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■内外経済金融市場の現状と展望
内外市場での株価下落が持続している。米国、日本、中国でのそれぞれの経済調整の可能性が重なっていることが背景に存在する。米国では住宅バブル崩壊に伴う住宅投資減少、住宅ローン市場の混乱、個人消費への波及が懸念要因である。日本では、米国株価に連動する日本株価下落が景気調整の引き金を引く可能性について、慎重な吟味が必要である。本コラムで再三指摘しているように、日本の財政政策は強度の緊縮状況を示しており、景気調整を誘導する潜在的リスクを秘めている。2007年後半に向けての景気調整の可能性を考慮すべきである。中国では金融引き締め、人民元上昇リスクが顕在化し始めており、経済調整のリスクを内包している。
米国では、信用力の低い個人を対象にした高金利型の住宅ローンである「サブプライムローン」の焦げ付き問題が表面化している。今週は2月の新規住宅着工件数が発表される。住宅投資の減速のペースに注目が集まる。20、21日にはFOMC(連邦公開市場委員会)が開かれ、住宅投資の減速を含めて、米国経済の現状についてどのような判断が声明で示されるかに関心が集まる。
米国経済の拡大を支えてきたのが住宅投資と個人消費だった。住宅価格の上昇が個人の資金調達余力を拡大し、消費を牽引してきたが、住宅価格が下落に転じれば、住宅投資、個人消費のプラス循環が逆流し始める。成長率の大幅低下がグロース・リセッション(成長率はプラスを維持するが、景気は後退局面に突入する)にまで進行するのかどうかについて、市場は神経質になると考えられる。
米国の金融政策には、リセッションの懸念が表面化すれば、金利引下げを選択をする余裕があり、深刻な経済調整のリスクは大きくないものの、リセッション懸念が広がれば、短期的には株価下落、ドル下落の反応が生じやすくなる。
為替市場では、低利の円資金調達、高利のドル運用のいわゆる「キャリートレード」が拡大してきたが、円高が進行すれば、「キャリートレード」の手じまいにともなう為替市場での巻き戻しが生じ、円ドルレートが一気に円高方向に転じるリスクが拡大する。
日本の生産活動は本年1−3月期に足踏み状況に陥っている可能性があり、この局面で株価下落と円高が重なると、2007年後半に向けて経済が調整局面に転じるリスクも生まれてくる。日本の財政政策は2006年度、2007年度が強度の緊縮になっており、上述の経済環境のなかでは、景気調整の引き金を引くリスクを内包している。
中国経済は国内要因から金融引締めが求められ、また、巨額の経常収支黒字を踏まえれば、人民元には強い切り上げ圧力が生じることが予想される。金利上昇、人民元上昇を背景にした経済調整の可能性を念頭に入れる必要が生じてくる。
株式市場では内外市場で調整色が強まっているが、一時的な調整ではない中期的な調整局面に移行している可能性を踏まえる必要があるだろう。日本の株式市場、経済の調整進行は7月の参議院選挙にも影響を与えることが予想される。安倍政権は経済悪化の可能性に対して何らの警戒感を示していないが、野党勢力は経済政策の対応について早急に対論を用意する必要がある。
今週、国内では19、20日に日銀が金融政策決定会合を開く。政策変更の可能性は存在しないが、米国景気の先行きについて警戒論を示すかどうかが注目される。22日には国土交通省が1月1日時点の公示地価を発表する。地価上昇の実態が注目される。同日、財務省が1−3月期の法人企業景気予測調査を発表する。企業の設備投資計画が注目される。
内外経済の調整リスクと、それに連動する円高、株価調整リスクについて、引き続き警戒感が必要と思われる。
2007年3月18日
スリーネーションズリサーチ株式会社
植草 一秀
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