★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK34 > 296.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
2007年05月04日
国民投票法案の最大の問題点は何か
「憲法論議はもううんざりだ」と書いたばかりの私だが、私の気はすぐに変わる。読者と共有したい記事があれば書きたくなる。5月4日の毎日新聞の連載記事「国民投票法案 五つの論点を聞く」そのCに、カタログハウス社長の齊藤駿氏が、国民を改憲の方向へ洗脳していくCMの危険性を指摘している。この「改憲に果たすメディアの役割の大きさ」こそが、国民投票法案の数ある問題の中で、ダントツに大きな問題であると私は思う。
彼は言う。今の国民投票法案は投票日前の14日間だけテレビCMを禁止している。しかし法律で全面禁止して護憲、改憲の双方のCMの「ゼロ公平」を確保することしか、真の公平は保たれないと、次のように強調するのだ。
・・・(14日前の禁止だと)二週間前までは何をやってもいいことになる。テレビ局に本当に公平な自主規制ができればいいが、広告主の一人でもある私の実感から言えば、今のテレビ局にその力はない・・・CMはお金がかかりすぎる。うちの会社の簡単なCMでも、セットをつくって撮るだけで1500万円。新聞なら一回広告を出せるが、放送するにはさらに億単位のお金が必要だ。うちがメジャーになったきっかけは、(双子の長寿姉妹)きんさん・ぎんさんを起用した92年の正月CMだけど、あれだってブームになると思ってどんどんお金をかけたから、受けた。
CMはお金を掛ければ掛けるほど受ける。改憲派には経済界から支援があるかもしれないけれど、護憲派はそんなに集められない・・・しかもCMの放映回数や時間帯は、テレビ局と広告代理店の関係で複雑に変わる・・・公平を期すのは現実的に無理だ・・・私の体験で言えば、今だって政治的な意見広告は事実上だせない。以前『憲法9条はやっぱり大切にしたいね』というCMを企画したら、広告代理店の段階で『政治的に偏った一方の意見は広告にできない』と門前払いだった・・・ワンフレーズなら量が多い方が勝つ。量がけた違いなら、そっちのワンフレーズは記憶に残って片一方はまったく忘れられる。みんなテレビCMの恐ろしさを分かっていない・・・
私は、外交官の体験を通じ、これからの国際政治状況を考えると日本の最善の安全保障政策は、実は日米同盟の強化などではなく憲法9条を一字一句変えないことであるという確信に最後にたどり着いた。これは誰がどのような議論を並べようと、後で振り返ってみて間違いなく正しいと証明される結論なのだ。その事を一人でも多くの国民が共有し、政府の改憲のもくろみを国民の一票で拒否できる事を期待して発信し続けてきた。頼まれもしないのに一人で毎日ブログを書いているのも、他にする事が無いということもあるが、その為である。
しかしこの齋藤氏の記事を読むと、それがおそらく真実であろうと実感できるゆえに、暗澹たる思いがするのである。平和をのぞむ普通の人が善意から平和を叫び、デモをし、自分の生活とは関係の無い遠い場所に行って平和運動をする。その尊い努力が、政府と企業と広告会社が金に任せて行う改憲への大衆誘導策に、一瞬にして負けてしまう。そう考えると悔しすぎる、悲しすぎる。
しかし諦めてはいけない。権力者がやろうとしていることは所詮そういうことなのだと知った上で、なお憲法9条の大切さを国民一人一人の心に訴えていけばいいのだ。
戦後唯一の国民的政治運動であった60年の安保闘争は一体何であったか。様々な理由が語られている中で、あれは東条内閣の閣僚でありながら戦犯を免れた岸信介が、戦争の悲惨さがまだ消えていない国民の感情を逆なでして強硬に日米軍事同盟を進めようとした、その岸信介という一政治家に対する、あらゆる層の国民の怒りが広げた運動であったという指摘がある。その孫の安倍首相が、国民の合意のないままに改憲を強行しようとして、国民を分裂しようとしているのは、歴史の皮肉である。つくづく安倍首相は愚かだ。国民の怒りを軽視してはならない。
中曽根元首相がいみじくも指摘しているように、改憲は世の中を「殺伐」としたものにする。国民の意識はいまだ熟していない。そんな状況で強行してはいけない。今の日本はそんな事をしている場合ではない。それを繰り返し唱えていけばよいのだ。それでも改憲したいなら、「やれるものならやってみろ」と私は言う事にしている。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/05/04/#000365
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK34掲示板
フォローアップ: