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2007年03月19日
リニア実現に意欲を見せるJR東海の葛西会長
3月19日の読売新聞に、葛西敬之JR東海会長の次のような言葉がのっていた。読売新聞のインタビューに答えたものだ。
・・・東京―大阪間を約一時間で結ぶリニア中央新幹線について、「国や自治体をあてにして前に進まないのは良くない。東海道新幹線で得た利益をリニア建設に使う・・・(JR東海は山梨県内の実験線を3550億円かけて2016年度までに42.8キロに延伸する計画であるが)これで東京―名古屋間の7分の1、東京―大阪間の10分の1が出来る。実用化はさらに10年以上先になる・・・(リニア中央新幹線が開通すれば)東京―大阪間に飛行機は飛ばなくなるであろうが、羽田空港などで空いた発着枠で海外便などが増えれば、日本のためになる・・・
この記事を読んだ私は半年前に新幹線で隣に座り合わせた見ず知らずの男性の言葉を思い出した。その男性は、日本のリニア新幹線を中国へ輸出しようとするプロジェクトの関係者であると名乗っていたが、その彼が問わず語りに私に次のような事を話したのだ。
「日本のリニア技術はもう十分に実験を重ねいつでも実用化できるところまできている。ところが日本の財政状況を考えると、日本での実用化はもはや殆ど不可能となった。さすがの国交省(旧運輸省)もあきらめた。そうである以上これを無駄にするのはもったいないということで、リニア技術を欲しがっている中国に渡して早く実用化してもらったほうがいい(註:中国はすでに上海の飛行場から市内までの数十キロをドイツの技術を使ったリニアで実用化しているが北京―上海間1000キロの間をリニアにするという計画が、通常の新幹線導入を飛び越して検討されているという)、そう国交省も方向転換した。しかしこの話を小泉首相のところへ持っていったら見向きもせずに拒否された。中国という言葉を出したとたんに不機嫌な顔をされた。やっと小泉さんが退いて安倍首相になったと思ったら、今度はJR東海の葛西会長が強い反対を示した。中国への協力などとんでもないということらしい。リニア技術に関わった者や日本の車両メーカーなどは日中協力に積極的であるが、何しろJR東海は鉄道関連の国内関係企業にとっては大変なお得意先であり、その会長の意見には誰も逆らえない・・・
読売新聞の葛西会長のインタビュー記事を読んで、その後の日本の国内事情について思いをはせた。葛西会長はあくまでも日本でのリニア新幹線の実現に執念を示していると見える。国交省も方針を変えたのかもしれない。あるいはそれを推進する利権目当ての国会議員や反中国の国会議員が動いているのかもしれない。リニア新幹線は、政府の「イノベーション25戦略会議」の中間報告の中で、20年後の普及が期待される近未来技術の一つとして本年2月の中間報告に盛り込まれているという。
私がこのブログで言いたいのはリニア新幹線建設の是非ではない。葛西敬之という国鉄職員出身の一財界人に与えられた権力の大きさについてである。そもそも国鉄は本当に民営化されているのか。いくら東京―大阪間の新幹線がドル箱であるからと言って、その利益をリニア建設に使うなどという発言を一私企業の会長が言えるのか。そんなに儲かっているのなら、運賃を値下げして乗客に還元すべきではないのか。
葛西会長は就職先に国鉄を選んだ理由に、「東大出身は出世が早いですよ」と失くした学生証明書取りに行った荻窪駅の助役に言われた経緯を公言している。
国鉄分割民営化後にJR東海の会長になった葛西氏は、トヨタの奥田相談役などと並んで財界を代表する親米派論客として読売新聞などを通じて発言してきた。安倍政権の下では国家公安委員会委員や教育再生会議有識者のメンバーに名を連ね、治安、教育などの国の基本に関わる政策立案に関与している。
葛西氏のJP東海は昨年4月にはトヨタや中部電力と共同出資して日本で初の全寮制エリート学校「海陽学園」を名古屋につくった。そして今度のリニア新幹線の名古屋導入発言である。
葛西氏は読売新聞のインタビューの最後で、「・・・国や自治体を排除するのではなく、ルート設定や用地の取得などで協力を仰がねばならない」と付け加えている。国策会社と言わんばかりだ。ここまで特定の私人に富と権力を集中する事が放置されていいのか。日本の人材はそんなに貧困なのか。それとも今の日本は特定の人間同士の間で、富と権力がたらいまわしにされてはいないか。その傾向がどんどん強くなっているような気がする。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/03/19/#000304
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