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[AML 12681] アメリカ人の「慰安婦」に対する感性
http://www.asyura2.com/07/senkyo32/msg/224.html
投稿者 gataro 日時 2007 年 3 月 19 日 00:30:37: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-March/012245.html から転載。

[AML 12681] アメリカ人の「慰安婦」に対する感性
half-moon half-moon at muj.biglobe.ne.jp
2007年 3月 18日 (日) 21:03:48 JST


  半月城です。
  今回、アメリカ下院外交委員会の動きをみて、アメリカ人の感性には意外な思いがしました。それというのも、「慰安婦」問題で安倍首相の「狭義の強制連行はなかった」という発言をきっかけに、それまでは日本政府の主張を擁護していた議員たちがこぞって「慰安婦」謝罪法案に賛成する側に転じたという報道に接したからでした。

  その意外感を解きあかす記事がありました。マサチューセッツ工科大学のサミュ
エルズ氏はこう記しました。

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 安倍は3月1日、慰安婦集めには「狭義」の強制性はなかったと発言。受け取りようによっては、旧日本軍の関与を認め謝罪を表明した93年の「河野談話」を一部否定するものとも解釈できる。さらに5日、首相は米下院で決議案が採択されても、それによって「謝罪するということはない」と語った。

●ついに安倍の本音が出たか

 自国の過ちに目をつぶる向きはアメリカにもある。それにしても、今回の安倍の対応はアメリカ人には不可解に映る。河野談話が誤った歴史認識に基づいているというのなら、なぜ公式に撤回しないのか。安倍の姿勢は矛盾しているようだ。

 発言の一部だけが伝えられたため、真意がゆがめられた可能性もあるが、アメリカの世論はそこまで気にしない。強制に「広義」と「狭義」があるという日本政府の言い分は、理解せよというほうが無理である。強制は強制ではないのか。なぜ日本政府は過ちを認めて、過去を清算できないのか(注1)。

       −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  サミュエルズ氏が語るように、「強制に「広義」と「狭義」があるという日本政府の言い分は、理解せよというほうが無理である」という見方にはまったく同感です。

  安倍首相は「人さらいのごとく連れて行くという強制」を狭義の強制としているようですが、それで何を言いたいのでしょうか? そのような狭義の強制は許されないが、それ以外の日本軍による強制は問題ないとでも言いたいのでしょうか? 広義であれ、狭義であれ、多くの「慰安婦」は日本軍の性奴隷にされて生き地獄を味わったのでした。その事実こそが重要なのです。

  今回、安倍首相がわざわざ「慰安婦」問題を引っぱりだして、ことさら「狭義の強制」について述べるのは、過去の日本軍の過ちを矮小化することにより、「けがれなき美しい日本」を強調したいためでしょうか? 先のサミュエルズ氏はこう分析しました。

       −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 安倍が歴史問題という古傷を開いた訳も、アメリカ人には理解できない。7月の参議院選に向けてナショナリズムをあおろうとしたのか。もしそうなら、レイプと残虐行為の歴史で自国に誇りをもつ有権者とはどういう連中なのか。

 支持率低迷に苦しむ安倍が、現実主義の仮面を捨て、秘めた信念を前面に出したのかもしれない。だとすれば、少なくともこれで安倍の本音がわかったと、アメリカ人は考える。

 ・・・・・

 就任当初は確かな足取りだった安倍が、これだけおおっぴらにつまづくとはどうしたことか。修復の兆しの見えた韓国や中国との関係も、今回の発言で再びこじれかねない。阿倍の政治的判断力がなぜ曇ったのか、米政府は首をかしげている。

 ニューヨークタイムズの論説員をはじめ大半のアメリカ人は、その理由は明白だと考えている。安倍政権は国内に台頭する保守派とかかわっているため、賢明な行動が取れなくなっているのだ、と(注1)。

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  このような批判も何のその、安倍首相はしぶしぶ内外の世論におされて河野談話を継承するとはしたものの、再び「狭義の強制」はなかったとして、わざわざ閣議でこう決定しました。

       −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 政府は16日、従軍慰安婦問題で「おわびと反省」を表明した93年の河野官房長官談話について「(談話と)同日の調査結果の発表までに政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」とする答弁書を閣議決定した。辻元清美衆院議員(社民党)の質問主意書に答えた。安倍首相は国会で「狭義の意味で強制性を裏付ける証言はなかった」と答弁しており、政府として改めて確認したものだ(朝日新聞、2007.3.16)。

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  政府は、資料の中に「見当たらなかった」ということを口実に、そのような強制連行がなかったと強調したいのでしょうが、そのような資料はなくて当然です。公文書に「官憲が家に押し入って 人さらいのごとく連れて行く」などと書かれる筈はありません。

