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慎太郎への米長流三行半 [AERA]
http://www.asyura2.com/07/senkyo35/msg/375.html
投稿者 white 日時 2007 年 5 月 28 日 16:48:41: QYBiAyr6jr5Ac
 

□慎太郎への米長流三行半 [AERA]

 http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070528-01-0101.html

2007年5月28日
慎太郎への米長流三行半
相思相愛だったはずの2人の仲に何が。東京都の教育委員として
石原流の教育改革を支える将棋界のドンが放った捨て身の「次の一手」は――。
 昨春のことだ。石原慎太郎知事あてに痛烈な手紙が届いた。
《あなたの現状は青島幸男都政の末期よりもひどい状態なのに、気がついていないんじゃないですか――》
 差出人は、日本将棋連盟会長の米長邦雄氏(63)。石原知事とテレビ番組の子育て談議で意気投合し、99年12月、都教育委員に就任。国旗・国歌をめぐる学校現場での指導徹底に熱心なことで知られ、石原知事が掲げた「心の東京革命」の一翼を担ってきた一人だ。
 互いの教育論をたたえ合っていた2人に何があったのだろうか。
 米長氏に取材を申し込むと、「回答文」が編集部に寄せられてきた後、面会して話を聞くことができた。
「教育委員はいわば文部科学大臣のような存在。その大臣の言うことを、事務次官である教育長以下、都教委事務局が聞かない。そうしたことが続くものだから、知事に対して、『あなた、どんな人事をしているの?』という思いがあったんですよ」
 そんな思いが高じて、冒頭の手紙となったようだ。もっとも、
「人間関係が悪くなりはしていません、その後も会ってますしね。ただ、石原さんにとっては、これ以上の屈辱的な内容はなかったでしょう」
「このままじゃ終われない、三期目もやるぞ、と決心させる効果はあったと思いますよ」

都は「極めて迷惑な」
 一見、「石原vs.米長」とみえる対決の構図。ところが、周辺で話を聞いていくと、石原知事本人とというよりは、都教委事務局と米長氏の抜き差しならない緊張関係が浮かび上がってくる。
 回答文にもあるように、米長氏が「東京都ほど、行政職が幅を利かせている都道府県教委はない」などとイライラを募らせている一方で、都教委側も「勝負師だからか、敵をつくりたがる。『都教委事務局vs.校長』というありもしない構図をつくって、対立を煽る傾向がある。極めて迷惑な人」と不信感をあらわにし、こんな証言をする都教委関係者もいる。
「全校長を集めて各教育委員が話をする公式の場で、米長さんは『私の関心は人事だけ』『教育の行政支配を改める』などと言い放つ。参加した校長から『都教委はああいうことを言わせておいていいのか』と文句を言われた職員もいたほどです」
 両者の話を総合すると、対立が決定的になったのは、国旗・国歌の指導をめぐる「個別的職務命令」の取り扱いをめぐってのようだ。「個別的」とは、式典の際、教師に起立・斉唱するよう求める文書命令。校長が一人ひとりの教師に命令書を手渡す形をとる。横山洋吉前副知事が都教育長のときに、「校長を救うための窮余の一策として示した」(都教委)ものだった。

 関係者の一人はいう。
「懇談会の席で、正常化が進めば、文書から口頭での命令に切りかえるように指導したいがどうか、と持ち出したところ、何を勘違いしたのか、都教委が180度方向転換したように誤解して、騒ぎ始めたんです」
 個別的職務命令は異常事態と判断したからこそ抜いた「窮余の一手」。口で言ってすむなら、やめた方がいい、というのが現場の校長たちの意見であり、都教委の言い分だった。
「ところが、『これまでの努力はどうなるんだ』と議員の一部と一緒に怒り出して、あんな教育長を任命する石原知事はけしからん、となっちゃったんですよ」
 一度、「信頼」の歯車が狂い始めると、両者の不信はとめどなく噴き出すことになった。知事に「直訴」された都教委側の怒りもまたすさまじかったようだ。

