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日本の公務員-10年以上も続いている経済論議の混乱と公務員問題の関係(経済コラムマガジン第480号)
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投稿者 JAXVN 日時 2007 年 5 月 07 日 12:07:49: fSuEJ1ZfVg3Og
 

「経済コラムマガジン07/5/7(480号)

日本の公務員

・立場の相違
考えて見れば当り前のことであるが、人々の立場によって経済、あるいは経済対策に対する意見や考えに大きな違いがある。収入が一定で変化のない人々は、物価上昇を極端に嫌う。一方、商売をやっている人や何かの事業を行おうとする人は、多少物価が上昇しても経済が拡大することを歓迎する。これから就職しようとしている人々は景気が良い方が好ましいが、まもなく定年退職する人々は景気はどうでも良く、むしろ退職金が目減りしないよう物価が上昇しない経済を望むであろう。

また一口に資産家と言っても、資産は主に金融資産と土地に別れる。さらに同じ金融資産でも株式や預金、公債(国債など)など様々である。資産を預金や公債で持つ人は経済が成長しなくとも物価上昇がない方が都合が良い。一方、土地持ちや株式で資産を運用している人はやはり経済が成長する方が良い。

このように国民と言っても一様ではない。立場によって好ましい経済状況は異なる。同じ日本国民と言えど立場によって微妙に利害が対立するようになったのである。ところがこのような利害の対立があることを明らかにしないまま、現実の経済が語られてきた。これが経済論議の混乱の元になっている。

ざっとこれまでの日本経済の軌跡を振返ってみよう。終戦後の日本はほとんどの国民が貧乏であり、良い働き口も少なかった。この時代は、経済の成長路線が大多数の国民から支持を受けていたと思われる。このような時代がけっこう長く続いた。

しかし国民の所得水準が高くなり、ある程度の資産を保有するようになって、国民の間に徐々に経済に対する考えに違いが出てきた。さすがにバブル崩壊後に経済が急激に落込んだ時は、積極財政による景気の浮揚が叫ばれた。しかし外需依存で経済がある程度持直すと、「次は財政再建」と橋本行革政権が支持された。

ところが橋本政権の緊縮財政は、金融不安の表面化で頓挫する。次の小渕政権は一転して景気の回復と金融の再生を目指した。しかし経済が少し良くなると、再び構造改革派と財政再建派が勢力の巻き返しを行い、最後には小泉構造改革政権の誕生となった。

小泉政権下ではこの構造改革派の天下であった。構造改革で経済が成長し、財政も再建されるという彼等のデマがまかり通っていた。しかし経済のグローバル化も影響し、今日、国民の間の所得格差が問題になってきた。今度は構造改革がやり玉に上げられるという具合である。

バブル崩壊後、日本経済はほとんど成長していない(名目GDP)。しかしこの15年余りの間に正反対の経済政策が何回も繰返されてきた。まさにこれは経済論議と経済政策の混乱がずっと続いて来た結果と筆者は見る。このため有効な経済政策が継続されれず、ただ時間だけが過ぎ去ったのである。

この間に日本経済の地位が下がっただけでなく、多くの不幸な人々を生んだ。経済政策がこれだけ混乱したのは、冒頭にお話したように個々の国民の置かれている立場の相違が大きくなっていることが影響していると筆者は考える。

気紛れなマスコミがどの層の実情や意見を取上げるかによって、人々の関心も変わり、強いては政治家の行動も変わるのである。政治が変われば経済政策が変わってくる。ところが個々の日本人を見れば、立場が大きく異なってしまっているのに、いまだに「日本は最も成功した社会主義国」とか「日本の所得格差は極めて小さい」とボケたことを言っている人々が沢山いるのである。

・「豪華官舎」と「天下り」
前段の話がちょっと抽象的過ぎたため、何のことか分からないと言う人がいるかもしれない。ここからはもっと具体的に説明を進めたい。「収入が一定で変化のない人々は、物価上昇を極端に嫌う」の代表は公務員である。

もっと正確に言えば、公務員の生涯所得はほぼ決まっている。したがってこのような立場の人々にとっては物価上昇がない経済が好ましい。まさに今日の日本経済である。公務員の場合、勤続年数によって俸給が上がる。このような人々にとっては、経済成長や好景気はそれほど必要ではない。むしろ低成長の方が相対的に公務員の所得は有利になる。


実際、日本の高度成長期に民間の給料はどんどん上がったが、公務員の給料は長い間据え置かれた。今日の人々は信じられないかもしれないが、ずっと公務員は安月給の代表であった。また公務員の俸給体系は元々後払い的性格が強い。毎月の俸給が低いが、退職金や恩給(公務員共済)が手厚い。これには職務上の不正を牽制する意味合いがある。間違いを犯さず定年(定年勧奨)まで勤め上げることが、公務員にとって最も重要なことである。このような方策が功を奏したのか、日本の公務員の不正行為の発生率は各国に比べかなり低い。

そしてこの安月給を補填する意味合いで官舎の充実が図られた。もっとも官舎の整備は、転勤が多い公務員にとって必要なことでもあった。さらに転勤が多いのも公務員の不正防止がその一つの理由になっている。一ケ所に長く勤めれば、どうしても色々なしがらみが生まれるからである。

今日、テレビで公務員官舎が豪華過ぎるといった安っぽいキャンペーンがなされている。しかしこのような背景があることを全く説明しない。ただ官舎が一等地にあるといった薄っぺらな内容で視聴者の関心を引こうとしているのである。

たしかに近頃公務員の給料水準は高くなったように見える。しかしこれはバブル崩壊後、民間の給与水準が高くならないどころか下がったからである。これによって公務員の給与が相対的に優位になった。バブル経済崩壊後、高度成長期と正反対の事が起っているのである。


今日、豪華官舎だけでなく公務員の天下りが問題になっている。いわゆる「公務員たたき」キャンペーンの一環である。たしかに公務員、特に官僚の天下りは評判が良くない。しかしこのキャンペーンは政権の浮揚に使われている面がある。06/2/12(第469号)「「女性は子供を産む機械」発言」」で本誌は「苦戦を伝えられている参議院選の前には、自民党は次なる「公務員たたき」作戦を打出すものと筆者は見ている」と述べたが、まさにこのことである。作戦がうまく行ったのか内閣支持率も上昇している。

しかし筆者は「豪華官舎」なんて些末な問題と見ている。また公務員の退職者に対する再就職の斡旋つまり「天下り」についても、こんなことは民間の大企業ならどこでもやっていることと理解している。ただ民間の場合は、割増の退職金を払った希望退職者には再就職先を斡旋しないケースが多いようである。

筆者は、日本の公務員や官僚に問題がないと言っているのではない。しかし問題は決して「豪華官舎」や「天下り」ではない。だいたい「豪華官舎」や「天下り」が解決しても、国民にとって何も変わらないのである。筆者は、公務員や官僚の本質的な問題はもっと別のところにあると考える。

来週は今週の続きである。もちろん今週述べたことも関連してくる。 」

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