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(回答先: イラク帰還兵のさけび【天木直人・閑話休題】3/29 投稿者 天木ファン 日時 2007 年 3 月 29 日 20:01:58)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/archive/news/2007/03/26/20070326dde012070002000c.html
風に吹かれて:in the U.S.A. イラク帰還兵=國枝すみれ
ロサンゼルスには全米最多の約9万人のホームレスがいる。その3人に1人は退役軍人だ。ホームレス収容施設「ニュー・ディレクション」には現在、3人のイラク帰還兵がいる。開戦から13カ月間、バグダッドの北、バクバにいた元陸軍兵士(25)が話をしてくれた。
進軍した最初のころ、終戦を知らないイラク兵が撃ってきた。撃ってくるから、もちろん殺した。そのうち夜に攻撃されるようになった。体温を感知する赤外線ゴーグルをつけて民家を捜索していると、近づくイラク人が見えるんだ。何度も、何度も、来る。殺したイラク人の遺体を運んだ。
イラク人に「石油を狙って来たんだろ」と言われ、反論できなかった。だからおれは、隣にいる男、仲間のために戦った。だが、友人は死んだ。なぜ妻子がいる友人が死んで、独り者のおれが生き残ったのか、分からない。
帰国してから眠れなくなった。夜中に叫び声をあげ、汗をかいて起きる。遺体を運ぶ夢を繰り返しみる。「PTSD(心的外傷後ストレス障害)かもしれないから医者に診てもらえ」と先輩に言われたが、大丈夫です、と答えた。柔なヤツと思われたくなかった。
酒を飲んだ。麻薬を始めた。メキシコ人の両親は「違う人間になった」と嘆いた。元軍人の父に説明しようとしたが、分かってもらえなかった。戦闘経験がある人間は周囲にはいなかった。おれは発展途上国で生死の境をさまよった。米国に戻ると、みんな小さなことにぶつぶつ文句を言っている。
2年間、刑務所を出たり入ったりした。麻薬所持と放火で有罪になったとき、裁判官は「また刑務所に送っても無駄」と思ったんだろう。麻薬中毒やPTSDの治療を受けられる今の施設に入所を命じられた。
星条旗に包まれたひつぎ、墓地、砂漠などを見ると、フラッシュバックに襲われる。でも、ここには同じ経験をした元兵士がいて話ができる。一人で我慢しなくていいんだ。
青年が部屋を出るのを見ながら、暗い気持ちになる。彼の心は治るのか。イラクとアフガニスタンから帰還した兵士の3人に1人が退役軍人専用病院を訪れ、うち約36%にPTSDを含む精神的障害が見つかっている。戦争のコストは戦死者や戦費だけじゃない。米国社会は今後何十年も、自分たちが壊した若者を抱えていくのだ。
イラクでの戦いは米国時間の19日、5年目に入った。(ロサンゼルス支局)
毎日新聞 2007年3月26日 東京夕刊
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