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小泉シンクタンク:トヨタのスモールギフト (山本尚利)
http://www.asyura2.com/07/senkyo34/msg/843.html
投稿者 ウソ捏造工場 日時 2007 年 5 月 17 日 18:20:08: OszuLYfIhReeI
 

ベンチャー革命2007年5月13日より
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr230.htm


1.目立たない「小泉シンクタンク」の船出

奥田碩トヨタ相談役(前経団連会長)の旗振りで、昨年2006年10月、国際公共政策研究センター設立(本部三井本館)が発表されています。そして2007年3月12日、その設立総会が行われたそうです(注1)。あのケチな経団連系日本大企業が、珍しくも1社1億円規模の寄付を出し、18億円もの基金が集まっているそうです。このセンターの顧問は、いうまでもなく小泉前首相です。そのため、このセンターは別名「小泉シンクタンク」とも呼ばれています。日本の財界人はこのセンターを活動拠点にして、小泉純一郎氏にノーベル平和賞を獲らせようと画策しているとも言われています。いってみれば、沖縄返還の功績でノーベル平和賞をもらった、かつての佐藤栄作元首相(安倍首相のおじ)の二番煎じです。しかしながら、小泉氏自身は「小泉シンクタンク」がマスコミに取り上げられるのを快く思っていないようです。確かに、設立総会のマスコミ報道があったと記憶していません。

 ところで、多忙を極めるハズの日本の財界人奥田氏は、なぜこれほどまでして、引退した小泉氏のためにコマメに動き回ってくれたのでしょうか。近年の日本社会では、いかに大企業の社長であろうが、一国の首相であろうが、年齢満期で、いったん引退したら二度と再登場することはないので、普通、現金な周辺は手のひらを返したように冷淡になるものです。にもかかわらず、首相の座を降りた小泉氏(ただの人)のために、奥田氏を筆頭に財界人がここまで尽くすのは、いったいなぜなのでしょうか。小泉氏が再度、首相の座を狙っているのなら理解できますが・・・。周知のように小泉前首相は宿願の郵政民営化を果たし、抜け殻のようになっています。後継の安倍首相がいくらチョンボしても、まさか自民党総裁選に再挑戦するエネルギーは残っていないでしょう。小泉氏は、一般の自民党政治家のような大臣病亡者でもなさそうです。彼は心底、郵政民営化をライフワークにしていたはずで、自民党総裁ポストを獲ることは、その宿願の目的達成の手段であったと筆者は思います。自民党には、大臣になることを手段でなく、最終目的としている本末転倒の俗物議員が多いなかで、小泉氏は確かに異色でした。この点に限って、筆者は今でも小泉氏を高く評価しています(笑)。

2.なぜ、トヨタ奥田氏は小泉前首相に義理があるのか

 さて2007年5月9日のニュースによれば、トヨタ自動車は2007年3月期決算で、売上24兆円、営業利益2.2兆円と、史上空前の好業績を達成したそうです。2008年度には、トヨタは米国ライバルのGMを抜いて、晴れて世界一の自動車メーカーになる見込みだそうです。ところで、筆者の持論、米国覇権産業論(注2)に従えば、自動車産業は米国の準覇権産業のカテゴリーであり、日本の自動車メーカーが、米国の自動車メーカーを追い抜くと、米国覇権主義者から弾圧される危険があります。そこで、筆者は2000年頃から自動車専守防衛論(注2)を唱えてきました。すなわち、日本の自動車メーカーは決して、米国市場で米国ライバルの販売シェアを上回ってはいけないと主張してきました。かつての日米自動車摩擦の経験から、米国市場で米国ライバルを追い抜くことの危険性を知り抜いているトヨタは2005年頃から、不振の米国自動車メーカーのシェアアップを利敵支援するため、意図的に値上げを繰り返してきています。これぞまさに、オウンゴール(自殺点)に等しい値上げ作戦です。しかしながら、トヨタの米国市場における対顧客ブランド力は予想以上に強く、トヨタの期待に反し、値上げしても販売台数が落ちなかったのです。その結果、トヨタの営業利益が倍増し、値下げしても売れない米国ライバルとの収益力に著しい格差が生じてしまいました。

 そこで、トヨタの経営陣は最近まで、米国覇権主義者からどのような仕打ちを受けるか、戦々恐々の毎日であったと想像されます。ところが、予想に反して、今のところ米国覇権主義者からのトヨタ弾圧はほとんどないのです。なぜでしょうか。筆者は、米国覇権主義者の要求(米国の対日年次改革要望書)(注3)に沿って達成された小泉政権時代の郵政民営化のおかげで、トヨタ・バッシングの圧力が手加減されていると読んでいます。

 このように情勢分析すると、トヨタ奥田氏からみて、今日、トヨタが史上空前の好業績を達成できているのは、ほかでもない、小泉前首相のおかげであるという結論になります。つまりトヨタにとって小泉氏は世紀の恩人ということになります。そういえば2005年の9.11郵政民営化選挙でトヨタが全社を挙げて小泉陣営を応援したことが思い出されます。このような背景を鑑みれば「小泉シンクタンク」にトヨタ1社で18億円だしても十分おつりがくるほどです。ところがさすが、お金もうけのうまい尾張のトヨタです。ちゃっかり他社にも寄付させたわけです(笑)。

3.ブッシュ政権はなぜ米国トヨタに寛容になったのか?

