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http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070601k0000m070193000c.html
社説:年金2法案 焦るほど世論は離れていく
野党が猛反発する中、社会保険庁改革関連法案と年金時効停止特別措置法案が1日未明、衆院本会議で与党の賛成多数により可決された。年金支給漏れ対策として提出した特措法に関する委員会審議は実質わずか4時間。野党が抵抗したのも当然だろう。なりふり構わず衆院通過を急いだ政府・与党の姿勢は、かえって国民の不信感を増幅させるだけではなかろうか。
社保庁改革法案は2010年に社保庁を廃止し、非公務員型の新組織「日本年金機構」に移行するのが柱。特措法案は年金受給者の請求権の5年の時効を撤廃して支給額を全額補償する内容だ。
安倍晋三首相は特措法成立を急ぐ理由を「一刻も早く支給漏れ対象者を救済するため」という。だが、それを真に受ける人は少ないはずだ。
この問題は民主党が今年1月末の今国会冒頭から本格的に追及していた。ところが政府は当初は真剣に取り合ってこなかった。あわて始めたのは最近になってメディアが一斉に報じ始めてからだ。
しかも、秋の臨時国会提出と言っていた特措法案を急に今国会に繰り上げたのは世論調査での内閣支持率急落という事態を受けたためだ。97年以来放置してきた責任だけでなく、今年に入ってからの対応もおよそ「国民のため」とは程遠かったのである。
では、なぜ急ぐのか。7月の参院選を控え、一日も早くけりをつけることで幕引きを図り、選挙の争点になるのを避けたい−−。つまり、国民でなく自らの政権のためと見られても仕方あるまい。
既に指摘している通り、支給漏れ対応策の実効性も定かでない。首相は大量のデータ照合を1年以内で終えると約束したが、果たして可能なのか。記録がなく納付した証明がない人は、弁護士や税理士による第三者機関が判断するというが、どれだけの規模の体制を作るのか。ごく短時間の審議で不明な点が解消されないまま、「後は任せてくれ」と言っても、それは無理な注文だ。
首相はまた、社会保険庁職員を「親方日の丸の体質」と再三批判している。民主党を支持する労組にも責任があると言いたいようだ。しかし、この間、ずっと政権を担い、行政にも責任を負ってきたのは自民党だ。首相がきちんと責任を認めない点にも疑問を感じている人は少なくないだろう。
首相や与党は3年前、年金が大きな争点になって敗北した参院選の再現を恐れていると思われる。
前回参院選は閣僚や政党幹部の年金未納が続々と発覚し「年金改革を審議している政治家がこの有り様では信用できるはずがない」と国民の不信に火をつけたことを忘れてはならない。対応策が信頼できるものかどうかだけでなく、それを検討する政府や与党の姿勢を国民は見ているのだ。
与党は参院送付後も同じように拙速に審議を進めようとするのだろうか。だが、焦れば焦るほど参院選で有権者からしっぺ返しを受けることになるだろう。
毎日新聞 2007年6月1日 1時46分
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