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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007041702009306.html
国会に提出されたパートへの厚生年金適用拡大を目指す法案は、対象者が当初予定よりも大幅に縮小され、骨抜きに近い。これでは安倍晋三首相のいう「再チャレンジ支援策」にはほど遠い。
首相は昨年九月の所信表明演説の中で、格差を是正する「再チャレンジ支援策」の一環としてパート労働者への厚生年金など社会保険の適用拡大を打ち出した。パートの老後を保障し、正規労働者との均衡処遇を図ろうという狙いで、これ自体は歓迎できる。
パートは年々増え、現在千三百万人近くに達し被雇用者の24%を占めるが、大半は厚生年金に未加入だ。
厚生年金の適用は、現行制度では労働時間が週「三十時間以上」の場合にしか義務付けていないからだ。
その労働時間を「二十時間以上」にすれば、三百十万人が新たに適用対象になる。厚生労働省の検討会はこれに沿った報告書をまとめた。
だが、厚労省や与党で審議するうちに、賃金が月額九万八千円以上、勤務期間が一年以上などの条件が付き、最終的に適用されるのはわずか十万−二十万人に減ってしまった。
健康保険の適用も同じ範囲のパートにしか適用されない。
骨抜きになった最大の要因は、パートを多く雇用する外食産業やスーパーなどの業界が反対し、与党がこれに妥協したためだ。業界は「年金不信の解消が先だ」などと主張するが、本心はパートのまま雇用し続ければ、厚生年金保険料の事業主負担を払わなくても済むことにある。
他の業界が従業員を厚生年金に加入させ、事業主負担もしている中で、特定の業界だけこうした負担を免れるのは、企業の社会的責任の放棄に等しいことを認識すべきだ。
米国やフランスでは賃金収入があればすべて厚生年金の適用対象とし、ドイツでは賃金水準が極めて低い場合を除いてすべて適用する一方、適用を免除された労働者にも任意加入を認めているように、先進国では適用対象を広くとる例が多い。わが国の当初の「二十時間以上」でもまだ適用範囲が狭いのだ。
それにさらに条件を付けて範囲を狭めるのは、高齢社会の要請にも反している。
結果として、適用を拡大したいのか、制限したいのかが分からないような法案を出すようでは、安倍首相は「再チャレンジ支援策」に本気で取り組んでいるとは思えない。
審議の日程上、今の国会では法案の審議入りは難しいとみられる。一人でも多くのパートが厚生年金に加入できるよう、法案を出し直すべきである。
「東京新聞」社説 4/17
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