★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK35 > 249.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
2007年5月26日(土) 朝刊 23面
「軍命捏造」証言に反論/「集団自決」訴訟
【大阪】沖縄戦時に慶良間諸島で起きた住民の「集団自決」をめぐり、命令を出したとの記述で名誉を傷つけられているとして、当時の戦隊長らが作家の大江健三郎さんや出版元の岩波書店に損害賠償などを求めている訴訟の第九回口頭弁論が二十五日、大阪地裁(深見敏正裁判長)であった。
岩波側は、元琉球政府職員が「渡嘉敷村の『集団自決』に援護法を適用するため軍命を捏造した」との証言を掲載した産経新聞報道を、原告側が証拠として提出したことに書面で反論。「産経新聞に掲載された証言は信用できない」と主張した。原告側は弁論でこの問題に言及しなかった。
原告側は、「集団自決」の軍命に関する岩波側主張を(1)手榴弾交付=命令説(2)軍官民共生共死の方針に基づく「政治体制命令説」(3)日本軍による「広義の強制(命令)説」―と分類。
(3)については「主体を特定しない『兵隊』(による命令)や、住民らの言動から『命令があったに違いない』と評価したものを含んでいる」と指摘し、戦隊長が直接命令を出したと断定できるものではないとした。戦隊長による「狭義の命令」の立証を求めたとみられる。
口頭弁論は今回で終了し、七月二十七日に証人尋問を開始。九月十日に那覇地裁で出張法廷が開かれ、渡嘉敷村で「集団自決」を体験した金城重明さんが証言する予定。
◇ ◇ ◇
「捏造」証言の元援護課職員
人事記録で指摘
国の方針決定時 担当外
原告側が証拠として提出した、元琉球政府職員が渡嘉敷村の「集団自決」に援護法を適用するため、軍命を捏造したという内容の二〇〇六年八月二十七日付産経新聞記事に対し、被告側は法適用の方針が明確になった時期に同職員が援護課に在籍せず、調査する立場にはないと指摘。被告側は同職員の採用時期が証言にある昭和二十年代後半ではなく昭和三十年で、援護課職員ではなく中部社会福祉事務所職員として採用されたことなどの人事記録を証拠として提出、「元職員の証言は信用できない」と反論した。また、元職員が戦隊長とともに自決命令文書を書き、厚生省(当時)に提出したという証言に対し、情報公開請求の結果、厚生労働省に文書がなかったと指摘した。
産経新聞記事で元職員は、昭和二十年代後半から琉球政府社会局援護課で旧軍人軍属資格審査委員を務め、援護年金支払いのため渡嘉敷島で聞き取りを実施、住民の誰一人として「集団自決」が軍の命令だと証言しなかったとしている。
しかし、被告側が今回提出した琉球政府の人事記録では、元職員は一九五五年(昭和三十年)十二月に、琉球政府の中部社会福祉事務所に社会福祉主事として採用された。その後、五六年十月南部福祉事務所、五八年二月社会局福祉課と異動、五八年十月には社会局援護課に勤務している。
これまでに被告側が証拠として提出した琉球政府資料によると、五七年五月に日本政府は「集団自決」犠牲者も援護法の対象とする方針を明示、同年七月に処理方針を決定。被告側は「五八年十月まで援護事務に携わる援護課に在籍していない元職員が、渡嘉敷島住民から聞き取りをしたり、援護法適用のため自決命令があったことにしたとは考えられない」と指摘した。
修正検定 恩納議会も意見書
【恩納】教科書検定で高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する日本軍の関与が削除された問題で、恩納村議会(山城良一議長)は二十五日、臨時議会を開き、検定意見の撤回を求める意見書を全会一致で可決した。あて先は、内閣総理大臣、文部科学大臣、衆参両議院議長ら。
意見書では、「現在係争中の裁判を理由に、元隊長である原告の主張のみを一方的に取り上げることは、文科省が自ら課している検定基準を逸脱しているばかりでなく、これまでの体験者による証言や『県史』を否定しようとするものだ」と、文科省の検定意見を批判。
その上で、「沖縄戦における『集団自決』が、『軍による強制・強要・命令・誘導等』なしには起こりえなかったことは、否定することの出来ない事実であり、悲惨な地上戦を体験し、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられてきた県民にとって、到底容認できるものではない」と、検定意見の速やかな撤回と、「集団自決」の記述を復活させるよう強く求めている。
沖縄タイムス
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705261300_04.html
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK35掲示板
フォローアップ: