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□マスコミが語らない「松岡ショック」の裏側 [インターネット行政調査新聞]
http://www.gyouseinews.com/domestic/jun2007/001.html
マスコミが語らない「松岡ショック」の裏側
――松岡農相を死に導いたのは何か――
平成17年に6選を果たし、昨秋の安倍新内閣誕生の折りに初めて閣僚の座に就いた松岡利勝農相が、5月28日の昼、議員宿舎のリビングでパジャマ姿のまま首を吊って自殺した。現職の閣僚が自殺するという前代未聞の事件に政界は揺れ動き、安倍政権は7月の参院選を控え厳しい局面にぶち当たったと言える。
松岡自殺の背景
松岡農相は今年に入り「ナントカ還元水」で話題になった事務所費問題で追及を受けていた。また、緑資源機構の官製談合事件問題に絡む献金問題でも、国会で取り沙汰されていたのはご存知の通りだ。緑資源機構問題では、業務を受注していた業者が参加する業界団体「特定森林地域協議会」の政治団体「特森懇話会」からの献金の件で検察が動くのではないかとの観測も流されていたほどだ。同事件では担当者が、逮捕された公益法人の一部から献金を受けていたことが判明している。
だがこれに関し、検察幹部の口調は一様に重い。「事件に関係しているかどうかをこれから調べる、という段階だった」というのだ。
自殺直後、検察幹部が口々に「残念」と語った新井将敬・衆院議員のケース(平成9年)とは異なる反応だ。証券取引法違反容疑で逮捕寸前の新井氏に比べ、今回は支援企業などを独占禁止法違反容疑の関係先として捜査し、押収資料の分析を始めたばかりだった。
「東のムネオ、西のマツオカ」と揶揄される仲にある新党大地代表の鈴木宗男衆院議員は自分のホームページ上で故松岡利勝農相が自身の事務所費の問題などについて「今は黙っていた方がいいと国対(自民党国会対策委員会)からの、上からの指示なのです。それに従うしかないんです」と鈴木氏に語っていたことを明らかにしいてる。
鈴木氏は以前から松岡氏と懇意で、5月24日夜にも東京都内で会食した席上、鈴木氏が「国民に心からのおわびをしたらどうか。国民に土下座し、説明責任が果たされていなかったと率直に謝った方がいい」と進言。これに対し、松岡氏は「自分も謝りたいが、今は黙っているしかない。政府方針も決まっているので、私が何か言うとおかしくなる」とも語ったという。
ただしこれに関し、自民党の中川秀直幹事長は記者会見で「国対に確認したが、そういう事実は一切ない」と否定している。
松岡農相自殺のウラには緑資源機構に関連する黒いカネの問題が潜んでいるに違いない――。マスコミ報道を見る限り、誰もがそう考えるだろう。
たしかに松岡利勝氏の周辺には黒い噂が絶えなかった。それはまた、脇の甘さ、ガードの甘さでもあり、その甘さが命取りになったとも言える。だが、野党が追及した事務所費の問題にしても緑資源機構の問題にしても、「何とか松岡農相を辞任に追い込もう」とする力が働いての結果だったことを認識すべきだ。
誰が得をするのか
今年(平成19年)1月、スイスのダボスでWTOドーハ・ラウンド(新多角的貿易交渉)に関する非公式会議が開かれ、ここに参加した松岡農相は次の会合を東京で開くことを提案。世界がこれを認め、ドーハ・ラウンドの再開が決定したものだ。ダボス会議ではその後、2国間会合が活発に行われて交渉が進展。日本、米国、欧州連合(EU)、オーストラリア、ブラジル、インドのG6閣僚会合で「G6として年末までの合意に貢献する」との閣僚コミュニケがまとまった。これも松岡農相の力によるところが大きい。
松岡農相自殺の報に接した農水省の小林事務次官は「農相は持ち前の博識・経験と交渉力で農政に取り組まれていた。大きな衝撃を受けている」と述べている。次官の衝撃は実際のところ、日本の農政全体が受けた衝撃でもあった。
