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原田武夫 [日米首脳会談に隠された「仕掛け」を検証する]
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投稿者 新世紀人 日時 2007 年 5 月 01 日 13:06:42: uj2zhYZWUUp16
 

http://blog.goo.ne.jp/shiome/
BREAKING NEWS―――元外交官・原田武夫の先読みコラム(その8)

BREAKING NEWSコラム / 2007-04-30 16:22:42


日米首脳会談に隠された「仕掛け」を検証する

ローカルという「後衛の位置」から始まる新しさ
4月26日、私は大阪・読売テレビで放映している「情報ライブ ミヤネ屋」にいつものように出演した。この番組には、昨年秋から準レギュラーとして出演させていただいている。基本的に、主婦層をターゲットとした番組であるはずなのだが、時に余りにもシリアスな政治問題を取り扱ったりもするので、コメンテーターとして逆に勉強させられることしきりだったりもする面白い番組だ。

この日もそうだった。
同じ日、安倍晋三総理大臣は政府専用機に乗って、一路、米国へと旅立った。ブッシュ大統領との日米首脳会談を翌27日に行うためである。
当然、「ミヤネ屋」では日米首脳会談を特集。元外交官ということで、私の「独壇場」であるかのような扱いをしていただき、ひとしきり「何が問題なのか」を視聴者の方々に向けてご説明させていただいた。面白おかしく、しかし、あくまでも問題は「防衛と経済で何を安倍・ブッシュが合意するかだ」ということはアンダーライン。―――「関西のおかん」たちのハートにしっかりと伝わっただろうか?

番組終了は17時48分。

「はい終了です。おつかれさまでしたぁ!!」

いつものようにディレクター氏が叫び、閉幕。別番組のVTR収録に付き合った後、タクシーに飛び乗り、梅田にあるザ・リッツカールトン・ホテルへ。今夜は直帰せず、大阪で泊まりだ。

なぜなら、金融資本主義の世界から足を洗い、曰く「出家」した知人と落ち合う約束をしていたからである。最前線で奮闘してきた彼ではあるが、かねてから抱いていた「疑念」が、もはや胸の中で抑えることができなくなり、某欧州系外資証券会社の佐官級のポジションを捨て、故郷の関西へと戻ったのだという。

待ち合わせ場所は、肥後橋近くにたたずむネオ・ゴシックの建物にあるオーガニック・レストラン。久々の会話は、いつものようにとつとつと始まったが、やがて、「ベジタリアン」に転向し、もはやアルコールを一滴も口にしなくなった知人氏もナチュラル・ハイとなり、ほろ良い加減の私と再び意気投合。新地へと繰り出した。

東京にいた頃には、共に一緒に「遊んだ」ものであるが、もはや「出家」した知人はそんなことには関心がない。
「一体どこに行くのか?」と思っていたら、彼の先導でたどり着いたのが曽根崎にある店、ALBADAだった。

中に入った途端、知人と共に私は
「むむむ?」
とポジティブな驚き。

完全に和のテイストの内装でありながら、バーであることは確か。
しかし、最近、東京で流行っているヴィクトリア朝モードの壮麗さの裏の陰鬱さばかりのバーとは全く違い、あくまでもほの暗い、「和の清潔さ」が漂う独特の空間。
しかも、アルコールはあくまでも脇役であり、野菜ソムリエ氏がつくるベジタブルのカクテルがメインなのだという。
そして、カウンター正面には、大画面。Webマガジン調に展開していくメニューが、食欲をそそる。

役者を志していたという野菜ソムリエ氏と、ITで一旗既にあげたオーナー氏、そして手際よく作業していく自称「ツンデレ」嬢という3人のスタッフの方々としばし談笑。アボガドの刺身をいただきながら、私はアルコール、そして「出家」した知人氏は野菜カクテルの杯が自然と重なっていく。

「皆がやっているような店はやりたくないと思いまして。全く新しいコンセプトで、たくさんの方々に好まれるような、そんなバーをここ大阪でやりたかったんです」
―――そう語るオーナー氏の言葉に、しばし聞き入る私。

そう、新しいものは常にローカルから始まるのだ。日本の、そして、世界の中心からではない。大阪という、人造首都=東京から見れば「偉大なるローカル」に来ると、そのことを常に感じる。

いよいよ明日=5月1日に三角合併の解禁を控え、金融資本主義の怒涛に無意識の内に飲み込まれていく日本人。だからこそ、「和」、そして「野菜」という、私たちにとって根源的なことを、日常生活のふとした瞬間に思い出させてくれるトポスが必要なのだ。しかも、お仕着せがましい金持ち趣味の「和」や、かつての左翼崩れの環境保護運動の延長にある「農本主義」ではなく、限りなくポストモダンなタッチで、ますます流動化する今を生きる私たち=日本人の胸の中にすっと入ってくるトポス。

