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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007050402013632.html
【社説】
日米秘密保全 頭越しに決める話か
2007年5月4日
日米両政府は、軍事秘密の保全に関する規則を包括的に定めた「軍事情報に関する一般的保全協定」の締結で合意した。国民の「知る権利」にもかかわる問題なのに、国会での議論もなかった。
さる一日、外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、「日米同盟の変革」が打ち出された。北朝鮮の核実験やミサイル発射など変化する東アジアの安全保障環境に対応したものだ。
変革の目玉の一つが新しい秘密保全協定締結の合意だった。同盟関係の二国間で秘密軍事情報を提供し合う際、第三国への漏えいを防ぐために結ぶ協定だ。これまで日米間の秘密保護の対象は米国から供与された艦艇、航空機などの武器技術に限られてきたが、新しい協定は対象をあらゆる軍事分野に網羅的に広げる。
協定は口頭や文書、写真、録音、メモなどすべての形態の情報漏えいを禁じる。軍事情報の統制が進むのは明らかだ。「秘密」の範囲や処罰対象次第では、報道の自由や国会議員の国政調査権にも影響を与えかねない。
協定を結べば国内法の整備が次の課題になる。自民党が一九八五年に議員立法で提案し廃案になった国家機密保護法案(スパイ防止法案)が再浮上する可能性もある。実際、政府の有識者会議は二月末、安保分野の情報漏えいに厳罰を与える法律の早期制定を提言した。自民党も法制化に向けた検討作業を進めている。
日米両政府はミサイル防衛(MD)システムの協力強化に向け、情報共有を進めることでも合意した。MDを実効あるものにするには、日米で軍事情報を共有しなければならない。そのためには秘密保全は欠かせない。新協定はその一環だ。
日米の軍事的な「一体化」を加速させたい両政府の思惑もちらつく。その延長線上にあるのは、憲法解釈で禁じている集団的自衛権行使だろう。政府は有識者会議の設置を決め、近く解釈見直しの作業を本格化させる。
政府は国民への説明もないまま、新協定の締結に合意した。在日米軍基地の再編でも、地元の頭越しに基地や訓練の移転計画を決め、反発を招いている。外交・安全保障は政府の専権事項とはいえ、国民を無視して決めていいはずはない。
大型連休明けには国会論戦が再開される。新協定で何が変わるのか。政府はしっかりと説明する責任がある。日米合意を既成事実にして「数の力」で押し切るようなことはやめてもらいたい。
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