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首都東京の都知事選挙が終わった。浅野史郎さんの「苦渋」と石原慎太郎氏の「破顔」の表情が新聞一面に並ぶ。昨晩は、午後8時の開票速報が始まった瞬間から、大差で「石原3選」の結果が示された。懸命にこの選挙戦を駆け抜けた浅野史郎さんに心から敬意を示すと共に、何とも悔しい結果を前に考えこむ。
TVの開票速報番組で、石原氏を支持した人々は、その理由に「人柄」をあげたという。私は、「今は『反省しています』と言っているが、投票箱が閉まったとたんに豹変するのではないか」と何ヶ所かの応援演説で皮肉ったが、文字通り豹変した。NHKのインタビューで「オリンピックの見直しについてはどう思いますか」と問われて、「(聞いているインタビュアー)何を見直すのか具体的に言ってもらいたい」と逆質問した。「反省している点はあったんでしょうか」とアナウンサーに問われると、「国が花粉症対策のために何をやりました。花粉情報を出すだけではバカでも出来る。国は何もしていない」と気炎をあげ、「さっそく石原節復活ですね」と評されると「私は謙虚は謙虚。反省すべきは反省する。国にも反省してもらいたね」と言い放ったのを見て、漫画的豹変に思わず笑ってしまった。こういう子どもっぽい人柄=「頑固オヤジ」的な人気が若年層・無党派層まで広がった石原人気を支えているのか。
浅野史郎さんは誠実で真面目な人だ。興奮せず、絶叫せず、いつも明瞭に政策を語った。ほとばしる情熱を内に秘めていて、石原氏のような「攻撃的物言い」は得意としないが、芯の強さは超一流だと思う。選挙期間中、応援演説を何度かして候補者として素晴らしいパーソナリティーを持った人だと心をうたれた。だから、石原都政に替わる浅野都政をと望んだが、私たちの力不足で敗北した。勝手連と市民運動と政党が、それぞれ役割分担をして相乗効果を生むような構図が十分に作れなかったことも悔やまれる。また、愛知知事選挙で「政府・与党批判」が急上昇したのは、直前の柳沢発言だった。今回の東京都知事選挙は、「政治と金」をめぐる一連の問題と切り結ぶことが出来なかったのは、国会において野党が野党としての役割を果たしえていないという反省が必要ではないか。だが、悔しさをバネに立ち上がろう。彼の常套句は「あきらめない」なのだから。
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