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近代自由主義は、人間がお互いに証明することができる言葉や事実を使いながらこの世の中に生起する諸問題を解決しようとする政治手法である。前号では小泉氏の“改革”なるものは、検証不能な言葉を羅列して政権を運営するという危険な手法であると述べた。小泉氏の事実上の後継指名を受けた安倍首相の場合はどうであろうか。
安倍首相が掲げた政権のスローガンは、「美しき国、日本」である。“美しい”ということに誰も反対できないが、何が美しいかということは政治的に検証不能か非常に困難な概念である。政党や政治家としては、このような検証不能で、多義的な言葉を用いることはできるだけ避けなければならないことなのである。
「私は、日本を、21世紀の国際社会において新たな模範となる国にしたい、と考えます。
そのためには、終戦後の焼け跡から出発して、先輩方が築け上げてきた輝かしい戦後の日本の成功モデルに安住してはなりません。憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的な枠組みの多くが、21世紀の時代の大きな変化についていけなくなっていることは、もはや明らかです。我々が直面している様々な変化は、私が生まれ育った時代、すなわち、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が三種の神器としもてはやされていた時代にはおよそ想像もつかなかったものばかりです。
今こそ、これらの戦後レジームを、原点にさかのぼって大胆に見直し、新たな船出をすべきときが来ています。“美しい国、日本”の実現に向けて、次の50年、100年の時代の荒波に耐えうる新たな国家像を描いていくことこそが私の使命であります。(後略)」
これは安倍首相の最初の施政方針演説の一部である。「終戦後の焼け跡から出発して、先輩方が築け上げてきた輝かしい戦後の日本の成功モデル」の原動力となったのが、「憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的な枠組み」であったことは否定できない事実であろう。その事実を踏まえながら、常に改良工夫を加えながらわが国は発展してきたのだし、今後ともそうするしかない。誰がいったい安住しているというのだ。
「これらの戦後レジームを、原点にさかのぼって大胆に見直し、新たな船出」をすることは結構だが、目的港が「21世紀の国際社会において新たな模範となる国」とか「美しい国、日本」というのでは、いったい何をやりたいのかサッパリ判らない。安倍氏がやりたいことは、「憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的な枠組み」を取っ払らうことなのではないか。
戦後の60余年を取っ払い、戦前と連続性をもった“美しい国”を作ることが、安倍首相の理想なのでだろう。安倍首相の祖父である岸信介氏には、栄光の戦前があった。だから岸氏がそういうことを望むことは仕方がないとしても、その時代に生まれてもいなかった安倍氏がそのようなことを望むというのは、アナクロニズムを通り越している。家訓墨守の暗愚な亡霊を見ている気がするのは、私だけであろうか。
安倍氏は “愛国心”や“自虐史観”なるものを問題にしている。安倍氏には“愛国心”の強要により侵略戦争に参加させられ、数千万のアジア人を殺戮し、最後には自らの命も絶たざるを得なかった数百万の日本人の血の叫びに想いを馳せる素養がないのであろう。歴史認識を欠いたリーダーは、危険である。同じように具体的で検証可能な目標を提示しないリーダーも危険である。そのようなリーダーを戴く自民党には、ハッキリとした理想や理念がないといっても過言ではない。自民党は、いまやそのような政党なのである。そのような自民党が何となく支持されているわが国は、不気味である。
それでは、また明日。
* 07年04月05日 12時05分AM 掲載
* 分類: 2.国内政治
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