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2007/04/22
佐藤優「護憲論」と朝日の陸自UNMIN記事
谷川昌幸(C)
今日の朝日新聞社会面(西部版,4月22日)は,面白い。右上が,佐藤優「伝統守るため護憲必要」,その左下が小暮哲夫(朝日記者)「『本来任務』初の派遣,国連ネパール支援,自衛官6人参加」。絶妙の配置だ。
1.権力と権威を分離する憲法を守れ
佐藤優さんは,かつて鈴木宗男氏の懐刀,いまは有罪判決を受け上告中。休職中とはいえ,外務省職員だ。
その佐藤さんが,鈴木氏や自分が国策捜査で逮捕・起訴されたことへの反省をこめ,権力と権威が一体化することの危険性に警鐘をうち鳴らしている。
「権力と権威が一体化するとどうなるか。大衆を扇動するポピュリズムに流れ,正義を振りかざした大統領の下で国策捜査が行われると,私や鈴木宗男さんは極端な場合,死刑になる可能性すらあるのだ。」(朝日)
また,日本が交戦権をもち,天皇が宣戦布告する場合のことを考えると,象徴天皇制と戦争放棄を定めた現行憲法は変えるべきではないという。
「外交官として仕事をしていた頃,日本は軍隊を持って普通の国になるべきだと思っていた。だが,逮捕・勾留された経験から,憲法の文言を一言も変えてはならないと強く思うようになった。」(朝日)
佐藤さんも鈴木さんも,自分が奉仕(行使)してきた権力に裏切られ,捨てられた経験から多くのことを学ばれ,実に立派な人物になられた。権力を恣に利用してきた方々だからこそ,敵に回したときの権力の恐ろしさを知り抜き,憲法でそれを縛ることの必要性を痛感されているのだろう。歴史を心に刻むとは,まさにこのことだ。
2.何も学ばない安倍首相
鈴木,佐藤両氏とは逆に,歴史から何も学ばなかったのが,岸信介やその孫の安倍首相だ。宮沢元首相はいうに及ばず,後藤田正晴氏のような強面政治家でも,多少ともまともな保守主義者であれば,敗戦により,権威・権力一体型国体(天皇制)の恐ろしさ,危険性を思い知らされ,決して戦前回帰をたくらんだりはしなかった。
ところが,軽薄保守の安倍首相には,保守思想の重さが全く理解できていない。「伝統」とは重いものに決まっているのに,重い伝統を担う決意があるからこそ保守なのに,安倍首相は敗戦の重みにも,その後の憲法60年の伝統の重みにも耐えられず,安直に伝統を放棄し,改憲しようとしている。中韓に脅され靖国参拝をためらい(参拝しないと言う勇気もない),アメリカに脅され従軍慰安婦にあいまいに謝罪する。これが「美しい国」の首相か。小泉さんの方が敵ながらあっぱれ,はるかに美しかった(困った耽美的ニヒリストだったが)。
3.朝日の陸自UNMIN記事
右上(右派)の反戦護憲論に対し,左派を気取る朝日は左下に陸自UNMIN記事を配したが,これがヌエ的記事,こんなものなら朝雲新聞の方がはるかに立派だ。
ネパール側の本音は,日本陸軍(海外では陸軍)ではなく,それが持ってくる金だけ。市ヶ谷あたりでモニターを見ていてもらえば済むのに,わざわざネパールくんだりまで日本陸軍を引きずり込んだのは,軍隊はODAとは比較にならないほどおいしい金づるだから。その証拠に,派遣された陸自隊員には,事実上,何の権限もなく,ただそこにいて見ているだけ。
それなのに,朝日記事は,無線チェックをする陸自隊員の勇姿を大きな写真で紹介している。いまのところまだ無背景なので我慢できるが,もしヒマラヤかゾウでも背景に写し込まれると,もうダメ,100人中の他の99人と一緒に私も「日本国自衛隊,バンザイ!」と叫んでしまうにちがいない。
朝雲新聞がネパール派遣陸自隊員の勇姿を華々しく伝えるのはよい。それは立派な行為だ。が,朝日が,ヌエ的記事でUNMIN陸自を大きく報道するのは,国民を誤った方向へ誘導する品性下劣な行為だ。
朝日は,鈴木,佐藤両氏を編集顧問に迎え,歴史の見方や,事実の捉え方・報道の仕方を一から学び直すべきだろう。
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