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大切なのは朝鮮半島の平和 視野狭い安倍外交 2007/06/07
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6月2日(土)高知市において、「前進した6者協議・孤立する日本」と題する講演会がもたれました。元毎日新聞ソウル支局長・前田康博氏を講師に招いての「平和のための学習会」でした。
主催の「サロン金曜日」によると、「せいぜい50人かな?」という予想でしたが、180人も集まって、講師もビックリ。「サロン金曜日」というのは、平和のために活躍している知識人を全国から招いて、高知県人に講演会を提供している市民グループです。だいたい予想以上の人が集まりますが、若者の姿が少ないのが寂しいです。
罵り合っていては外交が進まない
(当日の講演:およその内容)
30年後、日本は、現在と同じGDPを維持するとすれば、3000万の外国人労働者を受け入れなければならない。しかし、保守化、国粋化のますます進む日本は、国内のそうした国際化に対応できるのか。また、選挙のとき投票に行かない「ゆうれい主権者」の存在も気にかかる。今後、選挙権が18歳に引き下げられることが予想されるが、それは「ゆうれい主権者」の数を増やすだけではないのか。
日本は、以前から経済一流、政治二流、外交三流といわれてきたが、安倍内閣の外交も三流である。「拉致問題」に感情的にこだわりすぎて、「朝鮮半島の非核化」という大切な協議事項を忘れている。「拉致問題」も大切だが、それは、朝鮮との「国交正常化」を進めつつ解決すべきである。国際会議の場で罵り合っていては、外交が進まない。外交が交渉ごとであることがまるでわかっていない。交渉により朝鮮半島に平和が訪れれば、それは何よりの日本の安全保障になり、ミサイルもその他の軍備も不要になる。
天皇による大臣や外交官の認証式は、大臣や外交官が真に国民の方を向かない理由の一つとなっている。外交官の中には、「大使閣下」と呼ばないと怒り出す人もいる。彼らは、天皇の方ばかり向いており、天皇誕生パーティーを海外で行っているだけで、日本国民のための外交活動をしているとは言いがたい。
戦前のアジアには、日本国とタイ国以外の独立国はなく、他は皆植民地であった。その感覚が今に続いており、欧米以外は独立国として認めていないようなところが、日本国外務省にはある。
1950−1952の朝鮮戦争によって、アメリカのマッカーサーは、朝鮮半島を日本の防波堤にしようとした。朝鮮戦争は、アメリカとソ連の代理戦争であり、韓国は、日本の反共防波堤としてマッカーサーによりつくられた。
38度線は、国境ではない。今も軍事境界線なのである。この38度線によって、1000万の離散家族が生まれており、南北統一は、朝鮮民族の悲願である。第2次世界大戦後、本来なら日本列島が4つに分割されるはずだったが、朝鮮半島が南北に分断されてしまった。日本人は、そのことに責任を感じるべきである。私が、「6カ国」でなく「6者」だというのは、38度線を国境と認めていないからである。
明治時代、福沢諭吉が「脱亜入欧」を説いたが、いまだに外務省のセンスはその当時のままである。今は「脱亜入米」になっているというべきかもしれない。たとえば、外務省は「アジアの一員」ということばを嫌う。「アジアと日本」と言いたがる。彼らの中には、日本がアジアの一国であるという認識は希薄なようである。私は、今後、日本外交は日本国民のために「脱米入亜」であるべきだと思っている。
(感想)
私は、1970、1972、1973年に朴大統領独裁下の韓国の農村漁村を旅しました。観光客の行かないところをうろうろしていて、KCIAの取調べを受けたこともあります。だから、実感を伴って思い出すことも多く、おもしろかったです。
前田康博氏は、金大中事件が起こったその日に、金大中氏とインタビューの約束をしていたそうです。事件発生後、宇都宮篤馬がキッシンジャーに電話をし、キッシンジャーが朴大統領に電話をし、ヘリコプターが飛び、今まさに重りをつけられて大阪湾に投げ込まれようとしていた金大中氏は殺されずにすんだのだそうです。その危機一髪の話には迫力がありました。最近、前田康博氏は、キリスト教徒の金大中氏と会う機会があり、金大中氏は「あの時ほど真剣に神に祈ったことはなかった」と語ったそうです。
「形が中身を規定する」ということばがありますが、天皇の国事行為がそれに当たるだろうと、私も以前から思っています。あの形は、主権在民とは言いにくく、時として、今も大日本帝国憲法が生きているような錯覚に陥ります。
ほぼ満席状態の聴衆は、終始熱心に耳を傾けていました。話術にも話題にも人をひきつけるものがあり、講師と聴衆との間に一体感が生まれていました。
(成川順)
JanJan
http://www.janjan.jp/world/0706/0706046623/1.php
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