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2007/04リベラルタイム
総理とともに「公務員改革」に挑む!
大臣就任時に「愛の構造改革」を提唱、小泉路線の見直しを宣言した渡辺行政改革担当大臣。公務員制度改革、道州制等、明治維新に匹敵する大規模な「国家改造」を担っている同大臣に、今後の改革方針を聞いた
聞き手:渡辺美喜男 編集長 PHOTO:立木義浩 氏
(取材日:2007.2.16)
「年功序列」破壊で霞が関を大改革
――渡辺大臣が所管している規制改革会議が教育再生会議が打ち出した方針について、国の権限強化になるのではとの懸念を表明したことが話題になりました。閣内不統一なのでは、との指摘もありますが
渡辺 教育再生会議ができる以前から、規制改革会議は「教育委員会制度の見直し」というテーマで議論を積み重ねてきたのですが、教育再生会議ができたため、規制改革会議の議論は一旦中断し、(教育再生会議の)結論を待ちましょう、ということになっていたんです。今般、教育再生会議の結論がある程度まとまったので、規制改革会議が「教育委員会制度はこうあるべし」との提案をしただけ、というのが真相なのであって、これをもって閣内不統一であるという指摘はまるで当たっていません(笑)
たとえば、教育再生会議と規制改革会議で見解が分かれているとされる国の関与の問題についても、規制改革会議は「非常時対応」としての伝家の宝刀的なものは必要だと結論づけています。非常時というのは一般的にはいざという時の強制力を伴ったものであり、きわめて例外的な措置のことですよね。従って、規制改革会議としては、平時においては地方分権の流れに逆行しないよう留意してください、と提言しているだけなのです。
――大臣は規制改革・行政改革のほか、公務員制度改革、地域活性化、道州制を担当していらっしゃいます。なかでも公務員制度改革は国民的関心がきわめて高い分野です。どのような道筋で公務員制度改革を進めますか?
渡辺 公務員制度改革については、小泉(純一郎)政権時代に2回テーマに上りました。が、郵政民営化最優先という方針のため、(公務員制度改革は)実現しなかったという経緯があります。ですから、今回が「3度目の正直」。必ず実現させるという強い意気込みで取り組んでいるところです。
基本は公務員制度に対する国民の信頼を取り戻してもらうこと。現状の公務員制度で大きな問題になっているのは、まず、強固な「年功序列」というスーパー護送船団方式が存在していること。そして、依然として「タテ割り行政」「タコ壺行政」が岩盤のごとく存在していること。この二つをどう突破していくのかが目標です。年功序列の突破策とは、民間ではどこでもやっていることですが、能力主義、実績主義を公務員制度にも導入することです。日本の公務員制度の特徴は、入省時に職員をキャリア、ノンキャリに区分し、それによって昇進スピードや生涯給与も決めてしまう点。もちろん、こんな制度はダメなのであって、能力ある人材、実績ある人材がしかるべきポストに就き、正当に処遇されるという当たり前の制度に改革する必要があります。労働基本権付与とセットにし、硬直し切った年功序列システムの改革を進めていく考えです。
――霞が関からの抵抗が予想されますね。
渡辺 (頷きながら)もう一つ焦点になるのが、天下りの規制問題。天下りは役所の年功序列と大いに関係があります。なぜなら、役所のような年功序列に基づいたピラミッド型組織の中では、早ければ50代にもなるとポストがなくなってくるんですね。そこで早期退職勧奨という名の肩叩きが行われる。同時に役所は、役所が持つ予算・権限を背景に「天下り先」を用意し、天下り先には要請ベースで退職者を斡旋するという、日本の役所でしか起こり得ない、きわめて奇妙な風習がまかり通っています。実際、防衛施設庁の官製談合の事後検証で明らかになりましたが、官製談合はOBの再就職先ポストを確保するためであり、かつ、天下りしたOBが肩身の狭い思いをしないようにするためだったと、官製談合に関与した職員が証言している。とんでもない不正事例であり、こうした悪弊は当然排除されるべきです。
