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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007051202015408.html
政府の教育再生会議が子育てに関する提言を見送った。首相直属の諮問機関が一定の家庭像を国民に押しつけることは筋違いだ。多様な家庭生活にまで立ち入るのは再生会議の役目ではないだろう。
教育再生会議は教育の基本は家庭にあることを訴えるため、四月の分科会で子育てに関する緊急提言の必要性を挙げた。親も子育てを学ぶ必要があるという「親学」の提唱者を招いて参考意見を聞いたりした。
「子守歌を歌い母乳で育てる」ことや「乳幼児期に本の読み聞かせを行う」「早寝・早起き・朝ご飯の励行」などの提言案をつくり、「『親学』に関する提言」としての公表が検討された。
しかし、委員からは「個人生活にかかわることなので慎重な議論が必要」との意見や、政府内からも「単に言いっ放しでは意味がない」という声がでたため、公表は見送られたという。
母乳による育児や本の読み聞かせなどは理想だろう。それを一律に奨励すると母乳の出ない女性にはつらいことだ。育児休業が十分ではなく乳幼児を保育所に預けて働く母親の事情もある。再生会議は社会の実態に目が向いていないのではないか。
核家族化による子育て不安や児童虐待、青少年犯罪など、家族をめぐるさまざまな問題がある。しかし、「親の責任」として単純化するのでなく、広く社会問題として取り組む必要があるのではないだろうか。
山谷えり子首相補佐官は会見で、近くまとめる教育再生会議第二次報告で「親の学びの機会」と表現を変えて子育て提言案の一部を復活する意向を示した。「徳育」を特設教科とする方針も打ち出すという。
教育再生会議のあり方に対しては与党自民党からも疑問がでている。衆院議員六人が雑誌「世界」に論文「教育改革の改革を−教育再生会議への七つの疑問」を発表した。
論文は、教育問題を科学的に研究している専門家が再生会議には欠けており、論理の飛躍と思えるような唐突な提言が多いと指摘している。「各委員が言いたいことを言い、それを事務局の文部科学省からの出向者が恣意(しい)的に拾い上げているようにしか読み取れない」と手厳しい。
今回の子育て提言案などはその典型的な例だろう。論文は「地道なデータの収集や実践の積み重ねの上に教育改革の議論を進めることが大切である」と指摘している。
教育再生会議に求められているのは思いつきの発言ではない。各界有識者の英知による創造的な発想だ。それにこたえてほしい。
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