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http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20070609/p1#seemore
2007-06-09
■[資料]情報保全隊の調査は完全に脱法──2002年の国会審議より
情報保全隊というのは、かなり新しい組織で、2002年の第154回国会で防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正案として提案・可決され、編成されたもの。そのときの国会質疑の際、中谷防衛庁長官は、情報保全隊の情報収集対象として「あらかじめ防衛秘密を取り扱う者として指定をした関係者のみに限定する」と明言している。ビラまきやデモに参加した一般市民が「防衛秘密を取り扱う者」と解釈するのはいくらなんでも無茶苦茶である。つまり、今回発覚した情報保全隊の調査は、国会答弁が明確にした範囲を完全に逸脱しており、違法、あるいは少なくとも脱法であることは疑いをいれないことになる。
詳しくは、以下に整理した国会審議からの抜粋を参照のこと。
提案理由および内容の概要
○中谷国務大臣 ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明します。
この法律案は、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正を内容といたしておりまして、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画において定められた防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を進めるとともに、必要な機能の充実等を図るとの観点から、陸上自衛隊の第四師団の改編等、陸上、海上、航空各自衛隊の情報保全隊の新編等並びに統合幕僚会議における防衛情報通信基盤管理運営室の新設等及び情報の収集・分析態勢の強化等に伴い、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数を変更するものであります。
以上が、この法律案の提案理由であります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
まず、防衛庁設置法の一部改正の内容について御説明いたします。
これは、陸上自衛隊の第四師団の改編等及び情報保全隊の新編等に伴い、陸上自衛隊の自衛官の定数を四百五十四人削減し、海上自衛隊及び航空自衛隊の自衛官の定数をそれぞれ十四人増加するとともに、統合幕僚会議事務局における防衛情報通信基盤管理運営室の新設等及び情報本部における情報の収集・分析態勢の強化等に伴い、統合幕僚会議の自衛官の定数を百三十五人増加させることを内容とするものであります。これにより、自衛官の定数は計二百九十一人削減されることとなります。
次に、自衛隊法の一部改正の内容について、その概要を御説明します。
これは、陸上自衛隊の第四師団の改編に伴い、即応予備自衛官の員数を三人増加するものであります。
以上が、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
(第154回国会、衆議院安全保障委員会、4号、平成14年04月02日)
質疑より
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
法案について、まず、情報保全隊の新設について伺いますが、従来の調査隊を廃止して、組織面及び任務面から機能強化した情報保全隊を陸海空各自衛隊に新編するとしております。この部隊はどのような任務を持つことになるのか。調査隊と比較して、任務、調査対象をどのように拡大するのか。まず説明してください。
○中谷国務大臣 そもそも、この情報保全隊を設立した理由といたしましては、平成十二年九月に秘密漏えい事件がありまして、その再発防止の一環として実施をするわけでございます。
具体的には、組織面からの機能強化につきましては、現在、自衛隊の調査隊において、これまで中央、地方の別個の指揮系統の部隊であったものを、各自衛隊ごとに中央、地方を一つの指揮系統とした情報保全隊に統合することによって、状況の変化に迅速に対応するため、より機動的な運用が可能となるという点と、任務面においては、従前の調査隊の任務であった各自衛隊の部隊及び機関の保全のために必要な資料、情報の収集、整理強化、明確化に加えて、新たに、職員と各国駐在武官等との接触状況に係る情報収集、また、施設等の機関の長からの要請に基づき、施設等の機関等の組織保全業務の支援を行うということで、より中央でこの状況が把握をでき、また運用できるという点を強化して設置するわけでございます。
○赤嶺委員 機密漏えい事件をきっかけにということでありますけれども、実際はまた、その漏えい事件ということを口実に、さきの臨時国会で防衛秘密の新設を盛り込んだ自衛隊法の一部改正が成立いたしました。これが施行されれば、当然この秘密保護というのも情報保全隊の活動目的の一つになると思います。
