★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK34 > 172.html
 ★阿修羅♪
<改憲>権力者束縛法から国民束縛法への改悪を許すな
http://www.asyura2.com/07/senkyo34/msg/172.html
投稿者 heart 日時 2007 年 4 月 30 日 20:51:45: QS3iy8SiOaheU
 

昨日、旧ロシアについての番組(NHKのBSドキュメンタリー)を聞いていたら、当時の政府関係者が以下のような詭弁を弄していた(メモしなかったので忠実な再現ではありません):

「軍隊を配置したのは、デモを鎮圧するためではありません、秩序を保ち、市民の財産を守るためです。」

安倍が憲法改悪への動きを最近強めている。
集団的自衛権についての研究も本格的に始めたようだし、
憲法改悪の準備法案である国民投票法案を連休明けにも強行採決するかとも言われている。

自民党の新憲法草案では、12条、13条、29条などで、「公共の福祉」という現行憲法の文言が「公益及び公の秩序」との文言に変えられている。
---------------------------
□新憲法草案 第12条 (国民の責務)
  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、保持しなければならない。国民は、これを濫用してはならないのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う。
□新憲法草案 第13条(個人の尊重等)
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
□新憲法草案 第29条(財産権)
@ 財産権は、侵してはならない。
A 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上及び活力ある社会の実現に留意しなければならない。
B 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。 

(「自民党新憲法草案全文」(現行憲法との対照表)http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/jiminkaikenann.htm
---------------------------

また、草案の九条には、
---------------------------
「自衛軍は、第1項の規定による任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。」
---------------------------
という文言が追加されている。

安倍・自公政権が改憲を行えば(民主党がやっても同じだと思うが)、「公の秩序」や「国民のため」という名目のもとに、国民の精神的自由及び経済的自由が制限されることになる。
精神的自由や経済的自由という基本的人権を守るよう国民が国に対しデモを行ったとしたら、
その行為は、先のロシアの例のように、公の秩序や国民の財産を脅かす行為として取り締まりの対象になることになる。そして、その取締りは、武装した「自衛軍」により行われることになるだろう。
「公共の福祉」という文言を用いている現行憲法下でも、公安が暗躍し、国民のデモなどの反政府活動を監視している。警察も出動し、時には不当逮捕も行っている。それでも、最高裁以外の裁判所では、国のそうした行為を不当とする判決が出されている。
しかし、「公益及び公の秩序」という文言に変われば、これまで良識的な判決を下してきた地方裁判所でさえも、国によるデモ/反政府運動への鎮圧行為を、妥当とみなす可能性がある。
実際、日弁連(日本弁護士連合会)は下記のように述べている:
---------------------------
「公益及び公の秩序」、「国民の責務」などの個々の基本的人権を超越した抽象的な概念を人権の制約根拠とすることを認めれば、基本的人権の制約は容易となり、人権制約の合憲性についての司法審査もその機能を著しく低下させることとなる。

(「 立憲主義の堅持と日本国憲法の基本原理の尊重を求める宣言」http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/hr_res/2005_1.html
---------------------------

また、29条は、現行の「公共の福祉」という文言の下でさえも、米軍基地や空港の建設のために国が国民の土地を買収する時に、国の蛮行を正当化するために用いられてきた。企業の横暴を止めるために用いられたためしは、私の知る限り、ない。「公益及び公の秩序」との文言に変更されることにより、国民の財産が今以上に不当に侵害されることになるであろうことは明白である。


現行憲法がベストとは思わない。

例えば、天皇制という身分制度について定めた憲法第一章(一条〜八条)は、すべての人間を平等に扱うべきとの価値観から見れば、時代遅れも甚だしいから、削除すべきと考える。したがって、天皇制を廃止するという改憲なら大賛成だ。
しかし、安倍らが推し進める改憲には、そのような視点はない。「新しい時代を切り開」くための憲法改正と言いながら(http://www.asyura2.com/0610/senkyo27/msg/1063.html)、天皇制を廃止する気は全くない。それどころか、新憲法草案の前文には「象徴天皇制は、これを維持する。 」との文言が新しく入っている。そして、第一章には相変わらず天皇に関する規定が入っている。

