★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK34 > 771.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2007051502016196.html
2007年5月15日 朝刊
国民投票法(憲法改正手続き法)が十四日、成立したことに対し、放送業界は、「公権力による介入の道が開かれる」(日本民間放送連盟・広瀬道貞会長)などと危機感を強めている。ただ有識者の間には、これまで同法に強く反対してこなかったとして放送局の姿勢を問題視する声もあり、放送業界は今後の対応が問われることになりそうだ。 (小田克也)
日本民間放送連盟の広瀬会長(テレビ朝日会長)はこの日、同法成立を受けてコメントを発表したが、そのポイントは二つある。
一つは、国民投票法が放送法と併せて、「二重の規制」につながると危惧(きぐ)していることだ。
放送法は、番組編集について、「政治的に公平である」や「事実を曲げない」と定めているが、国民投票法は、これらの点に留意して投票に関する放送を行うよう規定しており、放送業界にとっては、二重の“縛り”に映るのだ。
もう一つのポイントは、国民投票法で、テレビ・ラジオによる有料の意見広告の放送が投票期日前の十四日間禁止されることに対し、意見広告も情報の一つであり、それを規制することは、国民の判断を損なうことになりかねないと主張している点だ。
民放側がこのように強く反発している背景には、安倍政権の発足後、放送業界に対する規制圧力が急速に強まっており、国民投票法の成立を機に、そうした流れが加速するのではないか、との危機感があるからだ。安倍政権は、最重要課題に北朝鮮の拉致問題を位置づけ、菅義偉総務相は昨年十一月、世論から「言論・表現の自由を侵害する」などと批判されながらも、NHKに対しラジオ国際放送で拉致問題を重点的に取り上げるよう命じている。「こうした放送局への統制ともいえる行為は、『憲法改正手続きのため』という大義名分のもと、ますます増えるだろう」。ある放送関係者は、こう懸念する。
有識者は、どう見ているのか。桂敬一・立正大講師(ジャーナリズム論)は、国民投票法の成立を危惧する放送業界の姿勢に一定の理解を示しながらも、「先行きのことを考えれば、問題は国民投票運動の期間中のことだけではない。おかしなことを実施されて、それが憲法改悪に結びつくこともある」と強調。その上で、そうした根深い問題をはらんでいる国民投票法に明確に反対してこなかったメディアの姿勢こそが問題だと指摘している。
実際、放送業界は、放送法改正案についても、番組捏造(ねつぞう)問題の再発防止策が規制強化につながると反発する一方、悲願であるマスメディア集中排除原則の緩和が盛り込まれていることもあって、政治に対しては全体的に「寛容」な態度をとり続けたといえる。
国民投票法をめぐっても、当初はNHKも「放送事業者だけを対象とした規定が必要なのか」(石村英二郎理事)などと民放とともに反対していたが、同法が成立した十四日は、ノーコメントに終始した。国民投票法の「国民投票に関する放送の留意」の項目から、「公共放送」が外れたためとみられるが、こうした対応は、あいまいな印象をぬぐえない。
放送業界は、政治の側に対し、はっきりしない態度を見せてきたが、今回は、そのツケが回ってきたといえなくもない。民放連の広瀬会長は、国民投票法の成立について、「報道の自由、表現の自由が損なわれることのないよう、適切な措置が講じられることを強く求めていく」と締めくくっているが、業界の姿勢も問われるべきだろう。
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK34掲示板
フォローアップ: