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□対米関係と「拉致問題」の狭間で揺れる安倍首相 [リベラルタイム]
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070509-01-1201.html
2007年5月9日
対米関係と「拉致問題」の狭間で揺れる安倍首相
北朝鮮から「拉致」で譲歩を引き出せるか否かが、宰相・安倍晋三の生命線である。拉致された被害者全員の安否を確認し、生存している方々を帰国させるという「解決」はともかく、一歩でも二歩でも「進展」させることが、国民の悲願であり、これが安倍政権を支えている。いい換えれば、北朝鮮が、世界を敵に回している限り、安倍は、その無法者との戦いの最前線に立ちはだかる「サムライ」として政治力を維持できるのである。
北朝鮮支援で「片棒」
だが、「拉致」を取り巻く空気はいかにも悪い。北朝鮮の「核」封じ込めの方は、日本を除くアメリカ、中国、ロシア、韓国の四か国が、「核開発を断念する」という北朝鮮のいい分を信じ、その見返りとして多大なエネルギー支援をせざるを得ない方向に追い込まれている。日本は、初期段階には支援に加わらないとしているが、「拉致」は曖昧なまま、北朝鮮支援の片棒を担がされる恐れも濃厚なのである。
北朝鮮の「瀬戸際外交」の腕はしたたかである。なんとか「核」を手放させようという世界の超大国を相手に、怯むどころか、なんだかんだと難癖をつけ「核」を握り続けていこうとしている。 知謀の限りを尽くし、国家の威信を懸けた外交であるにしても、極東の、ちっぽけな国家が、よくぞ、まあ超大国をいいように振り回しているものである。その白眉が、嫌がるアメリカを「差し」の会談に引き摺り出して「金融制裁」を解除させた駆け引きである。一体何が、北朝鮮をこれほど強気にさせ、アメリカを軟化させたのか。
いかに世界最強のアメリカでも、イラク平定に足を取られながらでは、イラン制裁と北朝鮮の二正面作戦は遂行できない。どちらかを選択しなければならないならば実利を伴うイランを優先させるのは自明の利である。北朝鮮は、多少の譲歩をしたって、さっさと片づけてしまいたい。そんな気持ちもわからないわけではない。それにしても、金融制裁解除まで、あまりにもあっけなく腰が砕けたものである。
「国際謀略」の渦中に…
平和に慣れ切った日本人にはなかなか理解できないようだが、国際社会には「謀略」が渦を巻いているらしい。六か国協議の雲行きが怪しくなった頃、東京・赤坂の小料理屋で、日本の情報関係者が深刻な面持ちで額を突き合わせていた。
「どうも、それほど単純な事態ではないらしい。アメリカは、何か弱みを握られたというぞ」
「えっ、そんな話があるのかい」
「北朝鮮が偽一〇〇ドル札をつくっているのはわかっているが、どうやら、アメリカは、それに便乗して偽一〇〇ドル札を印刷していたらしい。それを北朝鮮に掴まれたらしい」
「アメリカが偽ドルを印刷して、何の意味があるのか。ドルなら、いくらでも刷ればいいじゃないか」
「市場を動かすとか金利誘導なんて、そういう狙いではないだろう。北朝鮮が、偽ドル札を印刷しているという証拠を捏造したんだろうな」
「それにしても北朝鮮の力で証拠を掴めるのか」
「そのカネの流れを追ったのは、ロシアの諜報機関だというんだな。北朝鮮は偽一〇〇ドル札をつくってはいたが、その番号をしっかり記録していたらしい。ところが、その番号以外の偽一〇〇ドル札を見つけた。その行方を追ったのがロシアだという。ロシアは、この偽札はドイツの印刷機械で刷られたところまで突き止めたんだそうだ。その情報を北朝鮮に教えた」
「その話が本当なら、アメリカはたまらないな」
「謀略戦だから、真偽の程はわからないよ。しかし、金融制裁解除にしても、アメリカの動きは、いかにもおかしいよな。北朝鮮のいい分を丸呑みしたとしか思えない」
「なんでドイツで米朝が会談したのかも、いわれてみればおかしいな」
この手の話は、どこまで信じていいのかわからない。眉唾ものも結構多い。それにしても六か国協議は、アメリカの軟化で俄かに合意に向かい、金融制裁も、米朝の会談で、あれよあれよという間に解除が決まり、日本は、あっという間に取り残される羽目になりかけたのである。
難しい「舵取り」
それでもなお、北朝鮮は、凍結資金が手元に戻らないとごね、六か国協議をすっぽかし、寧辺にある核施設の稼働を停止するという初期段階の措置を先送りにしつつある。アメリカ、ロシア、中国も、手をこまねいて見守るほかはない状況なのである。場合によっては、武力制裁も辞さないという断固とした姿勢がないと、秩序も、節度も合意も無視する動きに抗すべくもない。
外務省高官も、このままでは、パキスタンのように、ずるずると北朝鮮は「核保有国家」として認知されることになりかねないと嘆息する。むしろ、それが北の真の狙いともいわれる。北朝鮮は、自らの生存のために、どんなことになっても「核」を手放さない覚悟をすでに決めていると断言する情報通もいる。それならば、どんな甘い飴を与えても、この国は、決して「核」を放棄することはないだろう。
安倍は、このゴールデン・ウィークに、アメリカを訪問し、ブッシュ大統領と首脳会談を行う。どちらを向いているのだか掴みにくい中国、プーチン大統領が影響を残し続けるロシアという世界で、この期に及んでは、日米両国の、揺るぎない、堅い絆だけが、北朝鮮を変心させる、ほとんど唯一の命綱である。
ブッシュ大統領は、すでに「レイムダック(死に体)」に陥っているといわれる。次の大統領選でも民主党が勢いを増しているようにみえる。安倍は、そういうブッシュと協力しながら、政権を維持し、さらに、場合によっては民主党政権と手を組んで行かなければならないという難しい舵取りを強いられるのである。(文中敬称略)
政治評論家・高橋利行
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