松岡氏はかつて農林水産物貿易調査会長を務めるなど、農相就任前からドーハ・ラウンドの現場に立ち会い、海外に人脈も構築していた。そうした意味では数少ない実務派の政治家だったのだ。今年夏までの合意へ向けヤマ場に差しかかっているラウンドで、日本政府は松岡氏の交渉力だけに望みをかけていた。特に、高関税が維持される「重要品目」についてWTOのファルコナー農業交渉議長が「1〜5%」を提案するなど、日本に不利な情勢が生まれつつあるときで、これをはね返すことができる唯一の人間は松岡利勝農相しかいないのだ。
さらに、米国産牛肉の輸入問題でも、国際獣疫事務局(OIE)が米国を牛海綿状脳症(BSE)の「準安全国」と認定したのを受けて、米政府が近く正式に輸入条件緩和を要請してくることは火を見るより明らか。農水省は消費者の反応との間で難しい判断を迫られる局面を迎えている。松岡農相さえ健在であれば、米国の無法な圧力さえはね返すことが可能だったかもしれない。
また、経済連携協定(EPA)の推進をめぐっては、経済財政諮問会議などで米、欧州連合(EU)との交渉を主張する声が日本国内にまで強まっている。農林水産省としては、急激な農業市場開放論に対抗する松岡氏の発言力にも期待していた。また、バイオ燃料の利用拡大、農産物の輸出促進など、松岡氏が先頭に立って進めていた政策が影響を受ける可能性もある。
つまりひと言で言えば、松岡は日本の農政にとって絶対必要な切り札であり、それは同時に、米国、豪州、EUなど対立する国々にとっては「最も不要で消えてほしい閣僚」だったのだ。
野党による執拗な松岡叩きの背景に、こうした世界の事情が関連していることは当然のことだ。そう考えると、「国士・松岡利勝」を叩き、日本の農政を破壊して外国に売り渡そうとした人間こそ「売国奴」と呼んでよいだろう。
参院選が日本の分岐点になる
「松岡農相を任命し、辞任要求を断って彼を農相の座から下ろさなかった安倍首相に責任がある」との声も一部には上がっている。これについて安倍首相自身も「任命権者だから当然、総理として閣僚の行動に責任を感じている」と自らの任命責任に言及。松岡氏をかばい続けてきた首相の政権運営に影響が及ぶのは必至との見方も強い。
だがいっぽうで安倍晋三首相は松岡農相自殺の翌日には、自民党の当選4回の衆院議員と会食し、自殺した松岡利勝農相について「名誉のために言うが、農政の専門家として世界貿易機関(WTO)交渉など頑張ってくれた」と述べ、松岡氏の実績を訴えている。
安倍新内閣の支持率は松岡農相の自殺後急落。発足以来最低の36%(朝日新聞)にまで落ち込んでいる。小泉前首相は「抵抗勢力」という名で敵対する政治家たちとの対決姿勢を鮮明にしていたが、安倍晋三の場合にはそれがない。言ってみれば、「味方でもあり敵でもある」人材に囲まれているのだ。チェイニー、ラムズフェルド等のネオコンに操られたブッシュとガッチリ手を結んだ小泉前首相とは異なり、米国権派を味方につけながらアジア外交を展開し、「日本の戦後レジーム(体制)からの脱却」を唱える安倍晋三にとっては、自民党古参議員たちはすべてが敵とも言える。
そうした状況のなか、安倍首相が「農政に必要な人材」として閣僚に入れた松岡利勝氏が自殺に追い込まれた。それは脱米親亜の動きを見せる安倍政権叩きの一環でもあり、旧体制派の必死の抵抗の結果とも言えるだろう。
そうしたなか、松岡利勝氏は議員会館のリビングで首を吊って自殺した。日ごろ形式を重要視し、服装にも気を遣う男が、なぜか昼に、パジャマのままの姿で首を吊っていた。それほどまでに精神状態が混乱していたのだろう。
本紙は故・松岡利勝農相を「日本の農政のために全力を尽くした国士」だと考えている。だがそれは、松岡氏の周辺を賑わしている黒いカネ問題を消去しようとするものではない。 今後、松岡氏をめぐる数々の疑惑について真相を明らかにしないままの幕引きとなれば、安倍政権に批判が集中するのは不可避だ。年金記録漏れ問題とのダブルパンチを食らいかねない。
7月の参院選結果次第では政権基盤が大きく揺らぎ、一気に政局化する可能性もある。安倍政権が秋以降、検討に着手する抜本的な税制改正などの重要課題の行方も、流動的な要素が出てきそうだ。
日本という国がどこを向くのか――。いよいよ参院選から目を話せなくなってきた。■
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