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おとつい(木曜日)の朝、数日ぶりに少し新聞を読もうと東京新聞の朝刊を広げた。
広げた瞬間、一面トップの見出しに凍り付いた。
「改正教育3法が成立」
内容を見ると、
「改正学校教育法は、義務教育の目標として「国と郷土を愛する態度」を新たに明記」
などとある。
この法律「改正」は、昨年12月に改悪された教育基本法を具体的に実践するための改悪であるから、子供たちそして、その子供たちが大人になって日本のあり方に関与するようになったときに日本に住む人たちに、ダイレクトに問題が降りかかってくることになる。
国と郷土を愛することは結構なことである。
しかし、どういった態度をもって国と郷土を愛していると見るかは、人によって180度も異なってくる。
そのような恣意的運用が可能な文言を法律に盛り込めば、内容は権力の強い者の意見によって決められることになる。では、権力者たちはどのような態度をもって「国と郷土を愛する態度」と判断することになるか。
今の与党の自民党議員の200名以上及び、(与党に取って代わる勢力としてマスゴミその他一部の言論人に持ち上げられている)民主党議員のうち25名は、日本会議国会議員懇談会という、過去の戦争を反省する態度を示す者を自虐的、反日的と呼ぶ組織に属している者たちである。入学式、卒業式での国旗・国歌への起立・斉唱を当然視し、憲法で保障されている思想・信条の自由の入る余地を認めようとしない者たちである。つまり、憲法99条に定められた国会議員の憲法擁護義務を公然と無視し、憲法違反行為をしてはばからない、無法者たちである。
憲法99条:
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
学校現場で教師・生徒たちがどのような思想を強制されることになるかは火を見るよりも明らかである。
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≪関連記事≫
□日の丸・君が代強制で、教員たちは論議することもなくなった【東京新聞特報】
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10028695207.html
□国旗・国歌への起立・斉唱を行事として受容してしまうことの恐ろしさ
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10026600573.html
□君が代はファシズムの要素満載:改憲との共通性にも要着目
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10023976543.html
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また、東京新聞の別の記事によれば、副校長、主幹教諭を導入して中間管理職を作ることにより、ピラミッド構造を導入することも今回の法律改悪の大きな狙いであるという。ピラミッド構造が導入されれば、ヒラの教員は、管理職につきたいがために、また、管理職ににらまれたくないがために、おとなしくせざるを得なくなる。そして、管理職はどこを向くかといえば、ヒラメのごとく、「上」の方、お上(おかみ)の方を向くことになる。結果、教員はヒラも含め皆ヒラメになる。子供たちは、上に書類を提出するための評価対象にしかすぎなくなる(今ですら、教師たちは、教育関連法制改悪を先取りする様々な評価作業に忙殺され、子供たちと接する時間がないという)。
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≪関連記事≫
□おかしいことをおかしいと言わない雰囲気、それを黙認する国民、そんな国民を育成する教育【根津さん】
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10028771109.html
□根津さんの教育への教育委員会・校長・教頭の執拗な「不当な支配」;気に入らない教師を処分するためにあら捜しまでする教委
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10021224440.html
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ピラミッド構造の中では、人々は統治者と被統治者に分断される。被統治者は統治者に対し従順に振舞うことによって自分の身分保証及び昇進可能性を得ようとする。格差も生まれる。
こうして教師たちが権力争いに汲々とする中、被害を蒙るのは、ロクに面倒を見てもらえなくなる子供たちである。
子供は敏感だから教師がどこを向いているかを感じ取り、人間不信に陥ることだろう。子供時代にどのような大人に接するかはその子供の人格の育成に大きな影響を及ぼす。人間的な触れ合いのない、評価を媒体とした交流関係を通してでは、人間味溢れる大人が育つことは期待できない。
