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信念を守れ(非国民通信)【「よりマシ」戦略で真に守るべきものは守れるか】
http://www.asyura2.com/07/senkyo32/msg/712.html
投稿者 heart 日時 2007 年 3 月 29 日 22:20:13: QS3iy8SiOaheU
 

http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/f46de5c5e43bb3adb29c21227fddc94fより転載。

信念を守れ

 3月24日付の朝日新聞朝刊の記事がネタとしておもしろそうでしたので、少しだけ引用します。人のフリ見て我がフリ直せとは良く言ったもの、安倍総理の迷いもまた考えるヒントになります。
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 安倍首相は18日、東京都内の映画館で銀幕に見入った。60年代の米デトロイトを舞台にした「ドリームガールズ」だ。
 「大衆に受けるためなんだよ」。音楽プロデューサーはスターを夢見る黒人女性グループに、ソウル音楽からポップスへの転向を説く。戦略は当たり彼女たちは夢をつかむが、やがて「本当にやりたかった音楽は何か」と自問し始める――。

 「『左』におもねっても、安倍さんを支持していた保守的な考えの人が離れるだけです」
 1月22日夜、首相公邸。
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 選挙を前に石原慎太郎が少しだけとは言え神妙な顔を見せるようになったわけですが、安倍総理も似たようなもので、首相就任後は(その本性からすれば)ややおとなしく振る舞ってきました。しかるに思うように支持率は伸びず、本人には迷いが、支持者には不満が鬱積しているようです。安倍総理なりに協調路線を探ってきてさえ悪法が続々と飛び出すこの有様、それが開き直って当人のやりたいことをやり出したら偉いことになりそうですが、どうもその方向へ向かいつつあるようで、油断なりません。

 多数決で勝てるようにと、時に政治家は自らの信念を曲げて支持の獲得を優先させることがあります。唯我独尊の石原都知事が「専門家の意見を聞いて判断する」などと言い出したり、安倍総理が中国を訪問したり、時に「らしからぬ」行動に出るのを我々は目にしてきました。そしてこの「らしからぬ」行動で支持を集めることもあれば、逆に支持を失うこともあり、安倍総理の場合は後者に該当するわけです。

 排外的な国家主義者から見た場合、安倍総理の今までの振る舞いは「左」に阿っている、期待はずれだ、そう映るのでしょう。逆に国際協調派のリベラリストから見れば、予想していたほど過激ではないが、それでも十二分に危険な存在であり、僅かばかりの妥協があったところで決して支持できないわけです。安倍総理がいかに本性を偽ってアジア諸国に歩み寄りを見せたり悪法の導入を先送りにしたところで、それで左派が納得することはありませんし、逆に右派は弱腰だとして失望を露わにする、そうして支持率を下げてきた面もあるでしょう。

 そこで開き直ったか安倍総理、昨今では「左」からの意見は顧みずに、自らの本性に忠実に振る舞おうとし始めているようです。(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

 「〜よりマシ」という言葉が、特に選挙が迫るとよく使われるわけです。用例としては「民主党は自民党よりマシ」「浅野史郎は石原慎太郎よりマシ」、「〜よりマシ」な候補に票を集めようと。それが間違いとは言いませんが、「〜よりマシ」の理論を徹底するならば「ハト派、人道派の顔色を窺う安倍晋三は、開き直ってやりたい放題の安倍晋三よりマシ」というのも成り立つはずです。ですから安倍総理が(ちょっとだけ)左に妥協したことに対して、「〜よりマシ」の理論で安倍総理を支持するというのもあり得るわけで、そして僅かなりとも左に妥協することで安倍総理が支持を広げられるのであれば、安倍総理は引き続き左の顔色を窺い続けたかもしれません。しかるに世論調査で左派が「よりマシな晋三」を支持しなかった結果として、最近の開き直った晋三が出てきた、そういう見方も成り立つでしょうか。