「ALBADA」はそんなトポスだ。
ほとんど誰も知らない大阪で、また一つ、大切な居場所を見つけた気がした。


安倍・ブッシュは何を合意したのか?
心の癒しをそうしたトポスで得ることは、「今そこにある金融資本主義の荒波」を知り、考え、そして「これから私たちはどう生きれば良いのか?」を考えるための余裕と勇気を養うことに他ならない。

それでは、現下の状況において、私たち=日本人の目の前に聳え立つ、「今そこにある金融資本主義の荒波」とは一体何なのか?また、それはどこにその片鱗を表しているのだろうか?

3月25日付のこのコラムで私は、現在の米国の対日戦略の基本は「日本封じ込め」にあり、そのための大きな一里塚となるのが、4月末に実施される日米首脳会談であると予測した。そして、そうした「封じ込め」の果実として米国が追求しているのが、三角合併解禁後の「日本買い」のためフリーパスであり、それ以外の日米間の懸案は、すべてこの一点に集約されるとの分析も披露していた。

それでは、実際のところ、どうだったのか?

まず日本の報道を見る限り、例によっていずれも「大絶賛」である。たとえば、28日付日本経済新聞は、次のように記している:

「日米首脳会談では経済面での懸案はそれほど大きくなく、為替や日本の市場開放が大きなテーマだったかつての怪談とは様変わりとなった。・・・(中略)・・・今回の首脳会談は、米側の市場開放要求が強かった1980−90年代を経て日米経済関係が成熟期に入り、角を突き合わせる懸案に乏しくなったことを象徴する。米国には安全保障面で脅威になりかねない中国やインドとの経済関係を重視する動きもある。両国と経済でのつながりが強まれば、安全保障面でも反米的な動きを封じ込められるとの思惑がある」

しかし、こういった報道を読んで、騙されてしまってはいけない。 これは、何らかの偏見に基づきいっているのではなく、外交実務の経験を経たものであれば、誰でも知っている「相場観」に基づく判断によっている。具体的にいうならば、次とおりだ:

(1)同行記者団が書き、報道各社の本社が発信する内容は、ほぼ間違いなく、わずかばかりの時間で行われる日米両首脳による共同記者会見、およびその後に実施される外務省担当課長によるブリーフに基づいている。 つまり、いわば「大本営発表」をそのまま垂れ流しているに過ぎないのであって、独自の取材に基づく内容が出ることはまずない。特に、なんらかの個人的なエピソードや、不規則発言が首脳からあれば、それを取り立てて書く傾向があり、ブリーフィングする外務省の側も、そういった「読者・視聴者受けしそうなネタ」を前面に出しがちとなる結果、「ジョージ」「シンゾー」といったエピソードが各紙の紙面に載ることとなる。

(2)外務省の部内においても、日米首脳会談で話し合われた内容の「全体」を把握するものはわずかであり、公平・客観的な評価ができるシステムにはなっていないという字羽状がある。 日本の将来を決定する日米首脳会談に関する報告電報は、ワシントンの日本大使館から東京の外務本省へと送付されるが、その宛先は省内で北米一課である。ところが、その北米一課は省内、あるいは各省庁との関係において、「日米首脳会談報告電報の全文」を引き渡すことはまずなく、それぞれの部署に関連する部分しか渡さないのが慣例となっている(たとえば北朝鮮問題に関する言及部分については、北東アジア課に渡す、など)。これは情報漏えいを防ぐための措置であるが、逆に言えば、会談で日本にとって「マズイ発言」が出ても、これを門外不出にすることができることを意味している。全体像を知っている一部の幹部の口は堅く、例外的な事例を除けば、絶対に報道陣にリークはしない。その結果、世論に対して会談の全てが明らかになることはほぼないのである。

しかし、ここであきらめてしまってはならない。米国外交の基本は、「パブリック・ディプロマシー」にある。すなわち、仮に後で日本側が文句を言い出したとしても、「ほら、このとおり、日本もあの時の合意をペーパーにし、発表することで納得していたではないか」と、後出しじゃんけんを始めようとする日本政府を尻目に、日本の大手メディアを使って猛然と反論し始めるのが常套手段なのだ。したがって、このように後日、「証文」となって使われるであろう文書として、今回の日米首脳会談において、両首脳間で合意された文書を今からじっくりと読み解いておくことが極めて重要になってくる。

外務省のホームページを見ると、現段階(4月30日午後)で以下の3つの文章が今回の日米首脳会談の成果物としてアップされている:
(1)エネルギー安全保障、クリーン開発及び気候変動に関する日米共同声明
(2)グローバル貿易、エネルギー及び環境に関する課題に対処するための日米協力
(3)日米文化教育交流会議(カルコン)の改革について