教育現場のみならず、社会全体が、殺伐としたものへと変質していくことになるだろう。
教員に面倒を見てもらえなくなり、国が押し付けてくる現行憲法違反のルール(思想・信条の如何にかかわらず、国旗・国歌への起立・斉唱を強制するなど)に有無を言わせず従わせられる子供たち。子供たちは、ルールが存在しないことに関してはしたい放題に横暴に振舞うようになり、他方では、権力やルールに対しては自分たちの感覚を押し殺し、イエスマンになることを覚えるだろう。結果、彼らは、無感動で、悪法であれ何であれルールにだけは従う、という、兵隊にはもってこいの大人に育っていくことになる。
自称・愛国者たちには、自分たちが日本国民をそのように、自分を持たない脆弱なロボット兵国民に育て上げようとしているという自覚があるのだろうか。
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≪関連記事≫
□不感症、非情な人間はいかにして作り出されるか
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10023874464.html
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≪閑話休題≫
(画像は日刊ベリタの記事より;http://www.asyura2.com/07/senkyo30/msg/731.html)
ロボットと言えば、女性を「子供を産む機械」視して大問題になった柳沢厚生労働相というのがいたが、この柳沢氏、今でもまだ大臣の座に居座っている。このような大臣を罷免しない安倍首相、それを許してしまう自民党議員らは、もはや人間失格ではないのか。それとも既にロボット人間なので中の人たちも、いい迷惑である。
国を愛するのも結構だがその前に国民を、隣人を愛することから始めるべきである。愛する人にロボットになってほしいと思う人は尋常な精神の人にはいないであろう。
自称・愛国者たちは、国や日の丸・君が代のような、箱モノや布切れや、身分制度肯定の不平等肯定ソングを大事にするのではなく、国の構成員である「ひと」一人一人の、精神的・肉体的幸福を大切にするべきである。
関連:
社会が先か?個人が先か?【heart】
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10023864770.html
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さて、残念ながら、「罪」の自覚がないのは一部の保護者も同じである。
同じ木曜日の日経新聞の社会面には、
教員「免許更新で負担増」
保護者「先生の質向上に」
と、教員と保護者のことを対置させる副題をつけた、「教育改革関連3法成立」という題の記事がある。
記事によれば、保護者の三人に二人は教員の免許更新制について賛成しているのだという。
「これを機にやる気のない教師にはやめてもらいたい」とした保護者の声が載っているが、やめることになるのは、子供の教育ではなく上司の顔色を伺い、子供の評価作業に忙殺されることに心身ともに疲れきった教師である。良質の教師が大量にやめ、上の顔をうかがうことしかしないロボット教師が残ることになる。
保護者は自分の子供のことを思うのなら、教育改悪の根っこにある、「政府に都合のいい人間づくり」という大目的を捉え損ねてはならない。
この日経新聞の記事には、構成面でも問題がある。本来ならば、子供のために一致団結して教育改悪に反対すべき教員と保護者を、対立させている点である。
分断・対立させられているのは、教師と保護者だけではない。
教師の間の結束力も分断させられている。
つまり、与党議員や保守系の新聞による教職員組合叩きはやむ気配がない。そして、それを真に受けて、日教組や労組を白眼視する国民は少なくない。
確かに、組合(労働組合)も一つの組織であるから他の組織と同じでいろいろ問題を抱えているかもしれない。しかし、組合とは本来、組合員が団結することによって、強い権力をもつ少数の者と一定程度対等に交渉できるようにするために結成されるものである。権力者や会社の経営陣や管理職の者が組合を邪魔に思い、潰したいと考えるのは当然だが、一般のヒラの者が組合をカタキのように考えるのはおかしい。というのも、それは、自分が正当に処遇され、あるいは正しく生徒に指導するための権利を、権力者に白紙委任することを是認しているに等しい行為だからだ。
こうして、ヒラの教員の団結が阻害され、正当な権利を守るための力、権力の悪を追及する力が弱体化されていく中、教育改悪は権力者の思うように進んでいく。
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◆参考コラム◆使用者にも、政府にも、労組の存在そのものをなくしたいという願望がある。
例:
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http://blogs.yahoo.co.jp/starstory60/22638269.html#22638269【ブログ:キリスト者として今を生きる】より編集。
