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□「右からの支持だけでは安定政権は担えない」 ゲスト：谷垣禎一氏（衆議院議員） [ビデオニュース・ドットコム]
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070419-01-0901.html
2007年4月19日
「右からの支持だけでは安定政権は担えない」
ゲスト：谷垣禎一氏（衆議院議員）
「自民党は、中道から右派まで幅広い人脈を集めてこそ、安定的に政権を担ってきた」。2006年9月の自民党総裁選で敗れて以降、一歩引いた位置から安倍政権を見てきた谷垣氏は、このように語り、ナショナリスト色に染まりつつあるかに見える安倍政権の現状に懸念を表した。また、大宏池会から津島派までを含めた幅広い層のハト派の結集を念頭に、7月の参議院選挙の結果次第では政権取りに打って出る可能性を示唆した。
谷垣氏にはまた、電撃的中国、韓国訪問に始まる外交政策から成立目前の国民投票法案、公務員制度改革についてまで、安倍政権半年間の評価と自身の今後の構想について大いに語ってもらった。
―政権発足からの半年間を振り返って、安倍政権の全体の評価
谷垣： 小泉政権後の課題であるアジア外交をどうするか、と言われていた中での電撃的な中国と韓国への訪問はタイミングも良く、鮮やかでした。しかし、内政ではあいまい戦略という面がなかったわけではありません。安倍さんの課題は、小泉離れをして、いかに新しい時代を築けるかということでした。拉致問題をはじめとする外交分野や憲法改正、教育の問題で安倍色を強く出していこうという考えでしょうが、復党問題の時は、復党の基準が安倍色の強い人だと捉えられても仕方ないと思いました。
―財政問題について
谷垣： 当初、安倍政権は上げ潮路線で行くかと思っていましたが、参院選を意識した地方財政や、「格差」という言葉は使っていないにしろ、「再チャレンジ」というメッセージを強く出していますね。参院選後は、消費税の値上げなんかも念頭に置いているのではないでしょうか。私が総裁選で主張していたことが取り入れ出されたのかもしれません。
―憲法改正、国民投票法案について
谷垣： 憲法制定から60年が経ちましたし、現状にそぐわない部分が出てくるのは当たり前です。憲法改正に関する議論をするのは大いに構わないと思います。憲法改正のためには、3分の2以上の賛成を得て国会で発議しなければならないので、自民党単独では不可能です。ですから、首相が先頭に立たなければいけないという自覚を持っているのでしょう。
しかし、参院選で憲法改正の是非を問うことには、違和感を感じざるを得ません。参院選で安定的な政治を目指すときは、自民党内で支持を集めるときと違って、右派から中道派まで幅広い層に手を伸ばさないといけないと思います。（現行の）憲法は柔軟な表現になっていますので、改正が今すぐに差し迫っているかというと、そうでもない。
9条の議論ですと、国際法秩序を進化させるために日本も何か役割を果たさないといけないのではないか、9条の下では難しいという側面は確かにあります。他方、アメリカとの同盟国関係を見てみますと、信頼は大事ですが、常にアメリカと一緒という訳にはいきません。集団的自衛権の行使や、国連安保理の常任理事国入りが必要だとかいう話もあります。しかし、安全保障の問題で、核保有国と持っていない国が対等に議論できるとは思いません。
国民投票法案についても、強いリーダーシップの演出は国民が求めていることですが、それを行うときの手法を丁寧に行わなくてはいけないと思います。トップダウンだけでいってしまうと必ず問題が出ます。情報を誰が握り、どのように公開し、どのように利用していくかを明確にしないと、政治的議論の質を高めていけないのではないでしょうか。
―公務員制度改革について
谷垣： 天下りの弊害を失くすために人材バンクを使うというのは、一つの発想だとは思います。他方で、公務員や官僚は弊害な面もあったけれど、シンクタンクとして貢献してきた面もあります。そこが全てパワーダウンするとそれはそれで困ります。今回の改革は、肩たたき（早期退職）が無く、できるだけ定年まで働くことができるという条件とセットですが、定年まで奨励しながら人員を削減しなければいけないという矛盾がある中で、どう公務員を使っていくか、具体的な絵柄を示せていないところが問題ですね。
―今後の谷垣派の動きについて
谷垣： 伝統的な宏池会や津島派は、中道まで幅を広げる役割を果たしてきました。若い人たちの中でナショナリズムが強まってきていますが、分裂している宏池会にも原因はあると思います。大宏池会構想などと言われていますが、すぐに具体的に動くことはないにしても、連携をしながら相互に意見交換を密にしていく必要はあると思います。
政権再編については前々から言われていることですが、なかなか進まない話です。再編してやせ細ってしまっては意味がないと思っていますので、安定した政権を作るためには幅広い国民の声を吸収することが必要です。そのためには、様々な意見を結集し、いかに矛盾の少ない政策にまとめ上げていくのかが重要な点だと思っています。参院選で厳しい結果になれば、政局が流動化するのは必至ですので、動き出す可能性はあるかもしれません。
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