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発信箱
もう一つの教育改革 与良正男(論説室)
「若い人の中には投票に行かないどころか、選挙前に選挙管理委員会から通知が届くのも知らない人がいる」。先日ある会合でそう話したら驚く人が少なくなかった。
でも私は「投票の仕方が分からない」という20代を何人か知っている。聞けば大抵、その親も選挙に行かない。学校で習った覚えもないという。一度、新聞に「投票はこうする!」とイラスト入りで載せようと発案したら、「でもそういう人は多分新聞も読まない」と言われてやめたこともある。トホホ。
嘆いている場合じゃなかった。「政治なんて信用できない」と言っていれば済むような風潮を作ってきた私たちメディアの責任は確かに重いが、これは「格差の固定化」という問題にもつながる話ではなかろうか。
憲法改正の手続きを定める国民投票法案の与党修正案では投票年齢が「18歳以上」となった。成立すれば通常の選挙も18歳以上にする検討が始まるという。
世界の潮流からすれば引き下げは当然だろう。いや、それだけでない。政治と教育のあり方を考え直す好機ではないかと私は思うのだ。
私たちの生活と政治とはどんなかかわりがあるのか。なぜ選挙に行くのか。そもそも民主主義って何なのか。
政治と教育というと「旧文部省対日教組」といった古い図式でとらえる人が今も政界には多く、伝統や愛国心重視が最近のテーマである。だが、「今の政治」を学び、教えるということをきちんと考えてみたらどうだろう。余計なお世話なのを承知で言えば、できることなら学ぶのは親もご一緒に。
毎日新聞 2007年4月2日 0時14分
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