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http://www.asahi.com/politics/update/0515/TKY200705150436.html
2007年05月15日23時21分
イラクへの自衛隊派遣を2年間延長するイラク復興支援特別措置法改正案は15日、衆院本会議で与党の賛成多数で可決され、衆院を通過した。イラク国内ではなおテロが多発し、米軍中心の多国籍軍がイラク政府に治安権限を移し終える見通しは立たない。政府は、自衛隊の撤退時期についても「主体的判断」を強調しているが、米国の出方次第というのが実情だ。
15日夜、イラクから自衛隊を引き揚げる「出口戦略」について記者団から問われた安倍首相は、「国会で何回も答弁していますよ」と強弁した。
しかし、首相の国会答弁は具体性を欠く。14日には、こう説明した。
「国連及び多国籍軍の活動や、構成の変化等の諸事情にも十分注意を払い見極めながら、イラクの復興の進展状況等を勘案して判断していかなければならない」
イラク南部のサマワで活動した陸上自衛隊も、同様の判断をもとに昨年夏、撤退した。しかし、現在も多国籍軍や国連の人員と物資を運び続けている航空自衛隊は存在感を高めている。そのことが、出口戦略の検討をより難しくしている。
陸自の撤退は、サマワを含む州での治安権限移譲の機をとらえ、近辺で活動する英豪両軍と米軍の3カ国と調整した。一方、空自の活動の焦点は多国籍軍の治安維持活動支援となっており、調整相手は格段に多い。
出口戦略を探るうえで確実なのは、ブッシュ米大統領の姿勢だ。イラク特措法の延長期間を当初検討した1年から2年に延ばした背景には、大統領が米軍の増派を決定したことを「09年までの任期中は撤退しないという大統領の決意の表れ」と判断したことがある。
4月末の日米首脳会談でも、イラクでの協力を同盟の象徴として強調。イラクで活動中の26カ国の多国籍軍が次々と退いた場合でも「英豪韓の大所は米と連携を取りながら撤退時期を探るし、自衛隊もそこと連携していくことになる」(政府関係者)としている。
ただ、14日の衆院イラク特別委で、米軍増派の効果を聞かれた麻生外相は「我々はその(増派の)努力に敬意を表している。これがただちに結果を得られるのか、判断できるものを持っていない」。米国の戦略すら読み切れないのが現状だ。
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