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http://www.asahi.com/paper/editorial20070320.html から転載。
イラク4年―過ちから何を学ぶか
あの日から、きょうで4年たった。世界の不安や反対の声を押し切って、米英軍がイラクの攻撃に踏み切った日のことだ。
その結果はどうだったか。イラクや世界が安全になったと考える人はどこにもいない。この失敗がもたらした、途方もない損失の大きさに呆然(ぼうぜん)とせざるをえない。
開戦前に国連安保理で軍事行動の必要性を訴えた米国のパウエル前国務長官は「人生の汚点だった」と回顧した。あやふやな情報で国際社会を説得する役を演じたことへの悔悟の念だろう。
ブッシュ政権の路線を主導したと言われるネオコン主義者たち。その論客フランシス・フクヤマ氏は「『9・11』をイラクと結びつけたことが詐欺だ」と後に語り、自ら転向を宣言した。
フセイン独裁政権が大量破壊兵器を手にすることになれば、世界にとって危険極まりない。それを防ぐためには軍事行動もやむを得ない。当時、そんな危機感があったのは確かだ。
だが、4年後のイラクは内戦状態にある。対立するシーア派とスンニ派の殺し合いは激しくなる一方で、国内外への避難民は約390万人に達した。
戦争に至るまで、尽くすべき手立てを尽くしていなかった。戦後への見通しも甘かった。何よりも、イスラム社会も含めて国際社会の結束を実現できなかった。結果論だと言って片づけられない重い教訓をかみしめる必要がある。
最たる過ちは開戦の大義とされた大量破壊兵器が実はなかったことだ。米英の政権は情報をゆがめ、危機を演出した。
情報のいい加減さが暴かれたのは、こんな大失敗を招いた原因を探ろうという米議会などの調査の結果だった。
戦争熱をあおったマスコミも深刻な反省を迫られた。米英の主要メディアは報道ぶりを検証し、過ちを繰り返さないための改善に乗り出した。
ひるがえって日本はどうか。小泉、安倍両政権は、戦争に支持を表明したあの時点での判断を正当化するばかりで、攻撃自体の誤りには触れようとしない。
現内閣でただひとり、率直に思いを語った久間防衛相は、逆に「閣内不一致」などと批判を浴びた。過ちを認めないことが内閣の方針であるかのようだ。戦争に賛成したメディアに反省が見られないのにも驚かされる。
日本の防衛にとって米国との同盟は重要だ。しかし、だからと言って米国の政策を何でも受け入れ、支持するというのでは思考停止だろう。同盟国でも利害が常に一致するとは限らないからだ。
悲惨な戦争への反省から出発した戦後日本として、戦争回避の努力をもっと尽くすべきだった。今改めてそう思う。
米国との同盟を大事にしつつ、日本の立場を追求するには国際協調、とりわけ国連のような多国間の枠組みを使う巧みな外交が求められる。
失敗から学ぶべき教訓は多い。まず、過ちと正面から向き合うことである。
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