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集団的自衛権をめぐる議論の結論はこれできまりだ(天木直人のブログ)5/18
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投稿者 天木ファン 日時 2007 年 5 月 18 日 11:35:51: 2nLReFHhGZ7P6
 

2007年05月18日

集団的自衛権をめぐる議論の結論はこれできまりだ

   今日5月18日は集団的自衛権について研究する安倍首相の私的懇談会の初会合が行われる。様々なケースを想定して、どれが集団的自衛権の行使といえるのか、どこまでが今の憲法の下において合憲と解釈されるのか、などにつき、結論を出すと言う。ご苦労なことだ。
   もっとも、懇談会メンバーに選ばれたいわゆる有識者と称する官僚OBや御用学者らは、自説を開陳して自らの存在を世間にアピールしようと張り切って腕をさすっている事だろう。彼らにとっては絶好の自己宣伝の機会なのだ。メンバーに選ばれなかったタカ派の連中は、何故俺が選ばれなかったのかと歯軋りしていることだろう。いずれにしてもくだらない話だ。
   なぜくだらないか。それはこれからメディアを通して流されるおびただしい議論は、すべて意味のないことであるからだ。「集団的自衛権は一定の範囲であれば現行憲法の解釈で認められる」という結論が、「はじめにありき」であるからだ。そして、その一定の範囲とは、すべて米国が日本に協力を要請してくる場合を想定したものなのだ。
   5月18日の朝日新聞 「論考 集団的自衛権」の中で、元内閣法制局長官の秋山収という人が、極めて明快な意見を述べていた。さすがに現役の時は、こういう意見を公言できなかったに違いない。いや、たとえ現役を退いたとしても、安倍強硬政治一色の今の世の中で、こういう発言を行うには勇気がいった事に違いない。よほど今の安倍首相の姿勢が危険であると思ったのであろう。誰かが歯止めをかけなければいけないと考えた末での投稿であったと思う。そして、この元内閣法制局長官の次の言葉の持つ意味は極めて重い。我々は、これから繰り広げられる集団的自衛権をめぐる不毛な議論に耳を傾けて自分の頭を混乱させるよりも、「この意見で決まり」であると思ったほうがいい。ただでさえ短い人生だ。もっと他に議論すべき重要な事がある。

・・・(歴代の政府が一貫して維持してきた)政府見解では日本が自衛権を行使するには三つの条件が必要だ。@わが国への急迫不正の侵害A他の適当な手段がないB必要最小限度の実力行使にとどめるーこの三要件だ。
  特に「わが国への急迫不正の侵害」という点が重要で、他国が攻撃されても自衛隊が応戦できるという解釈はできない(つまり集団的自衛権の行使はこれまでの政府の解釈では出来ないという事について既に答えは出ている)。
・・・政策論として集団的自衛権の行使を認めるべきだ、という主張は理解できる。だがそれは法律論ではない。憲法9条は、自衛隊の行動に国際法の基準以上の厳しい制約を課している。強引に解釈を広げれば、国際法と憲法との解釈が一致し、憲法の意味がなくなる・・・内閣法制局は憲法の規範的な意味を守ってきた。首相はそうした積み重ねを無視しないで欲しい。時の政府の判断で解釈を変更できるのなら、公権力を縛る憲法の意味が失われてしまう。歴代の首相が集団的自衛権の行使を「真っ黒」(違憲)と言っているのを「真っ白」(合憲)にするのは至難の業だ。解釈変更をしたいのなら、憲法改正で正面から対応するのが筋だ・・・

   これ以上の答えがあると言うのか。これで決まりである。それほど集団的自衛権の行使を認めたければ憲法9条を堂々と変えてみればいいではないか。これである。
   そしてこの点について、同じく5月18日の朝日新聞の「声」の欄に、常岡せつ子という横浜在住の53歳の大学教授の次のような意見が掲載されていた。憲法学者の一人として、安倍首相の改憲を公言する姿勢が、憲法99条で定める「憲法尊重擁護義務」に反する違憲ではないか、という読者の質問に答える形で投稿したものである。

  彼女は、「内閣に改憲の発案権があるかという問題については、学説がわかれており、仮に内閣に発案権が認められなくても、安倍首相は国会議員の資格で発案できる」とした上で、次のように述べているのである。

・・・為政者に改憲の発案権があるとしても、改憲の限界、つまり、どのような「改正」も認められるかという問題が残ります・・・憲法の基本原理を変える変更は、現憲法の否定であり、もはや「改憲」とは呼べないというのが学説の通説となっています・・・(ですから憲法9条を変えることは)新憲法制定、またはクーデターとも言うべきものです。96条の(改憲の)手続きで行うのは国民を欺くものです・・・

  その通りである。これが通説なのだ。すなわち集団的自衛権行使を容認すると言う事は、安倍首相とその取り巻きによるクーデターなのである。そう考えると、国民投票で為政者の改憲の試みを拒否することは、国民の側のクーデターである。私が繰り返し声を上げてきた日本の歴史上はじめての民主革命であるということだ。やっと日本国民も欧米諸国がとうの昔に成し遂げた民主革命を手にする時が来たのだ。
  こう考えれば雲が晴れたようにすべてハッキリとする。マスコミはこの点を繰り返し強調すべきだ。国民がこの事に気づくならば、為政者の改憲の企ては吹っ飛んでしまう。政権そのものが民衆の目覚めで倒されてしまう。安倍首相はとんだやぶへびの失敗を犯そうとしている。愚かだ。


http://www.amakiblog.com/archives/2007/05/18/#000381

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