 米国の非軍事製造業のシンボルGMを追い越しそうな勢いのトヨタに猫のようにおとなしくなったプレデター、米国覇権主義者(80年代末、トヨタの車をハンマーで叩き壊していた人々)ほど気味の悪いものはありません。まさに借りてきた猫ならぬ、借りてきたライオンです。実に滑稽です。しかしながら、筆者の分析によれば、獰猛なライオンがおとなしい巨大猫に化けても不思議はありません。そのわけは、日米の損得勘定を天秤にかけてみれば一目瞭然です。上記のように日本製造業のシンボル、トヨタの売上24兆円、営業利益2.2兆円(北米市場売上比率50%超)とのこと。一方、プレデター米国覇権主義者は(1)小泉前首相の国民だましの大芝居のおかげで300兆円規模の日本国民の虎の子財産、郵貯・簡保資金に自由に介入できるようになる。(2)今回のイラク戦争資金(100兆円規模?)のうち30~40兆円相当を小泉政権に工面してもらった(イラク戦争当時、小泉政権は対ドル円高是正の名目で大量の円売り・ドル買いオペで米国債を買い続けた)。

 つまり米国覇権主義者が大山鳴動して小泉政権を脅迫し、日本国民にはねずみ一匹(トヨタの大もうけ)の利得にすぎないわけです。米国覇権主義者にとって、この際、名門GMやフォードを犠牲にしても、トヨタを米国で泳がしておくほうが、はるかに有利であることが判然とします。これくらいのそろばん勘定は幼稚園生にも理解できる理屈です。

 以上の分析からわかることは、小泉政権の功罪とは、未来に残すべき日本国民の財産を大きく毀損させたにもかかわらず、その引き換えにトヨタなどごく一部の日本企業(技術経営論の視点から米国の技術覇権を脅かさない安全パイ日本企業)が幸運にもウハウハであったにすぎません。われわれ一般国民はまったく割りに合いません。トヨタ幹部はこのカラクリを重々、承知でしょう。

4.明暗分かれた(?)小泉前首相とブレア英首相

 2007年5月10日のニュースによれば、トニー・ブレア英国首相が、任期を3年も残して6月中途退陣が発表されました。その理由は、英ブレア首相も小泉前首相に負けず劣らず、親ブッシュ政策をとり、ブッシュ政権の仕掛けた不正義のイラク戦争に協力してきたことが英国民からの決定的な不信任を招いたからです。彼は「うそつきブレア」として後世に言い伝えられるといわれています。その「うそつきブレア」も退陣間際に改心したのか、一時的とはいえ、少なくとも首相在任中の米国のイラン先制攻撃実行を回避した(?)点は評価できます(注4)。翻って、日本の小泉政権はイラク戦争当時、国民の目を自衛隊イラク派兵問題に向けさせて、そのウラで、ブッシュ政権の支出したイラク戦費(100兆円規模?)のうち、こっそりと30~40兆円相当を間接的に献上させられたのですが、幸か不幸か、大半の日本国民はそのカラクリに気づいていないのです。ちなみに、91年湾岸戦争時、日本は150億ドル(1.8 兆円)を公に拠出させられています。それに比べて今回のイラク戦争は桁違いの事実上の隠れ拠出金となっています。なお目くらましのカモフラージュに過ぎない自衛隊のイラク派兵(人道支援)は米軍にとってほとんど役に立たないことは自明です。にもかかわらず、賢明な英国民とちがって、お人好し日本国民の大半は、小泉前首相を売国奴呼ばわりすることもありません。しかしながら、小泉首相が、トヨタのスモールギフト(小泉シンクタンク設立)についてのマスコミ報道を嫌っていることから、筆者が上述したようなブッシュ政権との間での著しい不平等取引に屈したことが、いつ、国民にばれるかヒヤヒヤなのではないでしょうか。田中派の天敵、福田派に属していた小泉氏は、若い頃、郵政利権を当時の田中派に奪われ、郵政族憎しという個人的恨みを、あろうことかプレデター米国覇権主義者の力を借りて復讐したにすぎないのでしょうが、その副作用として、近未来、日本国民の失うであろう財産の毀損は天文学的規模となることを十分、認識しているハズです。トヨタから「小泉シンクタンク」をプレゼントしてもらったくらいでは、良心の呵責で有頂天になっていられないハズです。ましてやノーベル平和賞なぞをもらっても、片腹痛しで、おそらくうれしくはないでしょう。

 その意味で、長期的にみて小泉氏とブレア首相のどっちが最終的に明暗の明となるか、まだ完全に答えはでていません。

注1:ヤフー政治ニュース(2007年5月1日)

http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070501-01-1101.html

注2:テックベンチャーNo.56『平成尊皇攘夷論(スーパー二流国の勧め)』2000年3月28日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/ATT00009.htm

注3:マスコミに出ない『年次改革要望書』関連リンク

http://www.asyura2.com/0505/senkyo11/msg/389.html

注4:ベンチャー革命No.227『バージニア対長崎同時射殺事件:未必の故意か?』2007年4月21日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr227.htm

山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm

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