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2007年05月29日
復興支援という名の金のバラ撒き
最近の外務省幹部たちは、やるべき仕事がなく手持ちぶさたにしているに違いない。こういうと読者は怪訝な顔をするかもしれない。重要な外交案件が山積しているではないかと。それはその通りである。しかしそれらの一つ一つが行き詰まっている。解決する知恵も外交力もない。それでもメディアが騒いでくれているうちはまだいい。メディアの注目をあびるうちはそれで仕事をしていると錯覚できる。国民もそう思って外務省の仕事振りを報道してくれるからである。しかしそれもなくなった。プレスに注目されなくなるととたんに外務省の仕事が見えなくなってくる。寂しがって「プレスが書いてくれる事を考えなければならい」となるのである。これは私が外務省にいた時の体験から話していることだ。
具体的例を示そう。北朝鮮を巡る北朝鮮問題である。靖国問題を巡る日中関係の問題である。かつての国連安保理加盟問題である。普天間基地移設問題である。そのいずれもが連日のニュースで流れる日がかつてはあった。ところが今ではニュースにならなくなった。六カ国協議は完全に米朝の問題に移ってしまった。小泉前首相の手で破壊された日中関係はとりあえず収まった。国連安保理改革は凍結された。米軍再編問題はもはや交渉する話ではなくなった。あとは防衛省が実施するだけである。いずれも我々の生活になんのプラスももたらさない状況であるのに、メディアの監視対象外に置かれて忘れ去られていく。
外務省の当面の仕事は6月の主要国首脳会議である。しかしこれがまた中身のない政治ショーになってしまっている。しかも今回のサミットの主要議題は環境問題、国際金融問題、自由貿易協定などであり外務省の権限の及ばないものばかりである。まったく出番がないのだ。
そこで外務省はいつもの手を使う。つまり援助だ。これは手っ取り早い。誰も文句を言わない。外務省だけで勝手に決められる。受け取るほうは決して文句は言わない。そういう訳で、5月28日の産経新聞一面にパキスタンのアフガン国境地域開発に数十億円の支援を行なうという記事がのることになる。麻生外相が5月30日にドイツで開かれるG-8外相会議で表明するという。外務省が産経新聞に意図的にスクープさせて書かせたのだ。宣伝させたのだ。
その裏にはさらにまた次のような事情がある。アフガンは反米テロ勢力が猛烈な勢いで巻き返している。混乱の極みだ。本来は自衛隊の派遣によって治安確保に向けた協力をしなければならないところを、さすがに自衛隊に危害が及ぶため、再三にわたるNATO、米国の要望にも関わらず断わり続けている。その代わり、援助資金だけはバラまくというわけだ。それを麻生外相のサミットへの手土産にしようとしているのだ。
しかしこれはあまりにも安易なやっつけ仕事だ。パキスタンとアフガンの国境はイスラム原理主義勢力タリバンの拠点であり毎日のようにアフガニスタン越境テロが繰り返されている。開発計画を支援し、タリバン浸透の芽を摘むのが狙いであると、まことしやかな理由をつけているが、血税の無駄遣いである。かつて私が経済援助の担当をしていた時、援助が紛争地域には決して行なわない、行なえない、という大原則があった。それはそうだろう。紛争地域に援助したところですぐに破壊されるであろうし、そもそも紛争地域への援助資金の供与は政治目的に使われる事が明らかであったからだ。効率的な援助を確保できる状況にはないからである。そもそも紛争の一方に援助するということは紛争に関与する事になる。
それが今では日本の援助政策はすっかりゆがんでしまった。開発計画も不明なままに、ただただ金をばら撒いて、戦争への協力要請を金の力でかわすためだけの援助である。それを復興援助と詐称しているのだ。パレスチナに対する援助もサマワの人道援助もすべてはそれだった。もっとも筋の悪い援助資金の使い方だ。その血税を正しい人道援助に使うならば、どれだけ多くの関係者が喜ぶか計り知れないのに。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/05/29/#000399
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