想定以上の苛烈さ
 別の都教委関係者は憤る。
「組織破壊者ですね。ユニークな教育論に知事は期待したようですが、いまでは、まさに鬼っ子そのもの。知事も知事で、『なんで、米長とうまく付き合えないんだ』と、まるで都教委側に非があると言わんばかりの物言いです。現場の苦労が分かっていない、無責任きわまりないですよ」
 だが、そもそも、米長氏の苛烈さは、石原知事の望んだ以上だったのではないか。
 たとえば、国旗・国歌。
 石原知事は初当選前、毎日新聞(99年3月13日付)のインタビューでこう話している。
――日の丸、君が代を学校の行事に強制しますか。
石原 日の丸は好きだけれど、君が代って歌は嫌いなんだ、個人的には。歌詞だってあれは一種の滅私奉公みたいな内容だ。新しい国歌を作ったらいいじゃないか。好きな方、歌やあいいんだよ。
 いまでは、都庁内では広く知られた知事就任前の国旗・国歌観。それゆえ、知事就任後、都教委の学校現場での指導が「徹底」されていっても、教職員組合関係者でさえ、こう話していたほどだ。
「石原さん自身、都教委の暴走に戸惑っているのでは。だって、君が代の話になると、『教育長の言うとおり』『都教委のしていることだから』と多くを語りたがらないでしょう」

日々、都教委と戦い
 そんなころ、ニュースになったのが、米長氏の園遊会での天皇への言葉だった(04年10月)。
「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」
 と胸を張った米長氏に対して、天皇が、
「やはり、強制になるということではないことが望ましい」
 と事実上たしなめたあの一件だが、定例会見で感想を求められた石原氏は、
「そばにいたわけではなく、報道でしか判断できないのでコメントは差し控えたい」
 と述べるなど、慎重な言い回しに終始したように見えた。
 米長氏の心中はどうだったのか。
「知事が発言できる次元の問題じゃないから、あれがベストだったでしょう」
 本誌の取材に米長氏は淡々と話すのだが、「石原知事がフォローしてくれなかった、と米長さんが悔しがっていた」「米長さんにすれば、はしごをはずされたようなもの」と話す関係者もいる。
 夏の参院選に出馬表明している自分の甥っ子への全面支援を米長氏が公言していることを、石原知事とのこの反目の延長線上で語る棋界関係者もいる。甥っ子が、先の都知事選で石原氏3選に弓を引いた民主党からの出馬だからだが、それはともかく、米長氏にとって、園遊会での発言や教科書採択、タカ派色ばかりが注目されるのは、「あまりに朝日的」で、自身の活動を知らない皮相的な見方だ、と不満なようだ。
「私の戦いというのは、4年に一度の教科書採択や、1年に1回の卒業式ではなくて、日々の都教委事務局との戦いのことなんですよ。マスコミもそこに切り込んでいこうとしない」
 教育委員になって、今年末で2期8年。大方の予想では、ほぼ同時期に就任した鳥海巌元丸紅会長とともに教育委員を退くとみられている。東京都の教育改革は進んだのだろうか。
「学校内部の改革はこの8年で進んだことは間違いありません。ただし、石原知事がいまも順調に進んでいると思っているのに対し、私は改革が停滞していると思っている。そこは明らかに違う。それに、都教委事務局は、私が一日も早くやめることが最大の教育改革だと思っている。こちらからすると、事務局こそスリム化すべきなんですがね」

泥沼流で打開ねらう
 対立、対決というエネルギーのいる立ち位置をまったく厭わないのは、半世紀以上、勝負の世界に生きてきた達人ゆえなのだろうか。
 実は、5月25日は、再選をめざす将棋連盟の役員選。振り返れば、会長就任後、将棋連盟の財政立て直しを掲げて、「瀬川さんのプロ編入」やコンピューター将棋との対戦などの話題作りの一方で、名人戦の主催問題や、最近では女流棋士の独立騒動でも奔走した。
 常人の神経なら重圧で押しつぶされそうなものだが、現役時代、盤上でのさわやかさとともに、劣勢な時ほど戦線を拡大して局面をねじる「泥沼流」の棋風でファンを魅了したご当人はどこか楽しそうだ。
「この記事がでると、次の教育委員会はたいへんですねえ」
 次回の教育委員会定例会は棋界の選挙前日の5月24日。都教委の嵐はしばらく続きそうだ。

米長氏から編集部への文書回答
 東京都は行政職(役人)が教師や校長より上と思っている人が多いようだ。日本一校長の地位が低い都道府県である。校長の仕事は他県以上に行政系のために忙しくなっている。
 私の発言は常に校長の味方であり、現場優先。部長、課長クラスにビシビシと発言しているのは常に校長側に立つからで、当然役人には面白くない存在。
 高校経営支援センターの所長、支所長は6名が当然教員系が占めるべきポスト。今は部長の出先ポストになっているから良くない。教育長そのものを校長出身者から史上一度くらい就任させるべきだ。そうでないと、日本一おくれている役人天国の都の教育改革は進まない。しかし、石原都知事でも組織の歴史を覆すことはできないであろう。私と都知事の仲は良好だが、知事が役人に取り囲まれた感はある。
編集部 藤生 明

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