一方で、私が担当している国家公務員のことでいえば、国家公務員という国家経営に携わる人々がやる気と情熱を持ち、志気とモチベーションを高く保持し得る改革を実現すべきです。能力主義、実績主義の導入が、その手立てとなるはずです。
「道州制」の目的は国民を豊かにすること
――特殊法人、認可法人、独立行政法人等、役人の天下り機関になっていて、税金を無駄に使っている余分な組織がある。それらの削減も注視されるところです。
渡辺 それは行政改革の大きなテーマであり、総理からも「無駄ゼロ、効率化・合理化の観点から徹底的にやるように」と指示されています。そのため、たとえば政府系金融機関も一つに統合しますし、商工中金や政策投資銀行も民営化します。これからも政府系機関のスリム化、効率化の分野における改革後退は認めないという強い方針で臨む所存です。
また、今後の政府系金融機関のあり方を検証するため、茂木友三郎(キッコーマン会長兼CEO)さんが座長をされている「行政効率化減量会議」に専門のタスク・フォース(特別な任務を遂行するチーム)を組織してもらうつもりです。
――国民は、天下りの受け皿ともなっている独立行政法人等の数がどこまで減るか、注目しています。
渡辺 数の議論も大事ですが、総理は施政方針演説で予算と権限を背景とした、押しつけ的天下りは厳しく行為規制をかけていくと言及しています。このように、霞が関の内側から見ると、防衛施設庁のような事例は特異だということになるのでしょうが、押しつけ的天下りは相当広範囲にあるのは明らかなのであって、議論のスタートとして、天下り規制する範囲を確定する作業をいまやっているところです。
――ところで、国会の選挙区割りともからむ道州制はやりにくくありませんか?(笑)
渡辺 いきなり区割りの話から入るからややこしくなるんであって(笑)区割りは最後。それよりも、何のために道州制をやるのか、その議論から始めるべきです。
――道州制は地域間格差を鮮明にさせるとの危惧もありますが。
渡辺 改革を行う動機というのは、すべてそうなのですが、旧来のルールを温存していては、日本の衰退につながるのではないかとの危惧があるわけです。道州制も同じで、現状が本当にいいんでしょうか? 道州制は地方分権改革の総仕上げです。もちろん、改革の結果貧しくなったというのでは意味がない。道州制の本来の目的は、健全で活発な地域間競争を促進させ、それによって地域経済が活性し、皆が豊かさを実感できる、もっと幸せになれるということ。道州制の導入によってそれが実現できると確信しています。
憎いわけではない、愛があるからこその「改革」
――それにしても、根底から改革しようとすればするほど、その対象である霞が関からは猛反発を受けるのではないですか?
渡辺 嫌がらせというか、目を光らせていないと誤魔化そうとすることが、ままありますね(笑) しかし、決して役人が憎くて改革をやろうというわけではない。このままでは将来世代にツケを回してしまう、日本が落ちぶれてしまうからこそ改革が必要不可欠なのです。
見方を変えれば、改革は気概ある現役官僚にとっても夢のある話になるはず。何より、将来世代への愛があればこそ改革を成し遂げなければならない。こうしたことを踏まえて、私は、憎しみではなく「愛の構造改革」だといっているんです。
――行政改革担当大臣という立場は、やり方によっては安倍内閣の支持率を浮上させる重要なポジションになる。
渡辺 末席大臣ではありますが(笑)私は人生意気に感じる人間。総理から指名されたからには全面的にその期待に応えたい。運命共同体の安倍総理とともに、現状突破に力を注いでいく覚悟です。総理から与えられたミッションを果たす、それが私の忠誠心です。
(編集長後記)
安倍晋三内閣の浮沈を握るのが渡辺大臣であるといっていい。公務員制度改革、規制改革等行政改革が順調に進めば、国民は安倍内閣を見直すことになるからだ。急落している内閣支持率の回復も可能だろう。政策通といわれる渡辺大臣だけにその突破力に期待がかかる。さらに、大臣自身にとっても正念場である。ここで、内閣首脳や国民の期待に応えることができれば、内閣の頂点さえ夢ではない。いまはそんな時代である。
http://www.nasu-net.or.jp/~yoshimi/2007/0704lt.html
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