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裏・教育再生会議が始動 [AERA]
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投稿者 white 日時 2007 年 5 月 14 日 18:03:18: QYBiAyr6jr5Ac
 

□裏・教育再生会議が始動 [AERA]

 http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070514-01-0101.html

2007年5月14日
裏・教育再生会議が始動
首相肝いりの教育再生会議は、第2次報告に向け、エンジン全開疾走中。
ところがここへきて、足元の自民党から、またも批判が起きている。
「子守歌と母乳で育児」
「テレビ見ずに観劇を」
「親学 家庭内まで指針/再生会議が具体論提言へ」
 教育再生会議って、何やってんのか……。と思わずつっこみたくなる記事が、毎日新聞の朝刊一面トップに載った4月26日。
 午後、都内で開かれた同会議の分科会で、ある委員が「私が記者に話したことが出てしまった。決まったこととして話していないのだが……」と釈明したという。この分科会は前の週に、「親学会」副会長の高橋史朗明星大学教授を招き、いまの親の問題について議論。議事要旨によれば、
「6カ月健診のときにふるさとの子守歌を歌うことなども含め、母性と父性を育て、社会を変えるようなメッセージを発信したらどうだろう」
 と、山谷えり子首相補佐官がまとめていた。

7つの疑問
 教育再生会議は、昨年10月の発足以来、ひんぱんに会議を開いている。5月に予定される第2次報告を前に、4月の第4週は4回も開いたほど。
 第2次報告では、大学院改革や規範意識を教えるための道徳の教科化、学校選択制を念頭に学校により予算配分に差をつける……などを検討している。第1次報告は文部科学省が議論してきた既定路線を半ば踏襲したものだったが、今度はいよいよ具体論。
 忙しい委員たちも熱心に議論していることは間違いない――のだが、ときに百家争鳴そのままに話はあちこちへ広がり、毎週のように「教育再生会議が××を提言」とニュースが流れる。
「あっちが表の官邸ならこっちは裏だな」
 首相官邸を見下ろす衆院第一議員会館の会議室で、若手・中堅の自民党衆院議員が笑い合った。
 河野太郎氏を会長に、6人の若手議員でつくる「マネジメントの観点からの教育再生会議」。
 通称、「裏・教育再生会議」。
 副会長が後藤田正純氏。あとはみな新人議員で、事務局長が、元JICA職員で、国際NPOピースウィンズ・ジャパンなどで活動してきた山内康一氏。ほかに上野賢一郎、橋本岳、篠田陽介各衆院議員。教育問題に関心の高い河野氏と山内氏を中心に、シンクタンクや理工系出身など、何らかの形でマネジメントや実証的研究に携わった経験者が加わった。
 1月に再生会議が出した第1次報告「七つの提言」に対し、「教育改革の改革を――教育再生会議への7つの疑問」を4月にまとめた。「議事録を読んだ印象は教育時事放談」とスッパリ。いわく、
(1)科学的な検証に基づき教育問題を検証する専門家が欠けており人選に疑問
(2)「学力の低下」などの問題意識の前提になる具体的なデータが欠けている
(3)規範意識の低下といった問題の発生原因が明確に示されていない。ゆえに対策も唐突
(4)目標設定が具体的でない。「父母を愛し、兄弟姉妹を愛し」といった目標を国家が教育を通じてどう実現するのか
(5)「教育格差を生じさせない」と「分権化を最大に進める」が同時に掲げられるなど基本方針の矛盾もみられ、方向性があいまい
(6)実証のない論理の飛躍
(7)教育に対する過剰な期待
 5月の連休明けに、発表する予定だ。
 事務局長の山内氏は、「安倍政権批判ではないんです」と前置きしたうえで言う。
「再生会議は印象とイメージで議論しており、科学的実証データに基づいていない。実証研究こそ必要です」
 次々繰り出される提案に、
「これではおいしいタコ焼きとソフトクリームをぐちゃっとまとめたようなもの。柱が見えない」
「7つの疑問」は、はじまりにすぎない。今後さらに、独自の改革提言をまとめたいという。
 第2次報告に盛り込まれるという「留学生100万人」計画に、ある文科省幹部は、こう語る。
「06年度で留学生は12万人だが、10万人にするのに何年かかったと思っているのか。留学生を2025年ごろに100万人にする方針だそうだが、こういうことを言った瞬間に、思いつきでものを言っていると思われ、会議の信頼を落とす。中曽根首相のときの臨時教育審議会と比べたら、省内はまったく動じていない」
 また、文教族のベテラン、自民党の鈴木恒夫衆院議員は、こう語る。
「当初の混乱は落ち着いてきたけれど、議論に深みがない。自戒をこめていうが、経済財政諮問会議にひっぱられたような競争原理の話ではなく、もっと哲理や根源的な話をしてほしい」
 発足後半年たって、いまだに方向性が問われてしまうのはなぜなのか。

国会でも追及
 会議の迷走ぶりを知らしめたのが、審議の「公開」問題だ。
 4月17日、衆院本会議。教育三法の審議入りで自民党の馳浩衆院議員が代表質問に立った。
「再生会議はどうして中教審のようにマスコミにオープンではないのでしょうか」「公開に難色を示すメンバーがいるとすれば、なにをかいわんや」
 そして、
「指導が不適切な教員を現場から排除する仕組みとして免許更新制を導入するという発想には、断固反対します」
 と続けた。教壇に立ったこともある馳氏は自らの経験をひきながら、
「ダメ教員を一方的に評価して現場から駆逐するという発想があっては、人間教育のはずの学校現場が殺伐とし、教員に求められる多様な個性を萎縮させかねない」
 とも述べた。
 馳氏が質問が終わって席に戻ると、文教族のドン、森喜朗元首相がわざわざ「よかった」と言いに来た。数日後には、小泉純一郎前首相からも「あの演説はよかった」とほめられた。
 民主党の岡田克也元代表も、その日の自分のブログに「今日の馳議員の質問はかなりポイントを突いた、ある意味ではかなり良い質問をされていた」と書いた。

見せられない?
 再生会議の議論は非公開だ。冒頭の撮影や、事後の記者説明はあるが、野依良治座長の「塾禁止」発言も後日、議事要旨が公表されて初めてわかった次第。関心が高いのに「議論の様子がみえない」という批判は当初からあった。
 第1次報告の後の2月、再生会議事務局も分科会を公開する方向で委員にはかった。その場で出たのは賛成意見ばかり。
 ところが3月になって一転、非公開が委員に通告された。関係者の間には「官邸に近い1人の委員が反対し、首相との距離の力関係で決まった」という憶測が広がっている。
 首相の一大関心事で政権の看板政策にしては、統率がとれていないというか、軽いというか。教育再生会議の「再生」も、必要かもしれない。編集部 秋山訓子

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