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http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/18944.html
自国と密接な関係にある国が武力攻撃を受けたとき、共同で実力阻止する権利を集団的自衛権という。
日本は国際法上はこの権利を有しているが、憲法九条に照らして行使できない。
政府はそう解釈し、公式見解としてきた。しかし、安倍晋三首相は気に入らないようだ。
どんな場合ならそれに抵触しないのかを個別の事例ごとに研究する政府の有識者会議が、今月中に発足する見通しとなった。研究といいながら、目指すところは集団的自衛権の行使に道を開く理由付けだろう。
集団的自衛権の不行使は日本の平和主義を支える太い柱であり、多くの国民が支持してきた。そこにためらいもなく手をつけようとする首相の姿勢に危うさを覚える。
この研究は米国の要請に応えるものでもある。
在日米軍再編やミサイル防衛(MD)システムの構築を通じて、日米の軍事一体化には拍車がかかっている。
MDの運用などでは、すでに一線を踏み越えかねない軍事連携の動きも出ている。
両国が目指す「同盟の深化」とは、米国の世界戦略に日本がいっそう関与を深めるということにほかならない。そのとき邪魔になるのが、集団的自衛権は行使できないという制約だ。
国連平和維持活動(PKO)やイラク復興支援などに派遣された自衛隊は、この原則にのっとり自制的に任務を遂行してきた。
米国からすれば、一緒に行動していながら攻撃を受けても一緒に抗戦できない自衛隊は、歯がゆくて仕方がない存在かもしれない。
しかし、だからこそ自衛隊は現地で厚い信頼と高い評価を得ることができたのではないか。
国際社会で平和希求の運動の先頭に立つ日本の発言が説得力を持ってきたのも、自衛隊の武力行使を厳しく律してきたからだ。
それがいささかでも揺らぐことは、戦後の日本外交の努力と成果を台無しにする恐れがある。
防衛省の発足に伴って、自衛隊の海外活動は本来任務に格上げされた。さらに自民党は、海外派遣の恒久法制定も検討している。
いずれも将来の改憲につながるひと筋の道の上にある。集団的自衛権をめぐる有識者会議の論議は、その流れを加速させるに違いない。
首相は先月、北海道新聞などのインタビューで集団的自衛権の研究について「そんなに時間をかけるべきではない」と述べた。
とにかく結論を急ぎたいということだ。だが、その研究を始めるだけで警戒感を強める国も出てくるだろう。どう考えても賢明なことではない。
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