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副島「ウォー・エコノミー(戦争経済)というのは、何十年かに一度、いや最近は5年に一度、戦争をやらなければ、国家を維持・運営していけない。戦争をやらなければ国民を食べさせることはできないのである。
悲しいことであるが、私たちの所属する人間(人類)という生き物は、戦争と平和の二つの時代を繰り返しながら生きてきた。この運命から逃れることはできない。だから、そろそろ私たちの日本国にも戦争の危険が近寄っているのである。ウォール・エコノミーは、「戦争刺激経済」と言い表してもいい。」P3
「戦争をすることによって、経済を回復させることができる。これは恐るべき真実である。…だから私は反戦平和、日本国憲法を守れと、ただ単純に言っているのではない。どうせ現段階の人類の愚かな知恵の水準では、戦争はせざるを得ないし、避けられない。」P8
そうだろうか。教授は本文中で戦争は反対だという主旨のことは確かに言っている。しかし本書全体の主張は戦争への露払いの役割を果たしているのではないかと評価されても申し開きができないのではないか。戦争は避けられない、と断言してはばからないところに、教授の「敗北主義」(森田氏との共著のなかで自ら打ち明けている)が見え隠れしている。
むしろ逆の可能性を疑ってみる必要があるのではないか。つまり、戦争を起こすために地球の真の支配者たちが各中央銀行を操って不景気を「演出」するというストーリーである。真の支配者=国際金融勢力である。不景気が長続きすれば戦争を願望する若者も出てくる。好都合ではないか。
真の支配者は、戦争によって@大幅な地球人口の削減、A大儲け、の一挙両得が達成できる。
副島「06.6.5(村上逮捕の前日)に、”バーナンキ・ショック”があった。新議長の…この男の能力に対する疑念と不満が湧き起こっている。だから、急遽、ヘンリ・ポールソンというゴールドマン・サックスの現職の会長を新しい財務長官に就任させて、バーナンキを監視させる態勢にした。」P42
これもおかしい。ロックフェラーによって抜擢されたバーナンキは「無能」を装って、パトロンの意向に沿った不景気を演出している可能性を疑って見るべきではないのか。FRBは民間の銀行であり、ロックフェラーによって操られていることは教授も十分承知しているはずなのだが、この議論も非常に臭い。
副島「欧州ロスチャイルド系の平和経済の思想と、アメリカの石油財閥から興ったロックフェラー型の”帝国を維持するために、…世界大戦規模の戦争が必要なのだ”という悪魔の思想の、この二つの経済思想が、がっぷり四つで闘っているのである。」 p185
これも非常に胡散臭い。ロスチャイルドは「善」の国際金融財閥でロックフェラーは「悪」のそれというような対立構図は、非常に底が浅く、こんな議論を展開するとは信じがたいほどだ。これが「世界基準」を標榜する学者の言論なのか。
だから教授はロスチャイルドの手先ではないかなどと誤解する読者も出てくるのである。
最近の教授の言論は焼(ヤキ)きが廻ってきているとしか思えない。どうしたら戦争を回避できるのかという力強い気概・戦略があってしかるべきと思うが、伝わってくるのは、「戦争への提灯持ち」という退嬰的な気分のみである。教授の精神は病んでいると考えざるを得ない。
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