日本の大手メディアを見る限り、「環境保全で日米協力?結構なことじゃないか」といった視点に終始し、この文書に米側が仕掛けた「罠」に全く気付いていない、あるいはそれを報じようとするものは皆無である。しかし、「外交は他国からの国富収奪のツール」であり、「無駄なことは一切やらない」のが米国の流儀であるとすると、こうした思考停止で日本人の側が良いわけもない。これらのテキストをじっくりと読み解いていく必要がある。

すると明らかに気になる点がある:

●まず(1)の文書についていうと以下がポイントである。
「エネルギー効率の向上、再生可能エネルギー、代替・再生可能燃料、水素、温室効果ガスをほとんど排出しない(ゼロエミッション)石炭、原子力及び核融合エネルギーを進展させることの重要性を指摘する」
「日米両国は、先進的なクリーンエネルギー技術の商業化を促進するために、国際的なパートナー、特に主要なエネルギー消費国とともに建設的に取り組む。」
「日米両国は、二国間の気候変動に関する日米ハイレベル協議の価値を認識し、この対話をさらに高め、強化し、効率化する。米国は、この声明のさらなる実施について議論するために、6月のG8サミット前に、高官からなる代表団を日本に派遣する。」

⇒端的にいえば、たとえば原子力発電については、これからマーケットでも盛り上げられる「お墨付き」が以上で得られたことになる。また、そこでは日本側の単独行動は許されず(いくら優れた技術を持っていても!)、常に「米国と一緒に行動する」ことが義務付けられていくことであろう。逆に米国から、日本のエネルギーセクターへの「買い」が入った場合でも、日米環境協力の一環であるという擁護論を米側が展開した場合、日本はぐうの音も出すことができない。

こうした分析が「邪推だ」と思われるのであれば、下記(2)の文書と共に、日米首脳会談直後(27日)、米国エネルギー庁のスパージョン次官がわざわざ日本のメディア各社を相手に行った電話会見(関連報道(毎日新聞))を参照していただきたい。これにより、日本は原子力分野で完全に米国によって「封じ込まれた」のである。

●(2)の文書のポイントは次の部分である:
「重要な経済問題に関する二国間及びグローバルな協力:安倍総理とブッシュ大統領は、知的財産権を促進及び保護し、エネルギー安全保障を強化し、貿易の流れをより安全かつより円滑にし、政府の規制過程の透明性を増すための、強化された二国間の努力を承認した。」

⇒米側は事態に後から気付いた日本側が反撃することへの備えとして、しっかりと「仕掛け」をしている。それが「政府の規制過程の透明性を増す」という一文である。少しでも日本側(とりわけ経済産業省の「民族派」)が不穏な動きを見せれば、ただちにお得意の「パブリック・コメント」を連発し、潰しにかかることは間違いない。(ちなみにこのパラグラフが、「重要な経済問題」という単語を使い、特定のセクターだけに限った話ではない点を見落とすべきではない)

●(3)の文章については、次の点がポイントである:
「カルコン(注:日米文化教育交流会議)は上記報告書に指摘された課題について、日米のカルコン事務局、第三者(非営利の公益法人や経済団体を含む)との協力を通じて、実効性のある取組を実施していく。これまでのところ、例えば、以下のような分野において検討を進めることが重要と指摘されている。
(1)お互いの国について深い理解を有する次世代指導者の育成
(2)日米間の知的機関(大学・シンクタンク)の連携と交流の促進
(3)日米間の地方交流の促進と交流レベルの深化の支援
(4)企業の社会貢献活動とその他の教育・文化交流事業との連携」

⇒日本人であり、日本に住みながらも、米国のエージェントとなって、その対日統治を手伝うことを生業とする一群を「ドメスティック・アライアンス」と呼ぶ。ここに来てこういった項目を盛り込んだ合意が首脳レベルでもたれたことは、すなわち、米国としてあらたに日本人エージェントを増強することを画策していることを示唆するものだ。教育再生会議の議論では全くお首にも出されなかった「米国の対日統治策としての日本の教育政策」という本質論が、ついにここに現れていることを見落としてはならない。

つまり、一言で言えば、日本はエネルギー・セクターを中心とした米系外資による「日本買い」に対し、はむかうどころか、これに笑顔で応じなければならないことになり、かつ、それをもって「日本のあるべき姿だ」と連呼する若者たちを育てるシステムを拡充するとの文章に安倍総理がサインしたというわけである。