防衛秘密は、昨年の議論の中でも、自衛隊員だけでなくて防衛産業労働者やマスコミ関係者など民間人も対象として、漏えいした場合には最高五年の懲役を科すというものです。だから当然、自衛隊員だけでなく民間人も情報保全隊による情報収集の対象になるわけですね。
○中谷国務大臣 この対象につきましては、法律のときに議論をしたわけでございますけれども、あらかじめ防衛秘密を取り扱う者として指定をした関係者のみに限定するわけでございます。
○赤嶺委員 その指定をした者の中に民間人がちゃんと入っていることが問題になったわけですね。
それで、臨時国会の審議の中で、防衛秘密について、我が党の小池参議院議員が、防衛産業の従業員が防衛秘密に指定されている自分の業務内容を家庭で話してしまった場合、漏えい罪に当たるのかどうか、中谷長官にただされています。その際、長官は、個々具体的に判断されるべきものとして、可能性は全体として否定しなかったわけです。
情報保全隊がこういうものを対象にして情報収集を行うということになれば、国民の私生活やプライバシー、そういう領域にまで国家が入り込むということになって、基本的人権を侵さないという保証はないと思うんです。いかがですか。
○中谷国務大臣 自衛隊というのは国家防衛のために活動するわけでありまして、いわゆる国家防衛の手段の手のうちを侵略しようとする者が知り得る場合に、国民の生命財産を守り得ないわけであります。
そういう観点で、この部隊の保全というものは必要でございますけれども、この部隊の保全のために必要な行為といたしましては、自衛隊に対して不当に秘密を探知しようとする行動、基地、施設等に対する襲撃、自衛隊の業務に対する妨害、職員を不法な目的に利用するための行動等がございまして、このような外部からの働きかけなどから部隊の秘密、規律、施設等を防護するために必要な資料及び情報を収集、整理し、所要の部隊に配付をいたしますけれども、そういった保全行為のための必要な活動に当たるわけでございます。
○赤嶺委員 私が伺いましたのは、国防が大事だといって防衛秘密をつくり、その防衛秘密を保全するといって民間人にまで対象を広げている、あるいは、防衛産業従事者が家庭で家族の者にその仕事の中身を漏らしたときには、それも防衛秘密の保護になるということで、結局、私生活にまで国家が入り込む、プライバシーの侵害、基本的人権を侵すことになるのではないかということを先ほど聞いたわけです。
それに対して、今長官は、防衛秘密を守ることがいかに大事かということをるる述べられたわけですが、人権を侵害するような活動は行わないということもはっきり言っておられないんですが、本当にそういうことでは、人権侵害をやらないという保証は全くないと思うんです。
そもそも、この情報保全隊なる部隊がどういう活動を行っているか、国民には全く明らかにされないで、すべてはやみの中で情報保全隊が活動する。国民は、そういう私生活、プライバシーまで監視されているということになりはしませんか。
○中谷国務大臣 国防の任に当たる者にとりましては、それなりの自覚と認識が必要でありまして、やはり自分一人の問題ではなくて、多くの人々に影響が及ぶこと、ひいては国の存続にも影響することであるという意識と自覚を持った者でなければならないというふうに思います。
そういう意味におきまして、この防衛秘密に関連する人の指定につきましては、そのことも十分勘案をして検討した結果、そういう方に国防の任に当たっていただきたいというふうに思っております。
○赤嶺委員 防衛秘密については近づくな、見るな、聞くな、話すな、そのためにしっかりした体制をとる、それが情報保全隊だ、こういうことになっていくわけです、今の答弁を素直に聞いていましたら。
ですから、私は、やはり防衛秘密の新設というのは自衛隊の秘密の保護体制を法制面から抜本的に強化するものであったわけですが、今回の情報保全隊の新編というのは、この去年の法律を実行するために、体制面からの強化を図るものであると思います。これは私、たびたびこういう場でも指摘をしてきたわけですが、ガイドラインのもとで進められている日米間の情報協力、情報共有の強化、これを担保する役割を持つものだと言わざるを得ません。そういう点では、基本的人権を侵す重大な内容を含んだ部隊の新設と指摘しておきたいと思います。
次に、有事法制について伺います。
……
(第154回国会、衆議院安全保障委員会、5号、平成14年04月04日)
次に引用するsumita-m氏の記述も参照のこと。
…しかし、文書によれば、監視対象となっているのは社民党系、共産党系、民主党系、或いは新左翼系であり、自民党系や公明党系はもとより、治安ということでは重大な意味を持つであろう右翼ややっちゃんとかは監視対象にはなっていない。政治腐敗は大いに国家存立の基礎を揺るがすものであろうが、日本においてはそれが圧倒的に自民党関係に多いということは論を俟たない。ということは、「諜報組織」の必要性云々といったことを一旦括弧に入れるにしても、今回暴露された監視は一方では過剰であり、他方では過少であるといえる。また、自衛隊が〈国家〉よりも〈政権〉に配慮していることは明らかだろう。…(自衛隊による監視活動@Living, Loving, Thinking)
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