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社説'07/3/29
憲法改正の手続きを定める与党の国民投票法案が、今国会成立に向けてがむしゃらな動きを速めている。安倍晋三首相らの前のめりの姿勢に危うさを感じる。
自民、公明両党は二十七日、同法案の修正案を国会に提出した。昨日は新潟、大阪両市で同法案についての地方公聴会が開かれた。与党は四月十三日にも修正案を衆院通過させる構えだ。
そもそも民主党は、与党と同法案の修正協議を進めていた。それが、憲法改正を参院選の争点に掲げるとの安倍首相の表明で、反発に転じたいきさつがある。
安倍首相サイドには、憲法改正を争点にすることで、民主党の内部分裂や野党の選挙協力にひび割れを引き起こせる、との計算があったと思われる。その上に参院選に勝てれば、国民の合意が得られたとして、憲法改正に一気に突っ走れる、との読みも感じられる。
しかし、ちょっと待ってもらいたい。同法案にはさまざまな問題がある。今国会成立を優先したために、十分な議論もへず、国民へも周知徹底を図ることなく、日程を急いだ感がある。
同法案の最大の問題は、最低投票率を定めていないのに、有効投票数の過半数の賛成で成立することにある。憲法という大切な問題が、国民のほんの一部の投票で決定する恐れがあるのである。
さらに投票のやり方も明確さを欠く。「関連する事項ごと」の改正条項で投票する、とあるだけでは、どんな範囲の改正条項になるのか判然としない。その上に、賛成か反対に○をする投票では、果たして国民の総意をどこまで受け止められるか疑問が残る。
罰則は付いていないとはいえ、公務員や教育者が「影響力、便益を利用して国民投票運動をすることはできない」としている。公務員らをどこまで縛ることになるのかも不透明だ。テレビなどの有料意見広告についても、「投票二週間前から禁止」が妥当なのか。メディアなどの自主規制に任せるべきなのか。意見が分かれるところだろう。
結局、疑問点などはあいまいなまま、今国会成立を狙う首相の意向に沿って、与党単独ででも急ごうとしている。戦後日本の平和と繁栄に寄与した憲法を、自民党の一時的な勢いや、米国の水面下の圧力などで、変えていっていいのかどうか。そうした拙速は、東アジアの秩序と安定にもかえって悪影響を与えるだろう。
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