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東京都知事選・首長選はどうたたかわれるのか
http://blog.goo.ne.jp/longicorn/e/5724e56425b9e507e6755d9d1e6ded33
都知事選をめぐる言説があちこちのブログでみられます。
しかし、この議論を分けるのは、いまの日本の政治の流れを、二大政党制という軸でみるのか、みないのか、このちがいにすぎないと私はとらえています。
このちがいにすぎない、といいましたが、このちがいはとても大きい。
当ブログでは、都知事選の候補者選考劇を(石原と)代替可能領域内の物語とよんできました。いいかえると、先のちがいとは、代替可能か否かというちがいでもあります。
いうまでもなく、代替可能領域内とよぶのは支配層にとってのそれなのですが、この領域の内外に区分すれば、石原、浅野、黒川VS吉田ということになるでしょう。支配層にとって石原氏であろうと、浅野、黒川両氏であっても対応の基本線はかわらない。吉田氏であったら困るのです。
それは、支配層が国政では二大政党制をもとに政権の安定を図ろうとしているからであって、マスメディアも使った、最近の彼らのとる行動には二大政党制への強い志向がみられます。
アメリカばりの二大政党政治に日本がいくのかどうかは別にして、二大政党制が小選挙区制と分かちがたく結びつき今日に至っているのはいうまでもありません。
小選挙区では1人しか通らない。1人を争うのですから、人間の心理として「勝てそうな候補者」に向かうのでしょう。でも、以上のように考えるのなら、勝てそうな候補者への投票は、その人の主観とはかかわりなく、この二大政党制の流れに身を委ねているともいえる。あえていえば、長いものに巻かれるといえなくもないのです。
小選挙区制は幾度となく自民党がその導入に挑み、導入しようとして過去に辞職した内閣さえあったことを覚えておられる方もいらっしゃるでしょう。長年の自民党の「悲願」だったのです。
たとえば世論調査での改憲にたいする国民の態度と、国会内の改憲勢力が96〜97%も占める議席配置の差異はあまりにも著しいわけですが、これなども小選挙区制のもたらす結果です。つまり、勝てる候補者に投票するという投票行動を重ねてきた結果、100%にちかい「改憲構造」がすでに国会ではつくられている。ここには、二大政党制と小選挙区制がどんな意味をもつのか、端的に示されています。
要するに、支配層は権力を手放したくないわけですから、権力維持のための安定装置としてこれは厳然として機能している。
そればかりではありません。二大政党制と小選挙区制は少数政党をさらに弱小にしていく制度でもある。権力維持というところに着目すれば、むしろこの点に力点が置かれているといっても無理はないようです。
他方、首長選挙も同様に1人を選ぶ。勝てそうな候補者を選ぶという点では同じです。その投票行動の繰り返しの結果が今日でしょう。二大政党制が仮に中央政治をさすとすれば、現実の地方政治では与党、野党の区別すら無意味の現状にある。「政党の溶解」が起こり、多少のちがいはあるにせよ、共産党や一部会派をのぞいたオール与党の実態がある。だから、都知事選をふくむ各首長選を参議院選の前哨戦として位置づけようとしたら、それは二大政党制をめぐるたたかいであるとともに、オール与党体制の打破、つまるところ自民党政治を転換させるかどうか、その争いだと私は思うのです。
くりかえしますが、自民党とはちがうと思って、いまこの選挙が大事だ、だから勝てる候補者で、勝てる可能性があるのなら、よりましな候補者でと考えてきて今日があることを決して忘れてはならないでしょう。一昨年、藁をもつかむ気持ちで、何かがかわると念じて小泉自民党に投票した人は多いはずです。だが、みようによっては、その選択からおのずと外されていく、勝てそうもない(と思われる)弱小政党・会派つぶしに制度的に収斂していくのです。有権者はそんな制度のなかにおのずと置かれている。ここにこそ小選挙区制と二大政党制のねらいがある。
支配層が準備した枠組み、たとえば新自由主義的な諸施策には私は反対します。憲法の理念を尊重したいので国民投票法にも反対します。
だが、いまの日本では、二大政党制に反対せずして新自由主義に反対などありえません。二大政党制に反対しないで改憲反対もまたありえない、と考えるのです。
国と地方とのちがいこそあれ、地方政治のオール与党体制とは、二大政党制の可変形といえる。都知事選はいまのところ4人で争われますが、対決軸は上にのべた1つだと考えたい。
22日に告示される首長選挙は、以上の意味で参議院選の前哨戦だといえるでしょう。
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