 さて、「よりマシ」な政党として一部で期待を集めてきた民主党が、自民党のゲートキーパー法案にあっさり賛同したことで失望された方、戸惑いを覚えた方もいらっしゃるかと思います。山口二郎氏は「民主党、自民党が大連立を組むことは、ありえません」と謎の断言をしていますが、現に東京都議会では民主党と自民党の大連立が続いてきたわけでもあります。本当に民主党は「よりマシ」な政党なのか、仮に「よりマシ」としても、それは「左の顔色を窺う晋三」は「やりたいようにやる晋三」よりもマシ、その程度の「よりマシ」であってどちらも危険な相手ではないか、そういう疑惑や不信は拭い去れないのではないでしょうか。
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 その候補者がどういう人で、どういう思想信条を持っているのかよくわからないのに、反石原というだけで、その人に投票していいんですか? ということを言う人も必ずいますが、それでいいんです。選挙というのは、「よりまし論」でいいんです。
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 こちらは山口二郎氏のマガジン9条への投稿からの引用ですが、いかがなものでしょう。その候補者がどういう人で、どういう思想信条を持っているのかよくわからないのに反○○というだけで投票するようになる、反○○の旗印の下に批判や検証が封じ込められる、批判する人がいなくなったときこそが民主主義の死だと思うのですが、山口氏にとっては違うようですね。一応、山口氏なりに言い分はあるようで、いくつか抜粋します。
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なぜなら、定数一を取らなくてはいけない首長型の選挙については、勝たないと意味がない。結果が全てなんです。得票総数では反自公を上回っていたなんてことを言っても、そんなものは自己満足でしかない。

そこをみんなわかっていなくて、選挙運動も一生懸命やればいいみたいな、変なアマチュアリズムがある。それじゃだめなんです。「清く正しく」みたいなものは、選挙に負けたら何も意味を持たないんです。

だから市民派、護憲派には、ここでだだをこねたら、それ以上どういう選択肢があるの? と私は問いたい。

守るべき最後の一線だけは共有しておけば。「憲法9条は変えない。」「集団的自衛権は認めない。」「自衛隊は海外で武力行使はしない。」それだけで十分でしょう。
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 私は安倍総理が見たという「ドリームガールズ」を見たことはありませんが、そこに登場する音楽プロデューサーが語ることは、概ね山口氏と同じようなことでしょうか?
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 そこをみんなわかっていなくて、音楽活動も一生懸命やればいいみたいな、変なアマチュアリズムがある。それじゃだめなんです。「清く正しく」みたいなものは、売れなければ何も意味を持たないんです。だからソウル音楽をやりたい人には、ここでだだをこねたら、それ以上どういう選択肢があるの? と私は問いたい。守るべき最後の一線だけは共有しておけば。「今のメンバーは変えない」「ミュージシャンとしてやっていく」それだけで十分でしょう。

「選挙に勝つためなんだよ」。山口二郎氏は自民党型政治の転換を夢見る市民派、護憲派に、理想的な候補から勝てそうな候補への票の集中を説く。戦略は当たり市民派、護憲派たちは選挙に勝利するが、やがて「本当にやりたかった政治、護憲は何か」と自問し始める――。
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 こんなシナリオがあるかもしれませんね。そしてもう一つ、こうも言えそうです。

『ポップス』におもねっても、ソウル音楽を支持してきた昔からのファンが離れるだけです

『右』におもねっても、平和憲法を支持してきた保守的な考えの人が離れるだけです

 「ドリームガールズ」ではポップスに阿った結果として商業的な成功を収めたわけですが、『左』に阿ったとされる安倍総理は懐古主義者からの支持を失いました。さて護憲派が『右』に阿ったらどうなるでしょうか? 戦略面での成功を収めた例もあれば、失敗した例もある中で、共通しているのは「本当にやりたかったのは何か?」という疑問が残されたことです。

 自分の応援する候補が勝つことを至上命題とした場合、反石原なり反自民なりに争点を単純化させて、批判されるべき点からは目を閉ざして一斉行動を取った方が良いように見えるのかもしれません。憲法問題にしたところで、争点を単純化させてそこから外れるものを切り捨てる、そういうやり方が「大衆に受けるためなんだよ」というところでしょうか。

 正直なところ、石原慎太郎でなければそれだけで東京が良くなる、自民党でなければそれだけで日本が良くなるとは思えませんし、憲法9条さえ守ればそれで良いのか、その辺りに強い疑問を感じるわけです。確かに9条は大きな争点に違いありません。しかし、それ以上の問題として国家権力に制限をかける憲法から国民を制約する国家主権の憲法へと、憲法の基本的な性格を変えようとする動きもあるわけでして、その辺りを問わずして9条だけに問題を矮小化させてしまっては真に守るべきものが守れるとは言えません。

 多数決が幅を利かす世の中で、「大衆に受けるためなんだよ」と語る音楽プロデューサーも、反○○や9条問題だけに争点を単純化して付和雷同を呼びかける山口氏も、ある意味では間違っていないのでしょう。ただ、そうすることで「本当に目指していたのは何か?」と、いつか後悔することになるかもしれませんし、あるいは安倍総理のように元からの支持者を失望させるだけに終わるかもしれません。下手に戦略論議を振りかざし、当初の目的を見失って迷走するよりも、常に目標を見据え続けていること、信念を守ること、これも一つの道でしょう。

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