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<憂国の士の論説コーナー>
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/
2007.5.15(火)
堀本秀生(旧大宮市在住)
「憲法改正手続法案」の採択日程は、地方公聴会に向かうバスのなかで決められた。
議員のみなさん、国会の審議は公開の場で、議事録が必要です。
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地方公聴会の告知はどこにあるのか
8日の夜、社民党から三輪隆さん(埼玉大学教員・憲法学)に、10日午後の浦和の地方公聴会で、意見陳述者を引き受けてくれとの依頼があったそうです。三輪隆さんは「九条の会・さいたま」代表世話人です。三輪隆さんのメールには「引き受けることにしました」とありました。なにせ夜なので9日の朝一番に、参議院・憲法特別委員会事務局に「地方公聴会」の場所と時間、申し入れについて、打ち合わせをすることにしました。
私は「九条の会・さいたま」世話人の事務方の責任者をしています。9日の朝から世話人に10日の「地方公聴会」の場所と時間を連絡するかたわら、申し入れ行動に必要な「陳情書」と当日まくチラシの作成などを急ぎました。参議院のホームページを見た人は、「浦和での地方公聴会の告知がない」と連絡がありました。9日は世話人にとって忙しい日となりました。傍聴券の手配、仕事が終わってから、事務所に駆けつけて、深夜にかけて横断幕を作成などしました。
採決が前提とされた公聴会
私は、浦和駅西口で、ホテルの前で申し入れ行動をする先発メンバーと待ち合わせました。それは派遣委員の人数、移動手段、到着時間が明らかになったからです。
派遣委員は自民4人、公明1人、民主3人、社民1人、国民1人、計10人で、特別委員の移動手段は、午前中の特別委員会の審議を終えたあとバスで午後1時ごろ国会を出発、午後2時10分ごろ会場に着く予定が明らかになりました。
会場は、浦和の東武ホテルです。この会場は「郵便貯金の民営化と郵政の分割」法案が提出される前、分割された郵政の3社を仕切る米国の会社の入札のために使われたことがあります。 先発メンバーから聞いた話ですが、先発グループが「地方公聴会」の会場についたときにちょうど国会議員を乗せたバスがホテル前に到着、こちらが抗議行動を始めると、走るように会場ホテルの中に駆け込んだそうです。
会場前で「改憲手続き法案、強行採決反対!」の横断幕を掲げて、「問題点について審議をつくせ」「強行採決はするな」を訴えました。傍聴に入った人の話では、会場のなかまでよく聞こえたとのことです。
「公聴会」を住民は誰もしらない
私たちは、午後1時30分過ぎから駅前を通行する人にマイクで話しかけ、チラシまきをしておりました。ともかく、10日の午後2時30分から午後4時45分まで浦和の東武ホテルで参議院憲法特別委員会の「公聴会」が開かれていることを住民は誰も知らないからです。
“一緒に「公聴会」の会場に押しかけましょう”と話しかけました。私は、午後2時まで駅前で行動したあと、電車とバスで大宮の自宅に戻りました。駅前でチラシまきを続行していた世話人たちは、途中激しい雷雨に見舞われたため、午後4時ごろに打ち切り、「公聴会」の浦和東武ホテルに移動して、参議院日本国憲法特別委員会委員長宛てに、(1)審議のスピードを住民の生活時間に合わせること、(2)審議と審議のあいだの時間を取ること、(3)国民的論議を確保すること<の3点の陳情書を申し入れしました。
「地方公聴会」の“化けの皮”は厚い
途中仕事のため、自宅に戻りました。ちょうど3時でした。そこで知った記事には、「参院憲法調査特別委員会は10日午後、与野党筆頭理事による協議で、憲法改正の手続きを定める国民投票法案について、11日に締めくくりの質疑と採決を行うことで合意した。同案は与党の賛成多数で可決され、14日の本会議で成立する見通しだ」とありました。いったい、今、浦和で開かれている「地方公聴会」はなんなのか、と腹が立ちました。
一方、それが、野党の民主党が賛成してのことと知って、与野党逆転(政権交代)に向けて全国行脚をしている小沢代表の足を引っ張る民主党の国会議員の振る舞いに怒り心頭です。
「地方公聴会」をインターネットで調べると、「衆参両院の各委員会が重要案件について学識経験者らから意見を聴くために開催する。国会法の規定により、本予算については開催が必須条件。開催に当たっては議長の承認を得て委員長が日時や案件を公示する。地方都市で「地方公聴会」が行われることがあるが、法的には正式な公聴会ではなく、議員派遣の一形態として行われる」(「ニュース百科」東奥日報)とあります。
三輪さんは「議員派遣の委員会」での意見陳述のため、直近に送られてきた胸の厚さぐらいの資料を読み、10日の朝に意見陳述メモを作成したと、言っていました。
何のための地方公聴会? 意見陳述は審議の参考にならないのか
派遣された委員は、委員長の関谷勝嗣氏(自民)、委員の岡田直樹氏(自民)、田中直紀氏(自民)、荻原健司氏(自民)、荒木清寛氏(公明)、前川清成氏(民主)、広田一氏(民主)、小林正夫氏(民主)、近藤正道氏(社民)、長谷川憲正氏(国民)の計10人です。浦和の公聴会での意見陳述者は4名です。一般公募者は皆無、政党推薦者のみで、国会議員元秘書2名が含まれ、傍聴席は49席、傍聴者は24人、住民の傍聴をシャットアウトし、各会派に割り当てられた傍聴券を提示した者だけ傍聴することができました。
