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米国の構造改革派-「構造改革派」に潰された米国(経済コラムマガジン第479号)
http://www.asyura2.com/07/senkyo33/msg/846.html
投稿者 JAXVN 日時 2007 年 4 月 23 日 08:16:04: fSuEJ1ZfVg3Og
 

メールマガジンのタイトルは「経済コラムマガジン」ですが、今回の内容は政治にかかわる部分が多いと思ったので、政治板に投稿します。

「経済コラムマガジン 07/4/23(479号)

・ 米国の構造改革派

・保護主義の敗北

今週は米国での構造改革派の動きを中心に述べたい。先週号まで卑怯な構造改革派の生態について書いてきた。構造改革派が、誰の味方で、誰を擁護したがっているか指摘してきたつもりである。もちろん平均的な国民ではない。

構造改革派が守りたい相手は、まず国際的に事業を行っている多国籍企業、特に中国に生産拠点を移しているようなところである。また構造改革運動は何も日本だけのものではなく、世界的な動きである(本誌ではアルゼンチンの構造改革の破綻を取上げたことがある)。米国でもこの構造改革派は大きな力を発揮している。


9.11の同時テロに際し米国民は久々に愛国心に燃え、皆、星条旗を掲げ、ニューヨークの街は星条旗で埋めつくされた。ところがこの星条旗は中国製である。米国は、米ドルの価値を実力以上に維持してきたため(外国からの資金流入を野方図に放置)、あらかたの製造業は海外に移転してしまっているのだ。星条旗を製作する会社なんて、とっくの昔になくなっているのであろう。

中国の人民元は為替操作によって異常な安さに維持されている。当然、米国にも国内の産業を守ろうという動きがあり、これに賛同する政治家は、中国の人民元の大幅切上げを主張している。しかし彼等は保護主義者としばしば批難の対象になる。

しかし中国に進出した米国の多国籍企業にとって、人民元が安いことが大きなメリットになっている。米国の国内産業を守ろうという保護派の政治家は、国際大手資本の手先である構造改革派の攻撃の的になっている。そしてこの構造改革派とおそらく中国のロビィスト(チャイナロビー)の活躍によって、いつも米国の中国人民元切上の要求は腰砕けになっている。

先週号でお話した金融関連(証券や保険など)も構造改革派のお得意様である。構造改革派は常に金融の規制緩和と自由化を主張する。しかし行き過ぎた規制緩和と自由化は、しばしば問題を起こした。この規制緩和の流れに乗じて粉飾決算を行っていたエンロンやワールドコムが破綻し、規制緩和から規制強化に米国の証券行政の流れが反転した。

このため四半期決算の公表内容が細かくなったりして、企業の負担が増えた。たしかにこの結果、規制の緩い欧州市場に取引や新規上場が流れ、米国の金融市場は守勢に立たされている。この動きを再び反転させようという動きが米国にある。この先頭に立っている人物が、構造改革派と目されているCEA(米大統領経済諮問委員会)委員長も務めたコロンビア大学(ビジネススクール)学長のグレン・ハバート氏(竹中平蔵氏に近い経済学者)である。

規制強化で競争力を失った米国の証券市場を活性化しようというものである。ウォール街出身のボールソン財務長官もこの動きを後押ししているようだ。しかし規制緩和は投資家にとっては不利益になりかねない動きである。

筆者から見れば、グレン・ハバート氏の行動は明らかに証券会社や上場企業の利益に沿うものである。筆者が不思議に思うのは、米国の学者がこのような利害が対立する問題に、一方の利益を守るため躊躇なく精力的に活動することである。そしてこのような行動こそが構造改革派の学者の本質と筆者は考える。

・もっともらしい構造改革派の理論

米国の国民の国家観というものが希薄である。米国は移民の集合体で歴史の浅い国であり、米国国民と言っても国家観というものが醸成されていない。例えば中国は米国にとって軍事面での仮想敵国のはずであるが、その敵の中国の経済成長を助けているのが当の米国である。

経済成長に伴い、中国は急ピッチで軍事力の強化を行っている。中国の経済成長の原動力になっているのは、中国に進出している米国などの外国資本であり、その製品を大量に消費しているのが米国である。米国は、中国の軍事力を牽制するため軍事費を使い、一方で中国の軍事力の強化を助けている。このように政策に一貫性のない米国はまことに変な国である。プラグマティズム的といえばそれまでだが、あまりにもご都合主義過ぎる。

昔、日米の間に激しい通商摩擦があった。日本製のラジカセがたたき壊されたりした。しかし保護主義と批難されようと、当時の米国民のこのような感情や行動というものの方がまともだったかもしれない。

共和党の政権は、どちらかと言うと自由主義経済の信奉者が多く、国際主義的である。したがって構造改革派にとって入り込む余地が大きい。しかし民主党の方が親中派が多い。次期の米国大統領の有力候補のヒラリークリントン氏も中国との関係が深いと噂されている。

このように次期大統領が共和党であろうが民主党であろうが、中国に甘い政策が続くと予想される。筆者は最近、構造改革派の対立軸は国家主義派(国によっては民族派)ではないかと考える。自国民が犠牲になっても市場を開放する代わりに、多国籍企業(金融関連を含め)の外国への進出を認めさせるというのが構造改革派の主張である。構造改革は必然的にグローバルリズムに繋がるのである。


構造改革派のバックボーンには経済理論みたいなものがある。極めて単純な古典派経済学の理論である。例えばグレン・ハバート氏のような学者らしき(学者としての業績は不明だが時の権力に取入ることに卓越している)人物がこのような流れを主導している。この周りに色々なエコノミストやマスコミ、そして政治家がたむろし、構造改革派を形成している。

構造改革の主張はもっともらしい。市場開放で一部の国民が犠牲になっても、もっと生産性の高い分野に労働と資本が移動すれば良いと言う。また一部の国民のデメリットより消費者全体のメリットの方が大きいと説く。このようなプロパガンダが効くのか、米国民は、一部の国民の利益を守ろうとする行動を保護主義と決めつける構造改革派の口車に簡単に乗せられる。


また構造改革派は、市場開放による競争激化が自国産業を強くするともっともらしいことを主張する。しかし中国のような為替を異常なくらい安く操作している国とまともに競争するには、産業分野によっては生産性を3倍にする必要がある。しかしこのようなことは不可能である。

結果を見ても明らかのように、米国の製造業の弱体化は酷いものである。構造改革派の言っていたことが、全くのデマでありデタラメであったことが証明されたと言って良い。ここまで述べてきたように構造改革派の言動は世界的にかなり共通している。ただ今のところ日本は、米国ほどには構造改革派による破壊活動は進んでいない。これも日本には国家としての体裁がまだ残っているからと筆者は思っている。」
http://adpweb.com/eco/eco479.html

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構造改革派の正体(経済コラムマガジン第478号)
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