かに公務員の評判は依然としてまだよくない。だからといって、今回の年金問題を社会保険庁職員の仕事ぶりのせいにするのは、やはり責任回避であり、責任転換である。公務員攻撃・公務員労働組合攻撃で今回の問題をはぐらかそうというのは、反労働者的であり卑劣である。わが国の右翼反動が憲法改正でいちばんターゲットにしているのは国民の基本的人権である、と私はいつもいっている。このような考えが根底にあるから、このようないい方が彼らの口から平気で出てくるのである。憲法をどう考えるかということは政治の基本であり、このようにあらゆる問題に現れてくるのである。
日本人はこういう権力者の攻撃に弱い。これに関連して現在のアメリカの現状に私はいつも驚かされる。アメリカの民主党は、いまや公然とイラクからの撤退を主張している。そのように公然と主張するアメリカ国民も多くなってきた。アメリカはいま現にイラクで戦争をしているのである。このような状況の中で、政府の方針を批判をすることはわが国で考えられるだろうか。私の体験だが、田中金権批判のころはまだわが国には批判精神があった。批判することが許された。しかし自公“合体”政権成立以後、創価学会・公明党批判は完全にタブーとなってきた。郵政解散の時など、郵政問題を冷静に訴えることができなかった。郵政民営化には、通信の秘密という基本的人権に関わる重大な問題をあるのだが……。
こういう現象を、私は政治のヒステリー現象と呼ぶ。ヒステリー現象とは、冷静な批判精神を欠く状態をいう。いつも逞しい批判精神をもっていないと、国民は簡単に政治的ヒステリー現象に陥るのである。わが国の権力者は、国民のこの性癖をよく知っている。今回もここを突こうとしている。だから騙されてはならない。今回の原点は、問題の多い社会保険庁を長年放置し、社会保険庁利権に群がってきた自民党に最大の責任がある。いまや社労族は、建設族と同じくらい自民党議員の憧れのポストなのである。厚生大臣を2回もやった小泉前首相も立派な社労族のボスである。社労族の道を一所懸命に歩んでいた安倍晋三議員は、小泉氏が手に入れた厚生省利権を清和会(旧森派・現町村派)のものとする尖兵だったのだ。自民党の派閥とは、所詮そんなものなのだ。
それでは、また明日。
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