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http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2007/05/20070515s01.htm
「社説」
国民投票法(憲法改正手続き法)が14日成立した。これで、茶の間でも職場でも、憲法論議は避けて通れなくなる。
憲法論議の現状を指すのに、「九条二元論」という言い方がある。戦争放棄と戦力の不保持をうたう憲法九条を中心とした改憲論と護憲論を言う。幅広い議論を求める政界にはこれに対する批判もあるが、論議の核心を表す言葉には間違いない。
そして今、注目しなければならなくなったのは、新しい「九条二元論」が安倍晋三首相自身とその周辺から結果として提起されていることである。首相の改憲志向が九条に向いているのは言うを待たないが、この場合の「二元論」とは、明文改憲か解釈改憲かということを指す。
投票法により明文改憲の権利を得た国民にとって「明文か解釈か」の選択には釈然としないものがあるが、それが今後の憲法論議の新たなテーマに付け加わることになるのは確かだ。
解釈改憲論が急浮上したのは、言うまでもなく、政府が憲法解釈で禁じてきた集団的自衛権行使の一部容認を検討する有識者会議を安倍首相が4月下旬に設置したことがきっかけだ。
集団的自衛権の範囲を従来の「どんな場合も認めない」から「日本の安全保障に関係ある場合は認める」に転換することが狙いと言われる。同盟国を攻撃する弾道ミサイルが日本付近を通過するときにミサイル防衛システムで迎撃できるかどうか―など四類型が研究テーマだ。
九条を明文改正するなら解釈改憲は要らない。だが、国会の改憲発議に必要な3分の2の賛意を自公民の与野党三党で保証できる展望がない中では、明文改憲より解釈改憲が現実的というわけか。安倍首相の本意は明文なのか解釈なのか。国民はかたずをのんで見つめている。
共同通信が12、13両日に行った世論調査によると、集団的自衛権行使禁止の政府解釈に関し「今のままでよい」が62.0%と4月の前回調査を上回った。逆に「憲法解釈を変え、行使できるように」は前回を下回って13.3%にとどまった。
有識者会議のメンバー13人のうち12人が、政府のこれまでの憲法解釈を批判したり解釈変更を求めていたりしたことが分かっている。今回の調査結果は、その有識者会議が18日に活動を開始することに懸念を強めたものとみていいだろう。
国民が抱くこうした懸念には、過去からの幾つかの教訓が下敷きとなっているように思う。
「自前の憲法」を求めてきた自民党は1960年代以降、その時々の政治状況から九条の明文改正を棚上げする代わりに、政府解釈や関係法の操作でなし崩し的に自衛力の増強や自衛隊の活動範囲を広げてきた。
昨年末の防衛省昇格法では、自衛隊の海外活動が「本来業務」に格上げされ、日米間の軍事一体化が強化されたばかりだ。
国民の懸念はまさにこうした「解釈改憲路線」に向けられている。安倍政権は、解釈の後に明文で―の戦略を描いているかもしれないが、今回の調査結果を謙虚に受け止めるべきだ。
2007年05月15日火曜日
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