米国による陽動作戦にごまかされるな

正に、私が3月末の段階で予測したとおりの「成果」を安倍晋三総理大臣はワシントンで達成してしまったのである。これで、もはや政府として三角合併後の外資勢による「日本買い」を押しとどめることは原則的に出来なくなったといっても過言ではないだろう。

私は、かねてからこうした事態に備えて、もはや日本政府が頼れない以上、逆説的ではあるが、日本の個人投資家の方々がこうしたが動きを的確に予測し、「日本買い」を仕掛ける外資勢の先回りをして投資をすることによって、結果として個人としての日本人へと富が還流してくるようにすべきだと説いてきた。端的にいえば、これから「日本買い」されるセクターの銘柄を中期的に保有しておき、高値になったところで売り抜けていくのである。

「それでは、エネルギー・セクターがいよいよ買いか?」

―――そう思われるかもしれないが、是非、一歩立ち止まっていただきたい。

最近、世界最大の米系買収ファンドの一つであるKKRの共同経営者2名が来日し、記者会見を行った(関連報道(日本経済新聞))。曰く、「日本では敵対買収はしないから安心してほしい」というのである。

しかし、ここでもまた騙されてはいけない。
金融資本主義の世界は仁義無き戦いの世界である。あらかじめ手の内を明らかにし、あるいは禁じ手について合意することなど、「絶対にあり得ない」のである。
しかも、なぜこのタイミングしたのかも非常に気になるところだ。米国のトップエリートたちは、他国における「仕掛け」がセットされる直前に必ず本人自らが現場に行き、決断するという癖がある。今回の事例もそうであるとするならば、仕掛けはむしろここでセットされ、しかも「発動」されるのはややあってからということになるのかもしれない。ほとぼりが冷めた頃、それは炸裂する。

これから秋までの間、日本のマーケットでは陽動作戦が続き、これまで警戒していた日本の個人投資家たちの緊張を解きほぐし、マーケットへと誘い込む流れになっていくことであろう。しかし、その先には必ず、米国が仕込んだ「仕掛け」が轟音とともに動きはじめる瞬間があるはずだ。

夏、そして秋にかけての流れの中で、そうした「仕掛け」を読み解き、一緒になって仕掛けることができるか否か。―――これに日本の個人投資家、そして国家としての日本の未来がかかっている。

2007年4月30日

原田武夫記す

●元外交官・原田武夫が率いるリテール・サービスに徹したシンクタンクIISIAが発行するメールマガジン、「原田武夫国際戦略情報研究所公式メールマガジン」を是非ご購読ください。無料登録はこちらからどうぞ。第2の「世界同時株安」への備え、万全ですか?


[新世紀人コメント]

売国奴を倫理的に思想的批判しても始まらない。何故ならば彼等の行動や思考(思想は無い)は置かれた地位・立場から来ているからである。
先日、新聞紙上に載っていた右派的雑誌に面白い見出しが載っていて気に入ってしまった。
「日本は従米慰安婦だ」というものであった。
この雑誌を読んではいないが、この見出しだけには目が行ってしまった。
しかし、私は次のように言い替えたい。

従米慰安婦達(娼婦達)…日本国民
女郎屋達…特権的政治家・官僚の群れ。マス・メディア経営者。政治組織・活動屋のスパイ達。
娼館…日本国(「朝日の当たる家」)

女郎屋達は娼婦達(従米慰安婦達)をこき使って収奪して代金を客(メリケン)から貰い、自分達は全く困らない優雅な生活を送れるのであるから、"平気の平左"なのである。
娼婦(女郎)の身の上なんかを考えていたら商売になりませんよ。
娼婦は客を沢山とってくたばって行けばいいんです。そうすれば女郎屋には金が溜まるんですから。ですから国民の立場や利益は始めから「アウト・オブ・ガンチュウ」で当然なのです。
きつい例え方を提示しましたが、要するに上記の様な事ですよ。
建前つまりイデオロギーや思想やマスコミ情報の上で考えても迷路に踏み込むだけで物事は解りません。
支配・被支配の夫々の立場に立つ者の想いを掴む「自分独自の思考」を打ち立てて積み上げてゆけば解る事です。
例えば左右のイデオロギーで区分けしてどちらが正しいかを考えても今の時代には意味がありません。右にも左にも売国奴・国賊・裏切り者・人民の敵は居て活発に活動しているから善悪を見分ける事はイデオロギーからでは不可能です。
西尾幹二氏が明晰な頭脳の持ち主であるにも拘らず、本当の事に気づく事に随分と遅れた理由は彼の思考法に由来するのです。
「思想」と「出来事」から考えを組み立てるから本当のことが解らなくなるのです。
思想と出来事は「表面の表情」でしかありません。
思想の背景である「動機」と出来事の実態である「運動」に目を凝らさなければ解りません。


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