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2007年04月25日
あきれた答弁が飛び出した。少年院に送致出来る年齢を「おおむね12歳以上」とした少年法改正案を強行採決したことに抗議しつつ、野党は今日、衆議院法務委員会で補充質疑を行った。午前10時半から30分質問に立った私は、前回のやりとりで法務大臣が刑事責任年齢を問われる14歳以上の犯罪少年と、14歳未満の触法少年との区別がついていないことを感じていた。そこで、ずばり、「14歳未満の少年が現在も少年院に入っているのか」と聞いたら、2度にわたって「もちろんあるわけです」「当然あります」と長勢法相は答弁した。あわてて、矯正局長が修正答弁をしたが、衆議院TVを見直して書き起こしてみた。明らかに基本の基本を法務大臣は認識していないと思う。
(保坂)大臣は前回、(少年院で)触法少年や犯罪少年を区別しないで扱っていくと答弁していますが、どういうふうに11歳から14歳までの子どもたちを処遇するんですかということで。その答弁通りでいいですか。
(法相)当然,両方…犯罪少年も来る場合もあるし、触法少年が来る場合も。14歳以上になれば…現在、来ることもある、それに関わりなく、少年ひとりひとりの問題性・教育上の必要性において処遇するということを原則にしております。
(保坂)触法少年が来る場合はないんじゃないですか? (……基本ですよ)
(法相)もちろん、あるわけでございます。
(保坂)ということは、14歳未満の少年が少年院に入っているということですか。どういうことなんですか。
(法相)当然あります。
(保坂)大臣、法案出し直しじゃないですか。どうですか。与党の修正担当者もどうですか、この状態は。
(矯正局長)14歳未満の少年が入ることはないわけでございます。ただ、14歳未満で触法少年、13歳と何カ月という少年が審判を受けて14歳になった時、裁判所が少年院で教育を受けた方がいいという判断をした場合があるということを大臣が言ったわけでございます。
いやはや驚いた。これほどの基本的な認識欠如で、法務大臣として少年法の厳罰化を進めているのが実態だとわかり、背筋が寒くなる。ところが、驚くべきことは、それだけではなかった。少年法の強行採決で勢いづいて、与党は「連続強行採決モード」に入っている。
毎回、「前代未聞」とか議会政治を踏みにじる暴挙」と言い続けているが「理解不能の珍事」が衆議院法務委員会で起きた。今日の法務委員会は、先週の少年法の強行採決に続いて、午前中の補充質疑をはさんで、午後に更生保護法の審議入りを与党単独で強行した。何をそんなに急いでいるのか? 先に書いたが、少年法でも与党修正案に野党側の主張に歩み寄りがみられた。あと1〜2回の審議及び与野党修正協議で、正常に採決することが出来たはずである。にもかかわらず、自民党国対の方針で「採決は必ずする」とゴリ押しして強行採決してしまった。対立が高まって、互いに一歩も譲れなくなって激突することは時々ある。しかし、少年法の強行採決は、冷静な議論を続けていて対決感情もなく自民・公明・民主の修正協議も途中で打ち切ってギロチンを落とすように議論を叩き切ったというのは、私の足かけ10年に及ぶ法務委員会の経験からは、なかった出来事である。
更生保護法とは、元受刑者や仮釈放されている保護観察中の者による犯罪が続いたことを契機として、犯罪者予防更生法と執行猶予者保護観察法を合体させて、一本の法律にしようというもの。保護観察中の遵守事項違反で「仮釈放」の取り消しや、少年院への「再入院」もありえるという内容だ。50数年ぶりの大幅な法改正なので慎重な議論は必要だが、与野党が激突するような法案ではない。ところが、野党側の抗議・反対には聞く耳持たずに、与党は金曜日に参考人質疑と法案質疑、そして採決をすると宣言した。こうなると、無差別強行採決の弾丸列車である。何のために、誰のために、ムチャクチャをやるのか。
どうも「共謀罪」成立への環境づくりではないかという疑いがある。この無差別強行採決方式だと、あらゆる法案は与党の予定通りに採決され、法務委員会は駅の「自動改札機」並みの通過機関になってしまう。
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