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(回答先: 「辛抱強く、粘り強く、工作しろ」ヘンリー・ポールソン会長に会うたび竹中平蔵は・・・ 【小はん殺し結城純一郎の演説】 投稿者 愚民党 日時 2007 年 4 月 11 日 19:31:09)
http://plaza.rakuten.co.jp/masiroku/diary/?PageId=3&ctgy=9
2006年09月08日
小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (最終) 【第38回新潮新人賞第1次予選落選】 [ 小説 小はん殺し結城純一郎 ]
エピローグ
丹下健三が設計した東京都庁ビルの知事室に石原裕太郎はいた。彼は東京都知事だった。
「この都庁は雨漏りがひどくて修繕費に一千億かかりました。総工費1570億円に迫る
額になります。建築設計屋のこけおどしデザインのために、ふざけた話です。雨漏りがし
ない建設をするのが設計者なのに、設計をして施工さえすれば、後は廃墟の野となれ山と
なれが世紀末の建物でした。ハッハッハ」
石原は自虐的に笑った。石原の話をソファーに座り聞いていた神奈川県知事の松沢成文
は、まったくですと同感しながら頷いた。石原は世間話の次に本題を持ち出した。
「ところで国家生活党大会ですが、東京地検特捜部からの報告によりますと、九段会館か
ら武道館に移ったそうです。国家生活党の私兵軍隊である臣民軍とやらも、靖国通りと駿
河台明大通りの交通をスットプさせ、はでな大会戦をやるらしい。その後、武道館での国
家生活党大会を防衛するとのことです。その数はおよそ一万名。彼らはアメリカ軍を敵に
回し戦争をすると叫んでいるのですから狂気のさたですなぁ。日米関係が崩壊しましては
再び日本に原子爆弾を米軍が投下することは間違いありません。国家生活党に国政を任せ
ておけば日本は再び廃墟となってしまいます。この地球を支配しているのはアングロサク
ソン二重帝国のイギリスと米国ですからな。それにイスラエル原理主義。この三大勢力に
逆らっては生存できません。いまや日本を救うのは地方自治体の役目です。東京都と神奈
川県は日本の首都圏を担っております。いかがですかな、私といたしましては、東京都と
神奈川県で米軍に支援を要請したいのですが。米軍がトマホークでフセインのイラク大統
領府建物をピンポイントで爆撃したように、武道館に爆撃していただければ、一挙に国家
生活党をこの世から消却できるです。このチャンスを逃せば、反米路線の国家生活党はま
すます増長し日本は国際社会から孤立し崩壊へと落下するばかりです。武道館はそろそろ
立て直しの時期に来てもいるし、東京都は崩壊後の新武道館再建を全面的に支援するつも
りです」
東京都知事石原裕太郎の提案に神奈川県知事松沢成文は同意した。東京都知事と神奈川
県知事による米軍への要請が発動された。横須賀を母港とする米第七艦隊が品川台場から
武道館へトマホークを発射する法律的根拠は国民保護法によると合意された。
「会長がお待ちです」
密室の謀議ルームに入ってきたのはヘンリー・ポールソン会長の女性秘書だった。竹中
平蔵合衆国統一党総裁は、彼女のあとについていった。案内されたのは六本木ヒルズ最上
階にある殿堂だった。エデンの園を炎上させた天使ガブリエルが人類を刈る巨大な鎌を持
っていた。天使ガブリエルの前にはエデンの園の柱がへし折られ横倒しにされている。そ
の後ろにはサンヘドリンの神殿の柱。柱の上には智恵の書物。それを読んでいるのは選民
を産む聖母。石工が設計に使用するコンパス。ピラミッドの最上階には人類を管理する理
性の眼球運動。それらは殿堂の伽藍だった。殿堂で祈っていたヘンリー・ポールソン会長
がふりむく。竹中平蔵はうやうやしく上半身を腰から曲げ頭を下げた。
「すべてはプログラムのもとで複合的に進行している。君は安心してアンダーグランドに
帰還すればいい。合衆国統一党による九段会館の爆破は中止しなさい。東京湾から合衆国
の戦艦がトマホークで武道館を爆撃することになった」
ヘンリー・ポールソン会長は重力ある低い音声で告げたのだった。
時刻は午前四時になった。結城純一郎は一時間ほど、ふざけた怪文書によるアンダーグ
ランド小説を読んでいた。ようやく睡眠へ誘惑する物質が脳回路に回りはじめたことを体
のセンサーは教えている。全身と脳が柔らかくほぐれつつある。小説は午後四時のエクス
タシーをめざし展開してきたが、気分は睡眠への誘惑に勝つことができない。911総選
挙勝利のために少しでも眠らなくてはと結城純一郎はアンダーグランド小説を閉じた。新
橋芸者小はんが闇の漆黒に踊る幻影はすでに消えていた。何ものかに集中すれば幻影は追
い払うことができることを結城純一郎は学んでいた。
「アンダーグランドからの怪文書か、面白い」
結城純一郎はうとうととしながら思った。来年は怪文書で野党を自壊させてやろうと結
城純一郎にアイデアがひらめく。
「おれは来年の九月で総裁の任期が切れる。政権を死に体にさせないためには、最大野党
を失速させることだ」
結城純一郎は突然起き上がり、飯田勲首相秘書官の部屋に電話をした。
「いいアイデアが思いついた来年早々から最大野党にアンダーグランドからの怪文書とい
うエサに食いつかせ、自滅させろ。今から工作をしておけ」
了解しましたという飯田勲首相秘書官の声を聞いてから結城純一郎は電話をきった。そ
してベッドにもぐりこんだ。
「アンダーグランド小説を読むのもたまにはいいもんだ」
結城純一郎は声も出さず笑いながら、睡眠誘導の底に落下していく。時間の沼に新橋芸
者小はんの着物が漂流している。黒い着物の裏地は紅だった。紅の裏地に白抜きの文字が
見えた。小泉純一郎。小はんが愛した男の名前だった。紅は殺され地に落ちても、その色
は紅より深い血の色だった。
【了】
四百字換算234枚
【第38回(2006年度)新潮新人賞小説部門応募投稿 第1次予選落選】
2006年3月31日締め切りまで書き応募投稿。
2006年9月7日「新潮10月号」発売、予選結果発表において
第1次予選落選となりましたので、ネットに公開させていただきました。
題名を「結城純一郎の演説」から「小はん殺し結城純一郎の演説」に改名いたしました。
読んでくださった方々に感謝申し上げます。
次の目標は第1次予選通過です。
小説の道はきびしいですが、書いていくしかないと思っています。
最終更新日 2006年09月08日 20時26分08秒
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