  また、たとえそれに類する記述があったとしても、日本政府は終戦時に公文書を組織的に焼却したので、そのような記録が残るのは奇跡に近いといえます。そのわずかに残る資料だけからも強制性は充分に推測されます。その一例が「白馬事件」です。日本軍による「狭義の強制連行」がオランダ裁判所の記録に残りました(注2)。

  しかし、強制連行があったかどうかが重要なのではありません。日本軍が「慰安所」の設置を計画し「衛生的なる公衆便所」になるように軍医に性病検査をさせるなど、奴隷「慰安所」の全般的な運営を管理したり、日本軍が全面的に関与したことが重要なのです。

  日本政府はそうした事実を直視しているのかどうか、それが閣議決定からはほとんど伝わってこないだけに政府の姿勢に批判が集中するのも当然です。韓国の外交通商省は 17日、「歴史的真実をごまかそうとするもので強く遺憾に思う」と日本政府を批判しました。一方、中国は温家宝首相の訪日をひかえて表だった批判はしないようですが、修復しかかった中韓との関係もあやういものがあります。

  安倍首相の「曇った」政治的判断力に対し、駐日アメリカ大使館のシーファー大使はこう懸念を表明しました。

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駐日米大使:従軍慰安婦は「強制的な売春」

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、シーファー駐日米大使は16日、一部記者団に対し、太平洋戦争中の従軍慰安婦について「強制的に売春をさせられたのだと思う。つまり、旧日本軍に強姦(ごうかん)されたということだ」と語った。

 大使は、2月に米下院外交委員会の公聴会で証言した元慰安婦を「信じる」と述べ、慰安婦が強制的に売春させられたのは「自明の理だ」と語った。

 また、従軍慰安婦問題への旧日本軍の関与を認め謝罪した93年の「河野洋平官房長官談話」を日本政府が見直すことのないよう期待を示した。

 安倍晋三首相は4月下旬に訪米予定。ロイター通信によると、同大使は、従軍慰安婦問題で首相訪米が「台無しにならないよう望んでいる」と述べ、影響を懸念した(毎日新聞、2007.3.17)。

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  あやういのは日韓、日中関係だけでなく、日米関係も懸念されるようです。サミュエルズ氏は「安倍の言い訳は意味不明」と語りましたが(注1)、まさにそのとおりです。日本軍による奴隷的な慰安所運営という、道徳的に善悪が自明な日本軍の行為に対し、安倍首相が何か語れば語るほどそれは「意味不明な言い訳」としかアメリカ人は受けとらないようです。

  それにとどまらず、安倍氏の「言い訳」はダブルスタンダードではないかとの疑念をもたれているようです。朝鮮日報はこう伝えました。

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 6カ国協議の共同文書発表後、北東アジア外交再編で日本は孤立の様相を呈している。北朝鮮による日本人拉致問題にこだわる一方で、かつて日本が「拉致」した日本軍による従軍慰安婦問題を否定していることから、「日本は外交的・道徳的基盤とも失いつつある」と非難の声が出ている。

 日本は6カ国協議共同文書の発表直後に宣言した「拉致問題での進展がなければ北朝鮮支援はない」という姿勢をまったく変えていない。だが「日本政府は(北朝鮮に)拉致問題解決を要求しながら、日本軍による従軍慰安婦問題の責任については疑問を投げかけている」という米タイム誌最近号の批判は、拉致者・従軍慰安婦問題に対する日本の「ダブルスタンダード」的態度への国際社会の見方を反映している(注3)。

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  このように安倍首相はダブルスタンダードという疑念をもたれたのでは、国際情勢の複雑な北朝鮮問題で成果をあげるのは困難なことでしょう。同紙はアメリカの雰囲気をこう伝えました。

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 AFP通信も日朝作業部会の決裂直後、米国務省当局者の話として「この作業部会が決裂しても米朝作業部会には影響ないだろう」と報じている。その上、米国務省の一部からも「日本はひどすぎる」というムードが流れているという。「米国は日本を、とりわけ拉致問題を見捨てた」というジョン・ボルトン前国連米大使による8日の発言(読売新聞インタビュー)はこうしたムードに対する日米タカ派の焦燥感を反映している(注3)。

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  二重基準で北朝鮮の拉致問題を追求したのでは、北朝鮮に反撃されるだけでなく、各国の日本に対する信頼が徐々に失われていくのではないでしょうか。

(注1)サミュエルズ「安倍の言い訳は意味不明」『ニューズウィーク』2007.3.21、P18
(注2)半月城通信<白馬事件>
  http://www.han.org/a/half-moon/hm011.html#No.108
(注3)「拉致問題に固執、慰安婦は否定…自ら孤立招く日本(上)」朝鮮日報3月12日
  http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2007/03/12/20070312000031.
html

(半月城通信)http://www.han.org/a/half-moon/

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