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2007年05月09日
自立できない自衛隊の戦闘能力
軍事アナリストの小川和久という人がいる。陸上自衛隊生徒教育隊・航空新聞記者などを経てフリーの軍事アナリストとしてマスコミに頻繁に登場する人だ。この人がいつも言っている事に、日本の自衛隊の実力は極めて偏っているという事がある。すなわち、「自衛隊はその成立から今日に至るまで、常に米国の軍事戦略の一角を担う形で作られてきた。だから部分的には極めて強力な軍事力を持っているが、国家として敵国を攻める能力や独力で国家を守る能力は持たない、持てない。そもそも米国が、日本の再軍備に当たって日本の自衛隊の自立を望まなかったからだ」というものである。
ほとんどの日本国民はこの現実を知らないに違いない。私も小川さんの著書を読むまでは知らなかった。その意味で5月8日の毎日新聞夕刊に掲載された「特集ワイド」―軍事アナリスト小川和久さんに聞く―は極めて有意義な特集記事であった。その中で小川さんは次のように言っている。これによって国民の自衛隊に関する認識が深まるだろう。そしていかに日本が米国の軍事戦略に踊らされているかを。
・・・実は自衛隊は、軍隊としての本当の実力を表す世界ランキングには入れない特殊な構造です。例えれば、水泳だけはトップクラスだけれど、自転車もマラソンも苦手なトライアスロンの選手みたいなものなんです・・・(すなわち)海上自衛隊の対潜水艦戦闘能力(護衛艦や哨戒機を使って敵の潜水艦を捕捉し攻撃する能力)は世界2位と高い。また航空自衛隊の防空能力はF−15など400機近い戦闘機や空中警戒官制機(AWACS)があり世界3、4位と高い。しかしそれ以外は並みかあるいは全く欠如しているのです・・・
(戦力をあらわす基本概念として)国家としての戦力投射(パワープロジェクション)という言葉があります。(これは)核武装をしていない(通常戦力の)場合でも「数十万人規模の軍隊を上陸させ、敵国を占領し、戦争目的を達成できる戦力」とされる。自衛隊にはこの能力がまったくありません。(それは)日本の再軍備にあたって米国がそれを望まなかったからです。自衛隊は米国の軍事戦略の一角を担う形で位置づけられており、そもそも自立できない軍事力なのです・・・
なんという現実であろう!こんな状態でありながら核武装論や集団的自衛隊がまじめに論じられているのである。米国の高価な最新兵器を次々と買わされて米国軍需産業を支援しているのである。日米軍事同盟の正体こそ議論されなければならないのだ。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/05/09/#000372
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