また、憲法改正の発議要件を定めた96条も改正すべきである。
現行憲法では、国会議員が発議し、それを国民に提案する、とされている。
------------------
現行憲法96条:この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。(後略)
------------------
これは、国民主権及び、国会議員の憲法擁護義務(憲法99条:「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」)を考えれば、順序が逆である。つまり、憲法改正の提案はあくまでも、国民からなされるべきであり、そのような形に変える改正を行うというのなら、大賛成である。
しかし、自民党の新憲法草案は、全く逆の方向を志向するものとなっている。
------------------
新憲法草案96条:この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議に基づき、各議院の総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を経なければならない。(後略)
------------------
つまり、現行憲法下では「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」を要するものを、「過半数の賛成」さえあれば憲法を改正できるとしてしまっており、これまでどおり国民主権に背を向けているだけでなく、国会議員の憲法擁護義務をさらに弱めるという、国民に対する背信行為を行おうとしているのである。

結局のところ、今、安倍自公政権が経団連や日経新聞などの経済界と一緒になって進めようとしている改憲は、国民の基本的人権の制限及び、政府の憲法擁護義務の弱体化によって、政府(お国)の立場を強め、現行の「権力者束縛法」としての憲法を、「国民束縛法」へと改悪しようとするものなのである。天皇制について前文にまで書いて強調することも含め、時代を逆戻りさせるものでしかない
このような改憲を許すことは、末代までの恥である。
ちょうど、ヒトラーの台頭を許したドイツ国民のことを、愚かとは言わないまでも、賢いとはとても思えないのと同じように。


北朝鮮問題だけで人気を得て首相になったようなものである安倍は、

@北朝鮮の脅威を煽ることによって国民の不安を煽る
A北朝鮮による拉致問題を煽ることによって、国民の北朝鮮に対する憎悪を煽る

という戦略を今でも忠実に実行し、改憲ムードを作り上げてきている。
北朝鮮問題が直接に関係してくるのは憲法九条であるが、そのことにより、憲法九条改悪以外の改悪、つまり、基本的人権の制限という改悪に目を向けさせないということにも成功していると思われる。
マスゴミが愚民化推進部隊としてこの戦略に加担しているのは言うまでもない。

北朝鮮問題以外でも、日経などは、改憲推進をぶち上げているし、国民投票法案についても、反対派が提起していた問題点は解消されている、との論調でQ&A方式の特集を組んでいた。
また、マスコミはともすれば、何らかの法案が通過することをもって成果と見ることが多い。内容の如何を問わずである。国民投票法案が仮に成立しても、そのような論調が見られることになろう。

日々の生活に追われ、見るのは娯楽としてのテレビと、改憲推進派(タカ派)の日経や読売、産経新聞だけ、という人は結構多いと思う。石原が三選したのもそれによる部分が大きいと思う。
こうした状況をいいことに、安倍自公政権は、再選及び、「憲法改悪→基本的人権の制限、アメリカがやる正義のない戦争への加担→日本国民も他国民も不幸に」という、@自公政権の権力維持、A暴君アメリカに対するさらなる下僕化、Bお国に対する国民の羊化・下僕化 をもくろんでいるのだ。

=========================================================================================

≪関連≫

<改憲>「公共の福祉」から「公益及び公の秩序」への文言変更に隠された恐るべき意図【伊藤真】
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10023068572.html

安倍の改憲は基本的人権を骨抜きにしてしまうもの
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10023019237.html

安倍政権維持と右翼、憲法改悪、軍備強化のために利用されている拉致問題【論壇目安箱、新世紀人さん】
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10022079321.html

民主党は格差是正と憲法「非」改悪の二本柱で行け
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10024432216.html

 次へ  前へ


  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ      HOME > 政治・選挙・NHK34掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。