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(回答先: 朝鮮総連本部ビル売却事件の本当の問題はなにか(マスコミ9条の会「メディアウォッチ」) 投稿者 天木ファン 日時 2007 年 6 月 21 日 19:11:12)
http://www.roc-taiwan.or.jp/news/week/07/070403c.htm
光華寮事件最高裁判決について
平成19年4月3日
光華寮事件台湾(中華民国)代理人弁護士
小田 滋
畑口 紘
庭山 正一郎
金子 憲康
我々は、いわゆる光華寮事件にかかる平成19年3月27日最高裁判決(以下「本判決」)に接し、その国際法上の知識及び歴史上の事実認識への理解を全く欠如した内容に、驚きを禁じえない。
本判決の要旨は、本件訴訟の原告は、提訴当時から「国家としての中国」(中国国家)であると断じ、この中国国家は提訴当時、中華民国政府により代表されていたところ、同政府はいわゆる日中共同声明(日本政府と中華人民共和国政府の共同声明)により「中国国家」の正当な代表権限を失った、とするところにある。
しかし、「中国」(英語ではChina)が一つの「文明圏」であることは疑いないが、「国家」として近・現代史に登場するのは、清国であり、中華民国であり、また中華人民共和国であり、「中国」という国家は未だかつて存在したことがない。加えて、「中国という文明圏」において、清国等の国家が統治する地域は、時代によって異なっており、全く同一の国家が存在していないことは、公知の事実であるにもかかわらず、本判決はこの事実を無視している。過去、中華民国も中華人民共和国も、自己が現実に統治する地域に限定されることなく、中国という文明圏全体をその統治下においているという主張をしていた時期があったり、その主張を続けたりしているが、そのような主張の存在をもって、「中国」という国家が存在することの根拠にはできない。
現に、日本政府も、昭和27年の日華平和条約締結の際には、その適用範囲を事実上、台湾及び周辺諸島とし、また、昭和47年の共同声明の際には、台湾が中華人民共和国に帰属するという中華人民共和国政府の主張を単に尊重する、という立場にとどめたのであって、中国という文明圏全体を統治する国家が現実に存在するとの認識を示していない。
また、国家の成立要件として領土・住民・政府を挙げるのが伝統的な国際法の理解であるが、最高裁は、「中国国家」とは、どの範囲の領土を有し、いかなる住民を擁していると認識しているのか、本判決上からはまったく理解できない。台湾に居住する住民の利益が中華人民共和国政府によって代表されていないことは公知の事実であるが、最高裁がその事実を本判決の際に考慮した形跡は、本判決書のどこにも見当たらない。
本判決は、上記のような歴史的事実関係を無視し、日本政府が歴史的に示してきた認識、あるいはこれを示さない政治的な配慮まで踏み越えて、国際法上の国家概念についても反する「国家としての中国(中国国家)」なる虚像を創出した誤りを犯している。
本判決が誤った非常識な結論に到達したことは、本判決が被上告人の表示につき「旧中華民国 現中華人民共和国」という肩書を添えて、「被上告人 中国」としたことに端的に現れている。中華民国は、現在も24か国との間で正式な国交を有している。中華人民共和国政府も自らの国家の正式名称を「中華人民共和国」としており、「中国」とは名乗っていない。本判決の被上告人に関する表示は、本訴訟の当事者として「中国国家」なるものを創出したことの自縄自縛の帰結と評価するほかない。
そもそも本件は、中華人民共和国が成立した後である昭和27年に台湾(中華民国)がその経済的負担のもとに購入した不動産の所有権を根拠にして不法占拠者に明渡しを求めている事件である。台湾住民が、人民自決権の行使の結果として自らの代表である台湾(中華民国)政府を通して本件不動産を購入し、かつ不法占拠者に裁判上の権利を誠実に行使してきたにもかかわらず、今回の判決はその所有関係の実体を直視せず、誤った観念的な「中国国家」像を前提にして台湾住民の権利行使を許さないとした。本判決は、本件不動産の所有権の帰属について何ら具体的な判断を示さないままに形式的な処理をするに止まり、事案の真の解決になんら益するところがない。
このように本判決は、提訴後40年、上告からも20年を経過した本件の処理につき、私的紛争の終局解決を本旨とする司法の最高機関がその本来の役割を果たしたものと到底いえないことは明らかであって、遺憾の極みである。
以上
【光華寮事件台湾(中華民国)代理人弁護士 2007年4月3日】
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