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http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200706011107195
2007年06月01日掲載
沖縄密約
「勝つつもりで最後まで裁判をやる」 沖縄返還密約訴訟の代理人・藤森克美さんが講演
沖縄返還に伴う日米密約をめぐる訴訟で、西山太吉さんの代理人を務めている藤森克美弁護士が、このほど都内で講演し、控訴審への期待や西山さんの刑事裁判の再審実現の意欲などを語った。藤森弁護士は、民事訴訟で最高裁に3度差し戻しをさせたうえで勝訴した経験がある。「今回の訴訟は『どうせ負ける』と思っている人たちが多いかもしれないが、私は勝つつもりでやっている」と話した。(文責・中邑真輔)
▼なぜ西山さんの代理人になったのか
刑事事件の有罪判決確定後、西山さんが初めてマスコミに登場したのは、「週刊金曜日」(2000年11月24日号)の本多勝一さんのインタビューだった。その中に、国際法に詳しいある弁護士の談話として、「外務省には説明責任がある」とする囲み記事があった。主に次のような内容だった。
【アメリカに比べて日本の公的情報の開示があまりにも遅れている。また外務省がいまだに密約はなかったと主張しているのはひどい話だ。しかし、法律論として刑事告発できるかとなると難しい。条文を改ざんしたのならともかく、原本そのものなのだから。また国会で事実と異なることを言った点も、内容的に密約部分の項目を別の項目に含ませただけで、全体の枠としては変わらない。とはいえ、はっきりと米公文書で密約が明らかにされた以上、外務省には説明責任がある。法的にはともかく、政治的、倫理的には大きな問題だろう。】
私はこれを読んですごく違和感を持った。“法的にはともかく”という言い方に。「アメリカから(密約の)証拠が出てきたのなら、それに基づいて西山さんの名誉回復を求めるべき」という談話があってしかるべきではと思った。
その後、2002年12月に毎日新聞社の労組主催のシンポジウムがあり、参加していた西山さんに書面で「ご自分の名誉回復措置としては、どういうことを考えていますか」と質問した。
西山さんからは「法律家を含む7人に吉野文六氏(元外務省北米局長)らの調書を提供してあり、刑事の再審を含む措置を考えてくれている。再審ができない場合は、その7人に声明文を出してもらうことになっている」との回答があった。
しかし、それ以降まったく動きがなかったので、2003年8月に西山さんに手紙を書いた。同じ年の10月ぐらいに返事が来た。「刑事事件の担当弁護士に相談したが消極的で、ほかの弁護士からは返事も来ない」というようなことが書かれていた。それであるとき、西山さんに事件に関する資料を貸してくれないかとたずねた。
刑事の再審申し立ては裁判所の判断をひたすら待たなければならない。国家賠償訴訟は相手を法廷に引っ張り出せるし、相手の様子もわかる。それで「国賠をやりませんか」と勧めた。2005年3月に西山さんのゴーサインが出た。
▼「志の低い」1審判決
1審の加藤謙一裁判長は、除斥期間などを理由とした判決を書いて事実から逃げ出した。実に情けない、志の低い判決だ。今回の裁判で一番訴えたかったのは、「主権者は国民であり、タックスペイヤーの目から見て西山事件をどう判断するか」ということ。日本が法治国家であるならば、裁判官は事実と証拠に向き合って判断しないといけない。実体は沖縄を金で買い取ったようなものではないか。
もし、当時の日米の力関係でそうせざるをえなかったと言うのであれば、正直にそう言って国民の判断をあおげばいい。それが本来の法律の姿だと思う。
佐藤栄作元首相が「ノーベル賞を取りたい」という個人的野心のために、いろんなウソをついたり、犯罪をおかした。権力中枢がおかした罪は裁判官が見て見ぬふりするようでは法治国家ではない。そんなことがまかり通るのは許されることではない。
作家の澤地久枝さんも(西山さんの刑事裁判を取材した)『密約』の中で次のように書いている。
「主権者は国民。タックスペイヤーの視点で刑事裁判はとらえないといけない。アメリカには情報自由法があり、何十年か後にはさまざまな情報が公開される。そうなれば国会答弁ではウソをつかないことが前提になる。仮にウソをついていたことが何十年か後に文書として公開されれば、後世の人たちに批判される。そういう恐れを持つことになる。そうなれば真実が同時代の中でも出てくるだろう」
それは今の時代でも生きた言葉ではないかと思う。
▼控訴審では河野洋平氏らを証人申請
今の時代は裁判官にも非常に温度差がある。私は消費者被害の事件を多く担当している。訴訟の途中で裁判官が代わると、展開がガラリと変わることが多い。
消費者に暖かい目を持つ裁判官も数は多くないが、いる。住民訴訟も手がけているのだが、1審、2審では負けたものの、最高裁で3回差し戻された末に勝った訴訟もある。
だから裁判官にもまともな判断のできる人がいる。控訴審では“まともな裁判官”に当たることを期待している。控訴審でもおかしな判決が出た場合は上告も考えている。
控訴審では河野洋平衆議院議長、吉野文六氏の証人申請をするつもりだ。吉野さんには密約の存在を本人が認めた後に話を聞きたいと思い、手紙を出した。電話もしたが「来なくて結構だ」と断られた。
刑事の再審も西山さんに勧めている。刑事の再審では「除斥期間(時効)だから」と言って逃げられない。有罪判決を覆すような新証拠が出てきたのかどうかを判断しなければならない。アメリカで見つかった公文書が新しい証拠に該当するのか、中身を判断しなければならなくなる。しかし、なかなか西山さんが「うん」と言ってくれないので実現していない。私はめげていない。
多くのマスコミの人たちも「どうせこの裁判は負けるよ」と公言したり、腹の中で思っているようだ。私はまじめに、勝つつもりで、この裁判を引き受けている。粘り強くやって行きたいと思っている。
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