□中曽根:「国鉄民営化は国労潰しを意図してやった」(NHK)
今から約20年前、はげしい反国労キャンペーンが行なわれました。国鉄分割民営化が政治の俎上にのぼり始めた1982年初頭から、新聞・雑誌・TVは、国鉄労働者が真面目に働いていないとする「ヤミ手当・ポカ休・ブラ勤」報道を大量に流しました。新聞記事の数は、朝日・読売・産経3社だけでも5ヶ月間で200以上にのぼります。メディア各社が足並みを揃えて、これほど長期かつ集中的に国の政策に呼応する形でキャンペーンを展開したのは戦後初めてのことでした。
その結果、「国鉄労働者は怠け者集団」「国鉄赤字は彼らのせい」が人々の意識に刷り込まれ、分割民営時に解雇された国鉄職員には「働かなかったのだから解雇されて当たり前」という風潮がつくられました。一方、鉄道の利権にむらがって、国鉄を借金づけに追い込んだ政治家の責任が問われることはありませんでした。
(引用は右サイトから http://www1.jca.apc.org/ouen/030405.html)
中曽根元首相は、のちにNHKの番組で次のように語っています。
「55年体制(自・社体制)崩壊は意識的にやった。国労が総評の中心だった。いずれこれを(国労を)崩壊させなきゃいけない。民営化で、国労が崩壊し、総評が崩壊し、そして社会党が崩壊した。一連でやったことで、意識的にやった」(http://www.labornetjp.org/news/2005/20051124m1)
□森善朗:「日教組、自治労を壊滅できるかどうかということが次の参院選の争点」(2006年10月31日産経新聞東京朝刊のインタビュー記事)
同紙5面の記事:「安倍政権と自民党が公務員労組の政治的影響力をそぐことなどを狙いとして、自治労、日教組に対する攻撃姿勢を強めている。自民党には有力労組を抑えることで支持政党の民主党に打撃を与え、苦戦も予想されている来夏の参院選に向けて巻き返しを図る思惑があるとみられる。」
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政府や御用マスゴミによる教員叩き、組合叩きは、国民の仮想敵を作り出し、真に「叩く」べきもの、つまり悪政を作り出している与党政治家から、国民の目をそらすという側面も持つ。
政府が仮想敵を作り出し、人と人を分断し、人々は自分の保身だけに汲々とし、いがみ合っていく。
こうした政府の戦略は教育行政においてのみ見られるものではないが、教育改悪のみに限って問題を見るとしても、政府が作り出す分断・対立は、教育現場のみにとどまらず、社会全体に蔓延してゆくことになる。教育とは人を育てるものであり、子供たちその教育現場から社会に向かって巣立ってゆくからである。
政府が仮想敵を作り、仮想敵を批判することにより、国民の義憤に訴えかけ、政府への支持を維持する、その構図について、【非国民通信】さんが昨今のコムスン問題や社保庁問題に絡めて興味深い書いておられるので、記事URLを紹介しておく↓
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役所は政府の管轄下【ブログ:非国民通信】
http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/79427870ddfe7794331fad0f365d2175
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当ブログの共同管理人のgataroさんも、興味深い記事を投稿してくださっている↓
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<年金問題>単なる社保庁叩きは危険である/アメリカの要望を受けて動く大きな構造を理解しよう
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10037391760.html
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真の敵、真の問題をつかみ損ねて、そこらへんの叩きやすい小悪を叩いているだけでは、問題はいつまで経っても解決しはしない。
「天性の奴隷」(→http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10024036731.html)の地位に甘んじるか、思い切って人々と手を携えて巨悪に立ち向かうか。
言うは易し、行うは難しであることを否定はしない。だが、とりあえず、選挙でくらいは、与党や、付け焼刃の解決策を提示するだけで本当に問題を解決する気のないM党には投票しない、というくらいの勇気はもちたいものであると思う。
よい国をつくるのに必要なのは、くだらない上司や悪法に屈することなく、自分で考える力を持ち、人を不幸にするような悪法に対しては断固として反対する国民である。
子供たちに範を示そうではないか。
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