中山太郎議員元秘書は「憲法施行60年経っても、96条に基づく改正手続法が成立していないのは、立法府である国会の怠慢、早急に成立して欲しい」、と述べていました。
もう一人の与党推薦者は「GHQ裁判・自虐的歴史教育に端を発し、伝統文化、国民性を無視したGHQ案による憲法ではなく、日本人独自の憲法にすべき。自虐的歴史観を払拭し失われた近現代史を歴史認識した上で憲法改正すべきと考える」、と述べていました。
「憲法改正手続法案」に反対意見を述べたのは三輪隆さんのみでした。
住民をバカにしきった「公聴会」運営
10日のために、私たちは仕事を調整し、意見陳述のメモの作成、傍聴、ホテルの前と駅前で行動をしました。
しかし帰宅後、最初に耳に入ったニュースは明日(11日)委員会で採決がされることになったというものです。
強行スケジュールで委員(議員)をはじめ意見陳述人、傍聴人など多くの人たちを振り回し、揚げ句にあちこちで「地方公聴会」は開きました、もう十分でしょう。さあ、もう手を打ちましょうといった、われわれをバカにしきった国会運営を今日一日体験しました。
しかもその後の午後5時30分過ぎの「共同通信」の配信では、「国民投票法案11日採決、14日の本会議で成立へ」の大見出しに「理事間では、法案の重要性などを踏まえ、11日の締めくくり総括質疑に先立ち、同特別委の審議に安倍晋三首相が出席、憲法改正や国民投票に関する考え方などについて質問に答えることでも一致した。議員提出の法案に関し首相が“答弁”するのは異例」とありました。
そもそも「憲法改正手続法案」は議員提出ですから、安倍総理が出席するということそのものがあり得ない話です。
今回の「憲法改正手続法案」の審議の進め方に、安倍総理はいろいろと口を出してきました。総理には憲法擁護義務があります。その安倍総理に「憲法調査特別委員会」で語らせたのはとんでもないことです。
3月8日参議院予算委員会では、塩崎恭久官房長官が「内閣総理大臣の法案提案権」(憲法第72条)をもとに、「政府として憲法改正の原案としての議案についても内閣はこれを提出することができる」と答弁しています。憲法と国会によって行政権力を縛られるべき総理と内閣が、憲法改正の原案提出を想定しています。
密室談合をやめろ
今回の11日の採決に至る審議日程については、横浜の地方公聴会へのバスの中と思われます。正式に理事会は開催されておらず、よって了解されてもいないで、与党と民主の筆頭で決められたものです。
12日付け「東京新聞」朝刊「『民主が暴走に手貸した』/共産・社民・国民新が批判」との見出しの記事には、「共産党の志位和夫委員長は記者団に『民主党は中央公聴会抜きの採決に反対と言っていたのに、土壇場でひっくり返った。自民、公明両党の暴走に手を貸した責任は免れない』と批判。社民党の福島瑞穂党首は『本当に残念。民主党は野党第1党として、ひどい中身の法案に(本来)もっともっと抵抗すべきだ』、国民新党の亀井久興幹事長も『各党が十分納得して決めるべきものを、民主党だけが与党と話し合ってスケジュールを決めたのはやり切れない』と苦言を呈した」とありました。
「憲法改正手続法案」の提出者は自民党の保岡興治氏や船田元氏などです。二人は、参議院の審議で自民党・公明党と民主党の政党間の協議が十分に行なわれたなどの答弁を再三繰返しています。しかし、民主党の枝野幸男党憲法調査会会長を含めての“ホテルや密室での政党間の協議”がいくら行われても、それは国会の審議ではありません。密室談合に“待った”をかけて「審議」を多くの人の前に引きずり出したのは小沢代表の決断でした。
4月28日に枝野氏は、自民党の船田元・衆院憲法調査特別委員会理事らと進めた修正協議が最終段階で覆されたことを念頭に、「両方で現場の議論を聞いていない人が余計なことを言う」と、小沢代表の全野党共闘優先の決断を批判しました。
その枝野氏が5月3日のNHK番組において、「有識者懇談会」で集団的自衛権に関連して検討される4類型について「集団的自衛権行使には当たらない」との発言をしました。安倍総理と同じ立場であるのは偶然ではありません。
気骨ある記者たち
振り回された話ばかりではありません。とても勇気づけられる話がありましたので、この場をお借りして報告をします。
本ホームページの4月4日付け「憂国の士の論説コーナー」に登載された「パトリオットミサイル3・システム配備反対行動と報道機関のあり方」で、私は、3月30日の早朝の報道機関のあり方に疑問を呈しました。
これに関連し、「毎日新聞さいたま支局」が4月26日付け朝刊で2ページを使って、「パトリオットミサイル3・システム」の特集を組みました。
図で説明している「『PAC3』入間基地配備のツボ」、さいたま支局長の名前入りの「ご近所のミサイル」、当日会社の職務命令で“檻の中で”取材をした記者の「PAC3搬入から1ヶ月」の記事です。
さいたま支局長によれば、当日は「県議選・さいたま市議選の告示日だった3月30日とも違う意味で新聞の「枠」を意識した日でした」とあり、「こんな大事なことは地元埼玉の読者にきちんと伝えなくてはいけないのではないか」と頭をよぎったので、特集を組みました、書いてありました。当日、“檻の中で”取材をした記者の働きかけもあって実現をした特集だと思いますが、報道機関の中にも骨がある記者たちが健在と知って嬉しくなりました。
*関連資料 :地方公聴会の議事録
日本国憲法に関する調査特別委員会
第166回国会【5 月】平成19年 5月11日 第12号
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0206/main.html
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