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http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2007/05/20070512s01.htm
憲法改正手続きを定める国民投票法案は11日の参院憲法調査特別委員会で与党の賛成多数で可決された。14日の参院本会議で成立の運びだ。これにより、初めて現憲法改正の具体的手続きが法的に整備される。
今後の政治日程をにらみ、法案成立の意味を考えてみたい。
まず第一は、成立を受ける夏の参院選が、憲法改正発議の判断を含めて本格的な改憲論議にかかわる可能性の高い議員を選ぶ選挙になるということだ。
投票法の公布から施行までの3年間は改憲原案の審査や提出が凍結され、国民投票の実施は早くても2011年秋以降となる見通し。夏の参院選の当選議員の任期は13年夏までなので、初の国民投票に立ち会うことになるかもしれないわけだ。
11年秋までには、今夏を含め参院選2回と衆院選(任期満了)1回を経なければならない。11年秋以降、衆参両院本会議で3分の2以上の賛成を必要とする改憲発議がなされるかどうかは、この3回の国政選挙を通じ、「3分の2」への合意が蓄積されるかどうかにかかる。夏の参院選はその最初のステップの大事な選挙となるだろう。
国民投票の期日は国会発議の日から60日以上180日以内と決まっている。しかし、発議できる前提は国民的な合意であることを考えると、改憲の是非を含む国民的な合意形成のプロセスは発議後ではなく、夏の参院選から始まるとも言えよう。
第二は、与党提出の投票法案が参院特別委でも先の衆院本会議でも、与党が野党の反対を抑えて可決されたことの意味だ。
これは自民、公明と民主の与野党三党が続けてきた法案修正協議だけでなく、国会発議に必要な三党による「3分の2」体制を否定したことになる。民主党内から「これで改憲の合意形成はできなくなる」との声が出ているのも分からなくない。
こうした与党の対決路線の引き金となったのは、「憲法改正問題を夏の参院選の争点に」とした安倍晋三首相の発言だ。国政選前ならではのけんか腰の構えとはいえ、発言のベクトルが向けられた先が気に掛かる。
集団的自衛権の行使をめぐる安倍首相の一連の前のめり姿勢がその一つと言えるかもしれない。ハードルが高そうな明文改憲ではなく、憲法解釈の変更を優先する方向に向かうとしたら、明らかに危険なことだ。
安倍発言のベクトルが向かう先のもう1つは、ちょっと言葉の深読みになるかもしれないが、11年秋までに与党議席を衆院で引き続き3分の2以上、参院でも2回の選挙で3分の2以上の獲得を目指す―という野党への宣戦布告ではないのか。
その実現可能性はともかく、政権政党の党首の発言としては勇ましい限りだ。しかし、解釈改憲路線も危ういが、この「与党独り勝ち」路線も、いくら参院選向けのパフォーマンスとはいえ、危険なにおいが漂う。
巨大与党路線への傾斜は二大政党化を否定し、政治を弛緩(しかん)させる。衆院の現状に見る通りだ。日本の政治にとって幸福なことではない。
2007年05月12日土曜日
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