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http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMITzv000025032007
役人のやることはいつも裏目に出てしまいます。海外のレストランで出される日本食を気に食わない役人たちが何と認証制度を作ろうとしたのです。ちょっと考えれば「それはないでしょう」と言いたくなるような話ですが、どうも農林水産省は真剣そのもの。彼らは都内のイタリアンレストランにイタリア政府の認証を欲しがるのでしょうか。
近年、ヘルシーでおいしい日本食の海外での人気が急上昇しています。私自身も北京や上海などで実によく見かけます。これは10年前までは考えられないことです。
興味半分で入る時がありますが、正直言って「えっ、これは違うよ」と思うメニューは確かにあります。でも店は明らかに日本をイメージしており、メニューのほとんどは日本食らしいものです。地元の人たちに「これは日本料理だ」と思われるように精一杯努力していて、むしろ微笑ましいほどです。
現地の人がその料理を楽しんでいる姿をみると、私は自然と東京にある中華料理店を思い出します。日本のラーメンも餃子も本場中国のそれとは違いますが、それぞれがおいしいし、日本人に喜ばれているから定着しています。独自な進化を遂げた日本風中華が本場の中国に逆戻りし、人気を博しているケースだってあります。
農林水産省の役人は自分の国のこともよく理解していないようです。日本こそ料理に大変寛容な国です。東京にいれば世界中の国の食事を楽しめます。しかし、人気のある外国料理の店は必ずといってよいほど日本人の味覚と習慣に合わせて進化を遂げた店なのです。
役人たち自身も洋食や中華を楽しんでいるはずです。和食を選ぶ時と同じく、彼らは好きな店に行き、好きなメニューを注文するだけです。決してイタリアや中国の政府が作った認証を必要としないはずです。
こんな単純な理屈がわからないのは、霞が関に長く閉じこもりすぎたせいでしょうか。世間を素直に見ることができないだけではなく、自分達のことさえも素直に見ることができなくなっています。
そのトップの松岡利勝農林水産大臣は最も世間と自分を素直に見ることのできない存在になっています。年間500万円以上の光熱水費は24時間営業のラーメン屋さん以上にかかっています。市民の誰が見ても分かるように、外国の日本食認証などより、農林水産大臣の認証の方が必要かもしれません。
役人たちが本当に日本食を認証したいならば、日本国内の和食にも適用してはじめて意味があります。でなければ「日本人が作った食事が日本食」ということになります。この鎖国的な発想こそ日本の文化を海外に広げる際の障害になっています。
もし、役人たちが作った日本食認証制度を国内に適用したらどうなるでしょうか。たぶん、人気店に限って不合格が続出するでしょう。
人気の和食店では絶えずさまざまな創作料理が考え出され、人々の関心と人気を引き寄せます。雑誌などでもよく取り上げられる銀座の料亭のご主人はまさに発明家そのものです。最近の人気メニューに和風カレーがあります。聞くだけではイメージが湧かないのですが、一度口にすると「これこそ和食のカレーだ」と納得できます。認証制度が日本で施行されたら、この銀座の老舗も不合格になりそうです。
日本食も貪欲に他の食文化の良い要素を吸収するからこそ、その魅力が増すのです。このことは日本食を愛する人たちが一番よく知っています。農林水産省が仕掛けた「海外日本食レストラン認証制度」は当然ながら人々の反対にあいましたが、名称を「海外日本食優良店調査・支援事業」と変えて2007年度政府予算案に盛り込まれました。その予算案は26日にも成立する見通しです。
このセンスの悪い冗談とも思えるようなプロジェクトに、優秀といわれる役人たちがこれほど真剣に取り組んでいること自体が憂慮すべき出来事です。1000兆円に近い国の借金は役人の多さと無駄遣いの多さの結果です。彼らがいかに暇を弄んでいるかは想像に難しくないでしょう。
食事という動物生存の基本となれば、人々は自分の舌を一番信用するはずです。認証制度を作ろうとする役人たちもしかりです。私は「日本政府認証寿司」を想像するだけで食欲がなくなりそうです。
[2007年3月26日]
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