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沖縄返還交渉「基地削減 議題ならず」/外務省吉野元局長(沖縄タイムス)
http://www.asyura2.com/07/senkyo34/msg/815.html
投稿者 天木ファン 日時 2007 年 5 月 16 日 22:19:00: 2nLReFHhGZ7P6
 

(回答先: 沖縄密約は6500万ドル 「基地削減は議論にならず」 協定違反も認識 吉野元北米局長証言で(日刊べリタ) 投稿者 天木ファン 日時 2007 年 5 月 16 日 22:17:06)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705161300_02.html

 沖縄の施政権返還から三十五年を迎えるに当たり、外務省アメリカ局長として返還交渉に当たった吉野文六氏(88)が十五日までに、本紙の取材に「日本は返還の時にもっと沖縄の基地削減を主張するべきだった。日本の安全保障政策に中長期的な将来像がないまま、沖縄の基地は三十五年間、放置されたことになる」と語った。当時の佐藤栄作首相が掲げた“本土並み”の形式を整えることありきで、返還交渉で沖縄の米軍基地削減が議題になることは一度もなかったことを指摘した。米軍再編で在沖海兵隊のグアム移転費に支出する日本政府については「基地問題を金で解決するやり方は当時からあまり変わっていない」と話した。
 吉野氏は一九七一年一月、アメリカ局長に就任。OECD大使、ドイツ大使などを歴任した。

 沖縄返還の背景について、吉野氏は「ベトナム戦争で米国の景気が悪化の一途をたどる中で、日本は対米貿易を大幅に伸ばしていた。米国の議会が不満を募らせて沖縄返還に反対するようになる前に、早く交渉をまとめてしまおうということだった」と語った。

 その上で、「返還当時から現在まで日本の安全をどう守っていくのかという根本的な議論がない。日米安保に基づいて沖縄の基地をどう位置付けていくのか。あるいは永久に安保なのか。戦略的な見通しがないまま、果たしてこれだけの基地が必要なのか、分からない」と指摘した。

 七一年の当時の国会は沖縄から核が撤去されるかどうかに野党の追及が集中。議論するべき安全保障政策には及ばなかったという。「安保騒動からまだ十年という時代ですから、機が熟していなかったということでしょう」と振り返った。

 吉野氏は、同じ敗戦国だったドイツを引き合いに対米寄りの日本に懸念を示す。「冷戦の崩壊後、米国の一極支配と経済のグローバル化を背景に、日本が軍事も経済も米国に頼り過ぎてきた結果ですね」と語った。(粟国雄一郎)


     ◇     ◇     ◇     
「協定違反」最後まで反対


 吉野文六さん(88)が外務省アメリカ局長として担った沖縄返還交渉の一つは、日本が秘密裏に支払う六千五百万ドル(一ドル三百六十円で二百三十四億円)を米側がどう使うかだった。返還交渉の内幕を記した米国の公文書に、吉野さんが登場する興味深い一枚がある。公文書によると、基地の修繕・維持費に充てたい米側の要求を日本側が受け入れる場面で、吉野さんら事務方は日米地位協定に違反するとして最後まで反対していた。日本側が認めたこの「密約」は後に「思いやり予算」として表面化する。

 返還協定調印を八日後に控えた一九七一年六月九日、パリで行われた愛知揆一外相とロジャース国務長官による日米会談。その模様について、我部政明・琉球大教授が発掘した米国の公文書はこうつづる。

 「吉野局長ら日本側は、米側の要求に応えることが明らかに地位協定に違反し、発覚する危険性があるとして、反対していた。愛知外相は部下の反対を押し切り、『私が責任を持って』と答えた」。愛知外相は口頭の約束であることを念押ししていた。

 吉野さんはこの公文書のコピーを手に「これは興味深い」と目を走らせた。

 短いため息の後、「当時のことはよく覚えていない」とした上で「明らかに地位協定違反ですから事務方としては当然反対しますね。六千五百万ドルですから(西山太吉・元毎日新聞記者が『密約』と指摘した)四百万ドルよりもずっと大きい」と苦笑した。

 愛知外相の対応には「米側にいい顔をしたいと思ったのが大半でしょうが、交渉期限も迫り、金で解決がつくならと考えたのでしょう」と述べた。

 日米地位協定には基地の維持経費は米側の負担とある。日本がその枠組みを踏み出して基地の修繕・維持費を負担するこの「密約」を、我部教授は後の「思いやり予算」と指摘する。米軍の駐留を後押しする原点になったとの問いに、吉野さんは「そういうことです」とうなずいた。

 復帰前の沖縄視察では、基地内だけが別天地のように小ぎれいで「早く交渉をまとめて沖縄を“本土並み”にしなければと思った」という。一方で、当時は「密約」の一端が明らかになり国会は大波乱だった。

 吉野さんは当時、国会答弁などで「密約」を否定し続けた。「『記憶にありません、記憶にありません』と言って本当に忘れようとしたんです」(粟国雄一郎)


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